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天竜川の生き物
天竜川上流の主要な昆虫類
トンボの仲間
バッタの仲間
コオロギの仲間
チョウの仲間
クワガタの仲間
水生カメムシの仲間
大きさ
50〜55mm
生息環境
抽水植物の多い水溜まり
撮影 細江 崇
大きさ
38mm内外
生息環境
抽水植物の多い水溜まり
撮影 細江 崇
大きさ
95〜100mm
生息環境
細流・緩流部
撮影 細江 崇
幼虫は「ヤゴ」と呼ばれ、水中で生活しています。河川や水路などの流水中に生息する流水性の種と、河原に形成された池や水溜まりなどの止水域に生息する止水性の種があります。特に、河原の水溜まりなどは止水性のトンボ類の良好な繁殖場所となっています。
「平成10年度河川水辺の国勢調査陸上昆虫類等」では、27種のトンボの仲間が確認されました。多くは長野県内に広く分布している種ですが、本来は生息していない南方系のオオギンヤンマや、全国的に珍しいマダラヤンマも確認されました。
トンボの幼虫は「ヤゴ」と呼ばれ、水中で生活しています。ヤゴの生息環境は、山間の渓流、平野部の大きく緩やかな流れ、水田脇の用水路、植物に覆われた池や沼、大きな湖など様々です。トンボの仲間は、このヤゴの生息環境から「流水性トンボ」と「止水性トンボ」の2つに大きく分けられます。天竜川で確認された流水性の種は、ハグロトンボ、ダビドサナエ、オニヤンマなどです。一方の止水性の種は、オツネントンボ、ギンヤンマ、オオシオカラトンボ、アキアカネなどで、確認されたうちの大半は止水性のトンボです。
天竜川は河川敷が広いために流路がいくつにも分かれ、緩やかな流れや湧水が池状になった溜まり水が多く存在しています。そのために、本来は池沼や水田に生息する止水性のトンボ類が多く見られるのでしょう。またトンボの仲間の多くは、羽化後しばらくの未熟な成虫期を羽化場所から離れた草地や林で過ごしますが、天竜川の河川敷にはそれに適した広い草地や河畔林が多く存在していることも一因だと考えられます。
トンボの仲間はオスが占有行動をとることがあります。占有行動とは、1個体がある一定の範囲(テリトリー)を見張り、その範囲内に同種のオスや他の種のトンボが侵入した場合に追い払うことを指します。占有行動は、テリトリー内を飛行して見張る方法と、枝先や水際に静止して見張る方法があり、テリトリーへの執着の強さも種によって様々です。飛行して見張るタイプはヤンマの仲間に多く、オオルリボシヤンマやギンヤンマなどが一定範囲をグルグルと旋回している様子は大変目立ち、他のトンボ類を体当たりで追い出す様は壮観です。静止して見張るタイプでは、ショウジョウトンボやオオシオカラトンボが執着度が強く、他のトンボ類が近くを通ると瞬間的に飛び立って追い払います。
また、近縁な種の間では、占有する環境の好みが微妙に異なります。例えば、ギンヤンマは日当たりが良く開放的な池を好みますが、クロスジギンヤンマはより日陰が多く周辺を木立に囲まれた小さい池を好みます。全く同様に、シオカラトンボは水田などの平坦な場所にある開放的な水域を好みますが、オオシオカラトンボは林に囲まれた閉鎖的な池沼を好みます。このような現象は“棲み分け”と呼ばれ、トンボの仲間だけでなく、生態系の様々なところでみられる現象です。
トンボの幼虫(ヤゴ)は、水中で水生昆虫などを捕食します。(撮影:SERP)
書籍
からPDFファイルがダウンロードできます。
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大きさ
20〜29mm
生息環境
砂礫地
撮影 SERP
大きさ
38mm内外
生息環境
草地
撮影 星野利雄
大きさ
95〜100mm
生息環境
細流・緩流部
撮影 SERP
河原の砂礫地から草地を生息場所としています。なかでも、カワラバッタは河川の砂礫地を主な生息場所としています。
「平成10年度河川水辺の国勢調査陸上昆虫類等」では、14種のバッタの仲間が確認されました。
