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天竜川の生き物
天竜川上流の主要な両生類・は虫類・ほ乳類
両生類
アマガエル カエル目アマガエル科
アマガエル
体長 オス22〜39mm、メス26〜45mm
特徴 繁殖期は夏を中心に長く、5〜7月に浅い水田や湿地に少数ずつ産卵。主に昆虫やクモ類を食べる。
〜天竜川の河川敷で広くみられるカエル、でも故郷は水田〜
西南諸島を除く日本全土に分布します。水田で大きな声で鳴くことから、なじみ深いカエルです。
●天気予報ガエル
名前のとおり、雨が近い時や庭に水をまいたときなどに、木の上で小さな身体に似合わない大きな声で鳴きます。これは、大気中の湿度の上昇によって、活動性が高まるためと考えられ、声は喉のところにある「鳴のう」と呼ばれる袋で共鳴させて発声します
●体色の七変化
アマガエルの生息場所は地上から樹上までさまざまで、移動した先の環境に溶け込みます。知らずに近寄ってきた虫を食べるため、また捕食者の目を欺あずむくため、葉っぱの上では緑色、石の上では灰褐色と、体色を自由に変えることができます。このほか突然変異によって空色をした個体もいます。
天竜川周辺での生息状況
アマガエルは住宅近辺でもよく見られ、カエルの中でも最も身近なカエルと言えます。天竜川の河川敷にも広く分布しています。しかし、カエル(成体)は天竜川の河川敷で多数見られましたが、オタマジャクシ(幼生)はほとんど見つけることができませんでした。どうやら天竜川の河川敷の草地でみられるアマガエルのほとんどは、周辺の水田からやってきたもののようです。
アマガエルは吸盤のあるカエルで、これを使って草本や樹上に登り、羽虫やクモなどを餌にしています。天竜川の河川敷にはたくさん草が生えていますし、農薬を撒まかれる心配もありません。餌になるような虫も豊富に生息しているので、アマガエルにはすみ心地がよいのでしょう。
アマガエルの体色変化(葉の上では緑色)(左写真/撮影:澤畠拓夫) アマガエルの体色変化(地上では灰褐色)
アマガエルの体色変化(葉の上では緑色)
(左写真/撮影:澤畠拓夫)
アマガエルの体色変化(地上では灰褐色)
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アマガエル カエル目アカガエル科
アマガエル
体長 オス55〜80mm、メス60〜90mm。
体重 15〜40g。
特徴 平地から山際の水田、池に生息。浅い水田や湿地で4〜7月に繁殖。産卵数は1,800〜3,000個。幼生は主に植物食、幼体・成体は昆虫やクモを食べる。寿命は3〜4年程度。
  長野県には、トノサマガエルのほかに、似た種であるダルマガエル・トウキョウダルマガエルが生息しています。このうち、伊那谷にはトノサマガエルとダルマガエルが生息しています。トノサマガエルは独立した種で、ダルマガエルはトウキョウダルマガエルの亜種です。これら3種のカエルはとてもよく似ています。
●トノサマガエル 
トノサマガエルは、これら3種類のカエルの中で一番大きくてスマートな体形をしています。背面には背中線があり、連続した黒い斑紋がありますが、繁殖期のオスでは黄金色の婚姻色が出て黒い斑紋は消えてしまいます。オスとメスで体色が異なり、オスは緑色から黄金色をし、メスは白っぽい体色をしています。田植えが終わったばかりの水田で一斉に鳴くことから、日本のカエルの代表格として「殿様」の称号が与えられた、という説があります。トノサマガエルは朝鮮半島や中国にも広く分布し、日本へは稲作と一緒に渡来したものと考えられています。
天竜川周辺での生息状況
トノサマガエルはアマガエルと並んで天竜川河川敷でよく見られました。河川敷の小川や池などでも繁殖することはできますが、多くは周辺の水田から移動してきた個体と考えられます。
トノサマガエル(メス) (オス) (撮影:澤畠拓夫)
トノサマガエル(メス) アマガエルの体色変化(地上では灰褐色)
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ダルマガエル カエル目アカガエル科
ダルマガエル
体長 オス35〜75mm、メス45〜85mm。
体重 5〜35g。
