目的・構造

美和ダム

美和ダムは、建設省中部地方建設局(現 国土交通省中部地方整備局)管内で特定多目的ダム法の適用を受け、直轄で施工した最初のダムで、昭和27年に工事着手し、総工事費31億6千万円で昭和33年11月に完成しました。ダムの高さ69.1m、総貯水容量29,952,000m3(当初計画37,478,000m3)の重力式コンクリートダムであり、治水、かんがい、発電を目的とする多目的ダムです。

美和ダムの3つの役割

洪水調節

美和ダムの洪水調節は、流入量が200m3/sに達した時から一定率放流により調節を始め、流入量が最大に達した後、または放流量が450m3/sに達した後は、その時の放流量を維持する一定量放流を行います。これによりダム地点では、計画洪水流量1,200m3/sが流入した時、一定量放流は450m3/sとなり、750m3/sをダムに貯留します。その結果、三峰川及び天竜川本川の洪水流量を減少させ、洪水時の河川水位を低下させます。

かんがい用水

三峰川沿川一帯、伊那市の農耕地は、支渓流および三峰川から、取水していましたが、取水の困難さから水不足に悩まされていました。三峰川総合開発の一環として水路が改築され、ダムから最大7.69m3/sの供給と、直接取水により水不足が解消し、農地が2,512ヘクタールに拡大しています。

発電

長野県営電気事業初の発電所として1958(昭和33)年に、美和ダム直下に位置する美和発電所の運転が開始されました。同ダムから発電用水を取水し、最大出力12,200キロワットの発電を行った後、高遠湖に放流しています。

小渋ダム

昭和38年に工事着手し、総工費83億3千万円で昭和44年6月に完成した小渋ダムは、ダムの高さ105m、総貯水容量58,000,000m3の天竜川水系では初のアーチ式コンクリートダムであり、治水、かんがい、発電を目的とする多目的ダムです。

小渋ダムの3つの役割

洪水調節

小渋ダムの洪水調節は、流入量が200m3/sに達した時から一定率放流により調節を始め、流入量が最大に達した後は、その時の放流量を維持する一定量放流量を行います。これによりダム地点では、計画洪水流量1,500m3/sが流入した時、一定量放流は500m3/sとなり、1,000m3/sをダムに貯留します。

かんがい用水

小渋川合流点下流の天竜川左岸一帯、松川町、豊丘町、喬木村、飯田氏下久堅の農耕地899ヘクタールは、狭小な支渓流をかんがい用水としていましたが、水不足の常襲地であったため、水路15.5kmを新設し、ダムから最大1.81m3/sを供給することにより、水不足を解消しています。

発電

小渋ダムの直下の小渋第1発電所は、最大出力3,000キロワットの発電を行っています。その放流水を約4.4kmの導水路(トンネル)により小渋第2発電所に導き、最大出力6,500キロワットの発電を行っています。
小渋第3発電所は、小渋ダム水環境改善事業の一環として、小渋ダムから放流される河川維持流量を有効利用した発電所であり、最大出力550キロワットの発電を行っています。

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