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事業効果

富士砂防事務所は直轄砂防事業に着手して以来、大沢川、栗ノ木沢、風祭川等で発生した土石流や雪代による土砂を大沢遊砂地や砂防えん堤、沈砂地工により捕捉し、下流域での災害を未然に防いできました。
近年では平成12年11月、平成16年12月に土石流が発生しましたが、いずれも大沢遊砂地の砂防施設により土砂を捕捉し、下流域に被害はありませんでした。

砂防施設で捕捉された土石流等一覧表

土石流発生年月日 気象要因 河川名 連続雨量
(mm)
日雨量
(mm)
最大時間雨量(mm/h)

堆積土砂量
(千m3)

流出形態
1991年(平成3年)
11月28日
低気圧 大沢川 226 166 39 182 土石流
1992年(平成4年)
12月8日
融雪 栗ノ木沢 246 231 37   雪代
1996年(平成8年)
3月30日
融雪 風祭川 138 137 27 18 雪代
1997年(平成9年)
6月20日
台風 大沢川 321 221 63 195 土石流
1997年(平成9年)
11月26日
低気圧 大沢川 298 283 33 199 土石流
2000年(平成12年)
11月21日
低気圧 大沢川 260 149 37 280 土石流
2004年(平成16年)
12月5日
低気圧 大沢川 162 106 31 110 土石流


平成4年12月8日発生 雪代

富士山で雪代が発生し、山梨県側大沢口6合目の登山安全センターが破壊される等の被害が発生しました。当事務所管内でも、栗ノ木沢で融雪に伴う雪代が発生し、下流の栗ノ木えん堤工群まで達しました。
 
平成4年12月8日 雪代 栗ノ木第4えん堤
 

平成8年3月30日発生 雪代


富士山で雪崩が発生し、富士スバルラインが3箇所で寸断される 等の被害がありました。当事務所管内でも融雪に伴う雪代が発生 し、風祭沈砂地工で18,000m3の土砂を捕捉しました。
 
平成8年3月30日 雪代 風祭沈砂地工



平成12年11月21日発生 土石流

  平成12年11月20日から21日未明にかけて降り続いた大雨により、大沢崩れを発生源とする観測史上最大の土石流が発生しました。
この土石流により大沢遊砂地では、約28万m3もの土砂が堆積しました。


平成16年12月5日発生 土石流

平成16年12月4日から5日未明にかけて降り続いた大雨や融雪により土石流が発生しました。
この土石流により大沢遊砂地では、約11万m3の土砂が堆積しました。
土石流発生前 大沢遊砂地 堆積状況


扇状地堆積土砂の有効利用

大沢崩れより流出した土砂は、扇状地の遊砂地等、砂防施設に堆積します。この土砂を放置すると次の土石流発生時に下流域へ流出し土砂災害の原因となります。この対策として、除石工事を行い遊砂地の機能維持とストックヤードを活用した工期調整を図っています。

発生した土砂の粒径は、数㎜から2m以上の巨石に至るまで大小の土砂が混在し、受け入れ先の需要と一致せず、有効活用を困難にしています。

受け入れ先拡大と有効利用を図るため、ふるい分け・破砕等の粒径処理した土砂を受入先に運搬してもらう連携事業を平成10年度より実施しています。この結果、海岸の養浜材、道路の路体材等、多くの公共事業に利活用されています。

自走式破砕機による粒径処理
 
海岸の養浜材として利用(富士海岸 吉原工区) 道路の路体材として利用(静岡県 富士土木事務所)