特徴 平地の水田や池に生息し、4〜7月に繁殖。1回の産卵数は800〜2,200個。幼生は主に植物食、幼体・成体は小動物を捕食。寿命は3〜4年程度。
※環境省絶滅危惧II類
  ダルマガエルは、多くの場合背中線がなく、背中の斑紋は孤立しています。中には背中線のあるダルマガエルがいますが、もともとこういう性質を持っていたものか、それともトノサマガエルとの交雑のために起こったものなのかわかりません。後ろ足の長さは、トノサマガエルに比べて、いくぶん短めです。
長野や松本、上田などに生息するトウキョウダルマガエルは、トノサマガエルよりもずんぐりした体型をしています。背中線はありますが、背中の斑紋は孤立していることで区別できます。
ダルマガエルは、トウキョウダルマガエルの亜種で、特徴はほぼ同じ。トウキョウダルマガエルは背中線をもつが、ダルマガエルの多くはこれを欠く。
天竜川周辺での生息状況
ダルマガエルは天竜川河川敷では箕輪町から伊那市までの区間に見られるのみです。今回の調査で駒ヶ根の湧水池で2個体確認しましたが、6月の洪水後は見つかりませんでした。これらは周辺の水田から移動してきたものと思われます。三日町(箕輪町)でも支川流入部で多くの個体が見られ、これらも水田から三面張り水路を流されてきたもののようです。
ダルマガエルの幼生(撮影:澤畠拓夫) ダルマガエルの幼体(撮影:澤畠拓夫)
ダルマガエルの幼生(撮影:澤畠拓夫) ダルマガエルの幼体(撮影:澤畠拓夫)
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ウシガエル カエル目アカガエル科
ウシガエル
体長 111〜183mm。
体重 139〜603g。
特徴 池、沼、大河川中・下流部の草の茂った水辺。繁殖期は5〜9月上旬と長い。産卵数は6000〜40000個で、水面に1層の大きな卵塊となって広がり、浮かぶ。成体は魚、カエル、ネズミさえも食べる。
  〜昔は外貨を稼ぐ輸出品目、今はただの邪魔者〜
北米原産の非常に大きなカエル。北海道南部から九州まで広く移入され、騒音や生態系の攪乱などで問題となっています。
  ●騒音公害となるカエル
ウシガエルは大正時代、食肉用に北米から持ち込まれたカエルです。池や沼、流れの緩やかな川にいて、「ヴォン、ヴォン」とウシのような声で鳴きます。このため、ウシガエルが近くに住み着くと大変なことになります。長いところでは初夏から秋口まで、毎晩大きな声で鳴かれるので、騒音をまき散らすカエルとして嫌われています。ウシガエルが住みついて迷惑するのは人間ばかりではありません。ウシガエルは水辺から離れず、水辺に生息する小魚、エビ、ザリガニ、カエルなど、ありとあらゆる小動物を食べ荒らします。ネズミくらいの大きさならペロリと一飲みにするというのですから、たまったものではありません。ウシガエルのいる水辺では、在来のカエルが著しく減少すると言われています。
  ●外貨獲得に役立っていたウシガエル
ウシガエルは、大正時代に国家事業として各地の水産試験場で増殖され、農家に配られました。同時に、その餌としてアメリカザリガニも入ってきました。そして日本の重要な輸出品目の一つとして、戦前・戦後にはその冷凍肉がホノルル、ロサンゼルス、サンフランシスコなどに輸出され、1969年には輸出総額7億 5千万円を超えました。しかしこの年、ウシガエルから残留農薬が検出されて輸出は減少し始め、1989年を最後に輸出は途絶えました。長野県の水産試験場には、ウシガエルの配布記録はないようで、どのようにして長野県に持ち込まれたのかは分かりません。しかし、長野県でも少なからぬ量のウシガエルを産出していたことは事実です。ウシガエルの養殖には、養蚕農家から出るカイコのサナギが飼料として利用されたので、養蚕農家の多かった長野県でも、同様にして養殖されたのかもしれません。
天竜川周辺での生息状況
天竜川水系では、諏訪湖に多数のウシガエルが生息していますが、天竜川ではあまり確認されていません。今回の調査でも、飯田以南で一時的に見られたのみでした。増水した際にオタマジャクシやカエルが流されてきて、河川敷の水溜まりなどに住みつくこともあるようですが、繁殖するまでには至ってはいないようです。
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は虫類