バッタの仲間は、河川敷や堤防上の草地に多く生息していますが、疎らな草地に接した砂地あるいは砂礫地に特異的に生息するバッタがいます。それが、天竜川を代表するバッタ、カワラバッタです。カワラバッタは、河川中流域の河原に分布していて、県内でも広く分布しています。カワラバッタの体色は灰褐色で、河原の石の上や砂地にいると見事な保護色となって背景に溶け込んでしまいます。しかし後翅は鮮やかな青灰色で、飛ぶと大変目立ちます。おそらく、飛んで外敵から逃げるときにはわざと目立って相手を油断させ、着地して後翅をたたんだ瞬間に背景に溶け込むことで、外敵の目をくらませる効果があると考えられます。
天竜川の河川敷に生息するバッタ類は、草丈や乾燥条件によって、種ごとに生活場所を使い分けています。ほとんど草がない裸地にはカワラバッタが生息し、もう少し草の多い、丈が低く疎らな草地にはヒナバッタやクルマバッタモドキが生息しています。ヒナバッタやクルマバッタモドキは地味な色合で目立ちませんが、天竜川では最もよくみられる種です。オギやススキが混じった丈の高い草地には、トノサマバッタ、ショウリョウバッタ、ツマグロイナゴなどが生息しています。また、水際に近い湿った場所には、ハネナガヒシバッタやノミバッタがみられます。
ノミバッタはやや特殊な生活をするバッタの仲間で、前あしはモグラのように土を掻き分けるのに適したシャベル型をしています。この前あしで土に穴を掘り、巣を作って生活しています。温度変化の少ない土中で、成虫越冬するといわれています。
キリギリスやコオロギの仲間はメスを誘うために鳴くことが知られていますが、バッタの仲間にもよく鳴くものがいます。それはナキイナゴで、初夏から秋季にかけて、やや深い草むらの葉上でオスが「ジャカジャカジャカジャカ……」または「ギチギチギチギチ……」という声で鳴いている姿をよく見かけます。このように鳴くのはオスだけで、後あしの内側を前翅に擦り合わせ て音を出しています。
しかし実は、このように鳴くのはナキイナゴだけではありません。トノサマバッタやヒナバッタなど、ほかの種もほとんどのオスは同じようにして発音できます。特にヒナバッタは、ナキイナゴと同じくらいよく鳴いています。さらに大半の種では、オスほどはっきりした音ではないにしろ、メスも同様にして発音できるのです。バッタの仲間が鳴くのは、オスがメスに求愛するときや、メスが交尾を拒否するとき、オスがほかのオスを追い払うときなどです。
書籍
からPDFファイルがダウンロードできます。
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大きさ
9mm内外
生息環境
砂礫地
撮影 SERP
大きさ
8mm内外
生息環境
砂の多い砂礫
撮影 SERP
大きさ
20〜25mm
生息環境
砂の多い砂礫地
撮影 星野利雄
河原の砂地、砂礫地、草地などを生息場所としています。特にハマスズやエゾエンマコオロギは、河川の砂礫地を主な生息場所としています。
「平成10年度河川水辺の国勢調査陸上昆虫類等」では、18種のコオロギの仲間が確認されました。そのなかには、分布上重要な種がいくつかあります。
まず、最も注目すべきはハマスズです。これは体長1cmにも満たない小型のコオロギで、体色は白っぽい砂の色に大変よく似ています。名前の通り、砂浜でみられるコオロギで、海岸や大きな河川下流域の乾いた砂地に生息しています。長野県では1981年に駒ヶ根市の天竜川と太田切川合流点付近で発見され、その後、天竜川の数カ所に生息していることが分かりました。今のところ長野県内では、天竜川のみに生息しています。天竜川のような内陸部での生息地は、本来の生息地とは隔離されていて、どのように侵入してきたか、あるいは幅広く分布していたものが分断されてしまったのか、興味深いところです。
次に、暖地系の種がどれほど北まで分布しているのかが注目されます。暖地系の種としては、ヒメコオロギ、クサヒバリ、クマスズムシがあげられます。ヒメコオロギとクマスズムシは、天龍村での生息が知られているだけです。クサヒバリは、飯田市付近まで生息していることが知られていましたが、飯島町でも確認されました。これら暖地系のコオロギ類が分布域を北に広げる場合、主に木曽川と天竜川に沿って県内に侵入することが考えられます。実際に天龍村の天竜川河川敷では、暖地系種の記録が多くあり、長野県内で最も暖地系コオロギが多い場所です。
