富士山と防災

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概要

日本は国土の約7割が山地です。また環太平洋火山帯に属するとともに、アジアモンスーン地域の一部でもあり、火山の噴火や地震、大雨などによる土石流(どせきりゅう)、地すべり、がけ崩れといった様々な土砂災害が起こりやすく、昔から人々に被害を与えてきました。これら土砂災害を防ぐことを「砂防(さぼう)」と言います。

富士砂防事務所では、日本有数の大崩壊地である「大沢崩れ」の対策をはじめとした富士山南西山麗における土砂災害対策事業、富士山の火山活動による土砂災害防止のための調査、日本の大動脈(東名高速道路・国道1号・JR東海道本線など)が集中している静岡市清水区由比西倉沢での地すべり対策事業の3つのプロジェクトを進めています。


砂防とは?

砂防について→詳細はこちら


富士山砂防事業

日本の最高峰「富士山」は、山容が特別名勝に指定されており、その優れた景観から日本のシンボルとなっています。南西山麓には、東海道新幹線、東名高速道路をはじめとする交通の大動脈が走っており、海外からも多くの人が訪れる日本有数の観光地でもあります。また、第二東名高速道路などの大規模プロジェクトが進められており、きわめて重要な地域です。富士砂防事務所では、この富士山南西山麓を土砂災害から守るために、富士山の直轄砂防事業を実施しています。


大沢川の対策

大沢川は、大沢崩れを源とし、源頭部・峡谷部・中流部・岩樋部を流下した後、標高700m付近の広大な大沢扇状地を経て、大沢川大橋付近で潤井川と名称変更し、富士宮市街・富士市街を流下し、田子の浦港に注いでいます。また、星山放水路により、洪水時には富士川にも注がれます。
大沢崩れで崩落した土砂は、源頭部の谷底に堆積し、降雨や融雪により土石流となって流下し扇状地で氾濫堆積します。さらに洪水流は下流へと土砂を押し流し、生活域への土砂流入、市街域での河道閉塞による洪水氾濫、田子の浦港埋塞による船舶航行不能等の被害を与えます。
大沢崩れ対策は、これら土砂災害の防止を目的としています。このためには、

1)土砂の発生源である大沢崩れの拡大防止対策が必要です。
2)土砂の氾濫堆積地である扇状地対策が必要です。

1)の源頭部での直接発生源対策は、施工技術、気象条件等、作業上の課題が多く、すぐに着手することは困難です。そこで、源頭部での直接発生源対策の可能性を検討するため、富士山源頭域調査工事として、種々の試験工事を行っています。
一方、2)の扇状地対策としては、下流域での災害防止にすぐに効果を発揮できる点に着目し、流下してきた土石流を安全に扇状地遊砂地内で氾濫堆積させ、洪水流による下流への土砂流出を沈砂地で補足する扇状地計画を策定し、下流流路工と併せて整備しています。



富士山火山砂防調査

富士山は、新富士火山が形成された約1万年以降も噴火活動を繰り返しており、有史以降にも、定期的に火山活動が発生しています。1707年の宝永噴火以来、現在まで約300年間静穏を保っていますが、ひとたび噴火が発生すると甚大な災害が発生すると予測されています。平成12年、富士山の地下において発生した低周波地震により、活火山としての重要性が再認識されるようになり、富士山の火山防災対策は本格的な検討が開始されました。 平成16年6月、富士山ハザードマップ検討委員会から「富士山火山防災マップ」が公表され、これを受けた富士山周辺自治体の防災対策が本格的に始まっています。 富士砂防事務所では、富士山の火山活動による土砂災害防止のため、富士山火山砂防計画の検討(砂防施設配置方針の検討)や、富士山の観測システムの整備、関係機関との連携及びリアルタイムハザードマップの検討などを実施しています。