シマヘビ トカゲ目ヘビ科
シマヘビ
体長 80〜200cm。
特徴 昼行性で、開けた環境を好む。動きが速く、追いつめられると身体をS字状にして威嚇する行動が見られる。トカゲ、カエル、ネズミなどを食べる。4〜6月に交尾し、夏に4〜16この卵を産む。
  北海道、本州、四国、九州や周辺の島々に分布します。大きさはふつう全長1.2mほどで、背面に走る4本の縦の縞模様が特徴で、シマヘビの名はこれに由来します。
平地から山地の下部にかけて生息し、水田の畦などで多く見られます。餌はカエルやトカゲ類、小哺乳類や鳥だけではなく他種のヘビまで食べ、食性の広いヘビです。
水田の畦などで日光浴をしている姿を見かけることがありますが、動きは素早く、かなり気性が荒く、よく咬みついてきます。
天竜川周辺での生息状況
天竜川河川敷では見る機会の多いヘビです。特に河川沿いに置かれている蛇カゴ周辺では、日光浴をしている個体や石の隙間に潜んでいる個体を多数見ることができました。蛇カゴ周辺では、この他にアオダイショウ、ジムグリ、ヤマカガシなどが見られ、ヘビ類の恰好の住みかとなっているようです。これは、蛇カゴの隙間がヘビにとってよい隠れ場所であり、さらに餌となるネズミ類が多く生息していることなどが理由でしょう。
真夏の河川敷は日射しが直接地表面に当るため、地表はとても暑くなります。木が多ければ日射しは遮られますが、河川敷のヤナギ林などは地表の草本類が貧弱で、ヘビもあまり見られません。また、河川敷に広く分布するヨシ原は、夏は空気がこもるために、地表面は非常に暑くなり、ヘビの生息には適しません。
天竜川の夏の調査で見られたシマヘビは、川で泳いでいたり、湿地でとぐろを巻いていたり、水田の用水路の水中に潜っていたりと、涼しい場所を選んでいるようでした。ヘビ類も活動場所や活動時間を変えるなどして、厳しい夏の暑さに対処しているのでしょう。
成長しても横帯模様の残るシマヘビの亜成体 水辺のシマヘビ
成長しても横帯模様の残るシマヘビの亜成体 水辺のシマヘビ
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トカゲ トカゲ目トカゲ科
トカゲ
体長 60〜96mm。尾はその1.5倍の長さ。
体重 5〜18g。
特徴 低地から高山まで生息。河畔などの日当たりの良い場所を好む。石垣などの隠れ場と日光浴に適した場所があれば市街地でも見られる。4〜5月が交尾期で、6月に産卵。
  北海道、本州、四国、九州や周辺の島々に分布します。全長20cm前後で、体表には光沢があり、派手な美しさを持っています。このようなトカゲの仲間はスキンクと呼ばれ、似た仲間が世界中に分布しています。
トカゲの主な生息環境は岩盤の露出した場所やガレ地など隙間の多い環境ですが、草地などでも見ることができます。また、このような場所だけではなく、アスファルトの路上や石垣、集石地などの人工物を利用して日光浴をしていることもあります。昼行性で日の差す明るい時間帯に活動し、昆虫やクモなどを追いかけまわして捕らえます。天候の悪い日や夜間には、石の隙間や土中に空いた穴などに潜んでいます。
天竜川周辺での生息状況
天竜川の河川敷では巨大な石が重ねられた集石地で日光浴をしている姿を少数ながら確認しました。このような場所は河川敷に一様に分布しているわけではなく、河川に沿ってパッチ状にありますので、おそらくトカゲもそのような場所を中心として生息しているのでしょう。その他、草地などでも見られますし、蛇カゴ付近にも生息しているのかもしれません。動きが素早いトカゲですので、調査中に見逃している数も少なからずいると考えられ、もしかしたら、もっとさまざまな場所に生息しているのかもしれません。伊那谷の山地でも林道などでよく見かけます。林からの木漏れ日が地上を照らしているような場所があった場合、注意深く地面を見ていると日光浴をしているトカゲの姿を観察できることがあります。
トカゲの幼体(背面の黄色のストライプと青い尾が特徴) 尾を自切したトカゲの幼体
トカゲの幼体
(背面の黄色のストライプと青い尾が特徴)
尾を自切したトカゲの幼体
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ほ乳類
