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大沢崩れの現状

過去34年間の崩壊地の拡大状況
大沢崩れは富士山西斜面に位置し、山頂直下から標高2,200m付近まで、延長2.1kmにわたり最大幅500m、最大深さ150m、崩壊面積1km2、崩壊土量約7,500万m3(東京ドーム約60杯分)といわれ、我が国最大級の規模です。
これまでにも膨大な土砂を生産・流出し、下流域では土砂災害を度々引き起こしてきました。
 
大沢崩れの形成の年代は明らかではありませんが、堆積している古い土石流の中に埋もれていた木片を年代測定した結果、今から約1,000年前のものと計測されました。
 
図-1は過去34年間の崩壊地の拡大状況を示しています。大沢崩れの崩壊は現在も進行中で、年平均約15万m3(10t積みダンプ30,000台分)の土砂が流出していることになります。
 

 
写真1(右の写真)は大沢崩れ標高3,500m付近の写真です。100mを超える切り立った急崖は、一部オーバーハングしています。
写真2(下の写真)は標高2,200m付近の渓床で、河床のスコリア層が侵食され溶岩層は既に一部崩壊し、さらに2m以上も溶岩がオーバーハングしています。
写真3(右下の写真)は標高1,900m付近の河床(6の滝)です。比高差が35mにもなります。

 
 
 

崩壊のメカニズム

大沢崩れの地質は、やわらかいスコリア(火山灰などの噴出物)と硬い溶岩が、サンドイッチのようにたがいちがいに組み合わされています。  
 
風や雨、気温の変化などで、溶岩の周りのやわらかいスコリアが流れ出し、つぎに硬くて重い溶岩が崩れ始めます。  
 
このような現象が限りなく繰り返され、崩れが広がっていきます。崩れた岩や砂は大沢川の谷底にたまり土砂流発生時に下流へ流れていきます。