ほかに注目すべき種として、エゾエンマコオロギが生息しています。エゾエンマコオロギは、長野県が全国的な分布の南限にあたります。なかでも天竜川の生息地は、最も南に位置しています。本州のエゾエンマコオロギはどこでも河原に生息しており、近縁のエンマコオロギが草むらを好むのに対して、より石がごろごろした荒れた河原を好む傾向があります。
コオロギの仲間は、オスが前翅をこすり合わせて発音し、メスを誘ったりほかのオスを追い出したりします。この発音は“鳴き声”として、昔から人々の郷愁を誘いました。鳴き声が美しいことでよく知られているのは、スズムシです。スズムシはほかのコオロギ類に比べて翅が大きく、「リーン、リーン」と涼しげな大きな声で鳴きます。エンマコオロギも、よく知られています。お盆過ぎくらいから水田や空き地などで「コロコロリー」あるいは「コロコロコロコロ………」と聞こえる声は、大勢の人が聞き覚えのあることでしょう。ところが、この2種を差し置いて“鳴く虫の女王”と称される種がいます。カンタンという体長 1.5cmくらいの弱々しいコオロギの仲間です。カンタンの鳴き声は、「ルルルルル………」と連続した小さめの声で、コオロギの仲間でも特に周波数が低いために人間の耳に心地よく響きます。
書籍
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大きさ
25〜43mm
生息環境
樹林
撮影 SERP
大きさ
43〜68mm
生息環境
斜面林
撮影 SERP
※環境省絶滅危惧種II類
大きさ
9〜16mm
生息環境
低茎草地
撮影 各務寿
河原の草地、河畔林の林縁部、狭窄部の斜面林に生息しています。なかでも、ミヤマシジミは河原のコマツナギ(マメ科植物)が生育する低茎草地を主な生息場所としています。
「平成10年度河川水辺の国勢調査陸上昆虫類等」では、58種のチョウの仲間が確認されました。
天竜川で確認したチョウの仲間は大きく分けて、草地などの明るく開放された場所に生息する種と、天竜川の狭窄部に発達する斜面林や、河川敷などの樹林に生息する種がいます。
河川敷や堤防の法面などの明るい草地では、イチモンジセセリ、モンキチョウ、ベニシジミ、ヒメアカタテハなどが見られます。河川敷の樹林では、コムラサキやヒオドシチョウなどが見られ、斜面林ではオオムラサキやクロヒカゲなどが見られます。樹林と草地の境界部や疎林などでは、イチモンジチョウやコミスジなどが見られます。
チョウの仲間には、モンキチョウやベニシジミのように春から秋まで見られる種もいますが、ツマキチョウのように春だけに見られる種や、オオムラサキのように初夏から夏に見られる種などがあります。また、チャバネセセリやウラナミシジミのように秋になってよく見られる種もあり、南の暖かい地方から移動して来て、夏から秋に繁殖して増えることが知られています。
多くのチョウは花の蜜を吸いに来ますが、コムラサキやオオムラサキなどのように、クヌギやヤナギなどの樹液を吸いに来る種もいます。また、コチャバネセセリ、カラスアゲハ、クロアゲハ、ルリシジミ、スミナガシなどは、時々河原などの水がしみ出ているところに吸水に来ます。このように吸水に来るのは、不思議なことにほとんどがオスです。
チョウは植物との結びつきが特に強いグループのひとつで、チョウがよく見られる場所の付近を探すと、幼虫が食べる食草(食樹)が見つかることが多く、卵や幼虫を観察することもできます。例をいくつか挙げると、スジグロシロチョウやモンシロチョウなどはタネツケバナやイヌガラシなどのアブラナ科の植物の付近に、コムラサキやヒオドシチョウなどはヤナギ類の付近に、ルリシジミやツバメシジミはハギなどのマメ科植物の付近に見られます。その中でも特徴的なのがミヤマシジミで、河原に多く生育するコマツナギを食草としています。このチョウは全国的にも、河川敷や堤防などで見られることが多い種です。
このように天竜川で確認したチョウの多くは、河川敷に生育している植物を利用して生息しています。