コウベモグラ モグラ目モグラ科
コウベモグラ
特徴 シャベル状の前足と短い尾が特徴。
低地の草原から山地森林まで分布。湿潤で土壌の深い平野部に多い。昆虫類、ミミズ類を主に捕食し、ジムカデ類、ヒル類、植物種子も食べる。春1回繁殖し、 2〜6頭の子を産む。寿命は約3年。
  本州中部以南と四国、九州などに分布している日本最大級のモグラです。地下性で、大きなシャベル状の前足で地中に坑道を掘り生活しています。坑道を掘る際に、掘り出した土を地上部にまで押し出し、これがモグラ塚となります。餌はミミズが主食ですが、コガネムシの幼虫のような地中性の昆虫や、時には冬眠中のカエルなどを襲って食べることもあるようです。
天竜川周辺での生息状況
コウベモグラは天竜川周辺ではいたるところで見られます。コウベモグラの作ったと思われる坑道は、河川敷の草地や畦だけではなく川沿いの砂地にまで達していました。さらに坑道は河川周辺の畑や水田の畦や住宅地、山麓部でも確認できました。
伊那谷にはコウベモグラよりも小型のアズマモグラも生息しています。中部地方以北を中心に分布するこのモグラは、伊那谷では分布が局所的で主に山地に生息しています。例えば、与田切川流域では、標高1,200m付近の草地で捕獲
されたことがありますし、950m付近ではコウベモグラよりも小型の直径をしたアズマモグラのものと思われる坑道が多数見られました。いずれの場所も土壌は平地部ほど豊富ではなく、小さな礫が多い場所でした。この場所は、工事
用の駐車場や草地などの空き地でしたが、周辺の森林内にも坑道は見られました。
このように、伊那谷では基本的に、アズマモグラが主に山地に分布し、コウベモグラが天竜川河川敷などの平地部を占めています。しかし、平地部にもアズマモグラが生息していないとは言い切れないようです。例えば、南信濃村な
どでは両者の分布が複雑に入り組んでおり、標高が低い場所だからといって、必ずしもコウベモグラばかりが生息するとは言えないようです。山地が多く、平地が少ない場所では、地形も複雑に入り組んでいるため、両種の個体群は環境によって生息場所を変え、共存していると考えられます。一方、伊那市付近などでは、水田のほか人家などの建物が増加し、開けた環境の場所と山地との境界がはっきりしているので、両者の分布も、平地と山地というようにかなり明確になっているのでしょう。しかし、場所によっては平地部にアズマモグラが残存している可能性もあり、平地と山地の接する場所では分布の移行帯も存在するはずですから、今後の詳しい調査が期待されます。京都大学の相良直彦先生の研究では、コウベモグラ、アズマモグラ、ミズラモグラの3種が生息している森林があることが示されています。環境が多様か、あるいは利用資源が豊富であれば微妙に生息環境を変えることによって、いくつかの種類が共存できるのかもしれません。コウベモグラの進出は人間がコウベモグラに有利になる環境を作ってきた結果であり、本来はもう少し入り組んだ分布であった可能性もあります。現在ではコウベモグラはそれまで分布していなかった諏訪地方にまで分布を拡大しているようです。侵入経路として天竜川の河川敷や中央道の草地法面が利用されたことは大いに考えられますが、有賀峠などの峠を越えて諏訪盆地に侵入して行った可能性もあります。
●希少種ミズラモグラについて
天竜川周辺の山地には、この他にミズラモグラが生息しています。ミズラモグラはアズマモグラよりもさらに小型で、ヒミズよりも多少大きい程度です。前足はシャベル状で、やはり他のモグラのように土を掘りやすい形状になっています。主に山地に生息し、3,000m級の高山帯にも生息しています。
中央アルプスでは、標高900m付近と1,000m付近の路上で死体が確認されたことがあります。これらはいずれも獣に咬まれた傷があったことから、土から出て路上をさまよっているところをタヌキやキツネなどに咬まれて放置されたと考えられます。ミズラモグラは他のモグラとは生活様式が違うのかもしれません。地上性の昆虫類を多く食べていたとい
う報告もありますので、ヒミズのようにある程度地表でも活動する可能性もあります。しかし、生きているところをほとんど観察されたことのないモグラのため、今後の詳しい生態調査が望まれます。ミズラモグラはレッドリスト(環境庁,1998)の準絶滅危惧種(存続基盤が脆弱な種)に指定されています。
アズマモグラ ミズラモグラ
アズマモグラ ミズラモグラ
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アカネズミ ネズミ目ネズミ科
アカネズミ
体長 頭胴長80〜140mm、尾長70〜130mm、後足長22〜26mm。
体重 20〜60g。
特徴 低地から高山帯まで分布。森林に生息するが、河川敷の下生えが密生している場所にも生息。植物の柔らかい根茎部、種実、昆虫類を採食。繁殖期は春と秋で、平均3〜5頭を産む。
  北海道、本州、四国、九州や周辺の島々に分布する日本固有種です。平地から山地まで広範囲に分布し、河川敷や草地、耕作地周辺や森林内など、さまざまな環境に生息し、本州では最も目にする機会の多い野ネズミです。餌は植物の種子や実、根茎、昆虫類などです。
天竜川周辺での生息状況
アカネズミは天竜川河川敷のいたるところで見られ、また、確認数も一番多いネズミでした。ツルヨシの密生した場所や、大きな石が重ねられた場所、蛇カゴ周辺、倒木の下などで多く確認できました。しかし、ヤナギ林の中ではあまり確認できませんでした。ヤナギ林には下草もほとんどなく、被覆物になるようなものが少ないため、あまり利用されていないのかもしれません。
ツルヨシが生い茂るアカネズミの生息地
ツルヨシが生い茂るアカネズミの生息地
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カヤネズミ ネズミ目ネズミ科
カヤネズミ
体長 頭胴長50〜80mm、尾長61〜83mm、後足長14〜16.7mm。
体重 7〜14g。
特徴 低地の草地、水田、沼沢地などイネ科植物が密生し水気のある場所に生息。水面を泳ぐ。ススキ、スゲ、チガヤなどを用いて球形の巣を作る。巣のある高さは冬に低く、夏〜秋は高い。冬季には地表の堆積物や地下に坑道を掘る。繁殖期は大部分の地域で春と秋で、平均5頭を産む。
  本州(福島県以南)、四国、九州や周辺の島々に分布します。主に低地から低山帯まで広く生息し、低地の草地や水田、休耕地などのイネ科植物が生えている湿った場所を好むようです。餌は植物の種子、実などの植物質のほか、バッタ類などの動物質のものも食べるようです。
  ●球状の巣を作る
カヤネズミの特徴は何といっても河川敷などに多く見られるススキやオギなどの茎に球形の巣を作ることでしょう。1.5m程の高さに5〜6本の葉を寄せ集めて外側の壁を作り、その内部に別の葉を運んできて壁を厚くし、さらにその中にススキやオギの穂綿を敷き詰めて断熱材にします。外から見ると入口がはっきりとしない完全な球の形をしていることで、鳥の巣と区別がつきます。
  ●茎や葉の上を歩く
体重が非常に軽く、10g前後しかありません。そのため、ススキなどの細い茎や葉の上でも長い尾を巻き付けて自在に移動することができます。これは、ヘビなどの天敵から逃れる手段であるほか、地下に生息しているアカネズミやハタネズミなどとの競合を避けるためと考えられます。
天竜川周辺での生息状況
天竜川周辺では、1979年に下伊那郡阿南町で幼体と球巣が最初に確認されました。その後、前述の南宮大橋付近や飯田市川路、阿島橋付近などで確認されたほか、駒ヶ根市や辰野町でも球巣が見つかっています。今回の調査では台城公園の近く(松川町)や飯沼橋の下流(中川村)でも新たに確認されましたが、確認された球巣の数が少なく、生息密度はさほど高くないと考えられます。また、天竜川の支川である三峰川の河川敷でも、最近球巣が見つかりました。この場所は、天竜川の合流点から数kmほど三峰川を上流に遡った高遠町内になります。天竜川の河川敷に限らず、カヤネズミにとって良い環境が整っていれば、広く分布している可能性があります。このように、最近になって天竜川周辺の新たな確認地点が増えています。しかし、伊那谷でカヤネズミが本当に増えているのか、これまできちんとした調査がされていたかどうかはわかりません。この特殊な繁殖形態により河川敷のような生息環境に依存しているため、河川敷や休耕田が整備された結果、全国的には減少傾向にあるとされています。伊那谷でのカヤネズミがどのように分布しているのか詳細に調べる必要があります。
アズマモグラ 球巣の中のカヤネズミの幼体
巣を出るカヤネズミ(撮影:両角源美) 球巣の中のカヤネズミの幼体
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タヌキ ネコ目イヌ科
タヌキ
体長 頭胴長50〜60cm、尾長15cm。
体重 3〜5kg。
特徴 郊外の住宅地周辺から山地まで広く生息。鳥類、野ネズミ類、昆虫、果実類などを採食するが、ミミズなど土壌動物の採食量も多い。親子または家族が近い距離に集まり生活。春に3〜5頭を出産。
  広く北海道、本州、四国、九州および周辺の島々に生息します。タヌキは、イヌの仲間では原始的な形態を持ち、特徴的な姿・形をしています。雑食性で、カキ、マメガキ、クワ、ケンポナシなどの果実類や、ネズミ、カエル、コガネムシなど甲虫類、ミミズなど土壌動物を食べます。
  ●童謡に多く出る動物
日本の昔話によく出てくる哺乳類はキツネですが、童謡などにはタヌキが多く出てきます。特に、「証誠寺の狸囃」、「てまり唄」(あんたがたどこさ肥後さ 肥後どこさ 熊本さ 熊本どこさ 船場さ 船場山には 狸がおってさ…)、「手合わせ唄」(げんこつ山の狸さん オッパイのんで ねんねして…)などは有名です。タヌキは、このように童謡に唄われるほど親しみのある動物なのでしょう。また、化ける話にしても「文福茶釜」に化けて火の上に置かれ、"熱い、熱い"といって尻尾だけ出して逃げたり、小僧さんに磨かれて"痛い"と言ったりするようなヘマをする動物として扱われています。一方で、童話「カチカチ山」では、タヌキは人間に悪いことをしてウサギに敵討ちされますし、「タヌキ寝入り」「タヌキ親父」「ふるダヌキ」「同じ穴のムジナ」あるいは「捕らぬ狸の皮算用」などの言葉は、どれも良い意味で使われません。このように悪者扱いされるのは、その体つきと臆病な性質に原因があるように思われます。驚くと気絶し、油断している隙を見て逃げ出す習性は、いかにも意識して欺くように見えるので、ずる賢く人をだますというように言われたのでしょう。
また、顔つきも目の周りが黒く、ずんぐりした体つきと緩慢な動作が、人間の場合に当てはめて言われるようになったようです。ちなみに、酒瓶と通帳を持ち、笠を被った「酒買いタヌキ」像は、小僧に化けてお酒を買いに来た子ダヌキにお酒を売ると幸運になるという話から、福・富を授かる招き猫のように料理屋や食堂入口に置くようになったということです。
  ●タヌキの溜めフン
タヌキは溜めフンをすることでも知られます。溜めフン場以外ではフンをしないわけではありませんが、溜めフンをする動物は限られているため、溜めフンは、そこにタヌキが生息することを知らせてくれます。また、そのフンを注意深く観察することにより、タヌキが何を食べているのか、ある程度知ることができます。溜めフンは、1個体のものではなく、数個体が同じ溜めフン場を利用することがあります。この地域では今何が食べ頃なのか、新しく入ってきた個体がいるとか、フンを通してタヌキ同士の様々な情報交換も行われているのでしょう。
天竜川周辺での生息状況
天竜川の河川敷では、タヌキの足跡やフンを多数確認しました。しかし、タヌキの巣穴は見つけることができませんでした(タヌキは、巣穴として岩穴などのほか、アナグマやキツネの巣穴を利用することがあります)。このことから、天竜川の河川敷を訪れるタヌキの多くは、河川敷の外からやってきたものと考えられます。天竜川の両側には道路が走っています。タヌキなどの動物の多くは、山間部に生息していますから、天竜川の水辺にたどり着くためには、道路を横断しなくてはなりません。このため、タヌキの道路での事故死が毎年起きています。近年、道路の下に野生動物が通るためのトンネルを設ける工夫がなされる例が出てきました。こうした通路が効果的に配置されるようになれば、道路で事故死する野生動物をもっと少なくすることができるようになるのではないかと思います。
人家の軒先で遊ぶ子ダヌキ タヌキのためフン:ケンポナシの種を多く含んでいた
人家の軒先で遊ぶ子ダヌキ タヌキのためフン:ケンポナシの種を多く含んでいた
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