天竜川で確認したチョウの多くは、長野県内では比較的広い範囲に生息している種ですが、長野県南部の天竜川沿いでは、アオスジアゲハ、ツマグロヒョウモン、クロコノマチョウのように南の暖かい地方に生息する種も見られます。
書籍
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大きさ
オス23〜45mm
メス23〜33mm
生息環境
樹林
撮影 SERP
大きさ
オス27〜51mm
メス25〜40mm
生息環境
樹林
撮影 SERP
大きさ
オス13〜23mm
メス15〜21mm
生息環境
樹林
撮影 SERP
河畔林や狭窄部の斜面林を生息場所としています。河畔林では、樹液の出ているヤナギによく集まってきます。
「平成10年度河川水辺の国勢調査陸上昆虫類等」では、4種のクワガタムシの仲間が確認されました。
天竜川で確認したクワガタムシの仲間は主に雑木林に生息する種で、斜面林や河原の樹林の樹液が出ている樹木上で見られます。河原の河畔林ではヤナギ類、斜面林ではクヌギやコナラなどのブナ科の樹木上に見られます。また、天竜峡より下流の狭窄部では、川沿いにある外灯やJR駅の待合室の灯りなどに飛来する個体も観察できます。
クワガタムシの成虫の食餌は主に上記の樹木から出ている樹液で、カブトムシやカナブンなどとともにこれを吸っている姿が観察できます。クワガタムシの幼虫は、朽ち木(キノコやカビなどの菌類によって腐った木材)を食べて育ちます。
書籍
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大きさ
40〜45mm
生息環境
水溜まり
撮影 星野利雄
大きさ
22〜25mm
生息環境
水溜まり
撮影 SERP
河原に形成された水溜まりや、岸辺の淀みなどの止水域を生息場所としています。
「平成10年度河川水辺の国勢調査陸上昆虫類等」では、6種の水生カメムシの仲間が確認されました。水生カメムシ類とは、コオイムシやミズカマキリ、マツモムシなどです。確認された種は、全て池や沼などの止水を主な生息場所とする種です。
天竜川には広い河川敷内に流路がいくつも存在し、非常に緩やかな流れや、増水時だけ本流とつながる湧水池もみられます。確認された水生カメムシ類は、このような止水的環境や、本流では植物が茂った岸際の流れの緩やかな部分で生活しています。本来は池沼に生息する種ですが、決して一時的な生活場所だけに天竜川を利用しているわけではありません。おそらく全ての種が天竜川の河川敷内で繁殖し、世代を繰り返しているはずです。農村の市街地化や圃場整備で生息場所となる水を張った状態の休耕田や溜池が減った現在、このような河川敷における生息地の重要性はますます高くなっています。
水生カメムシ類は、魚やヤゴのようにエラを持っていないので、水中で呼吸することができません。そのため、空気呼吸するために様々な工夫をしています。例えばタイコウチやミズカマキリは、腹部の先に長い呼吸管を持っていて、主としてその先端を水面上に出して新鮮な空気を得ています。コオイムシは、同じように呼吸管を持っていますが大変短く、わずか数mmしかありません。代わりに、翅と腹部の間に空気の層があって、そこに空気を貯めておきます。空気がたまるコオイムシの腹部背面には、空気が逃げないように長毛がたくさん生えています。ミズカマキリやタイコウチも同じように翅の下に空気を貯めることができますが、体がより細長いために、その機能に関してはコオイムシに劣るようです。また、コミズムシやマツモムシは呼吸管を持っていません。そのためコオイムシのように空気を体に貯めて呼吸しているのですが、翅の下だけではなく、体の周囲全体に空気を貯めることができます。空気の泡のなかに身を置いているようなもので、水中にいるときは空気の泡が銀色に光っているので、体に空気をくっつけている様子がよく分かります。
ところでマツモムシとコミズムシは、活発に泳ぎ回るためのオール状の後あしを持ち、外見状は大変よく似ています。しかし、その生態は随分異なります。まず、マツモムシは背泳ぎのように腹を上側、背中を下側にして、普通とは上下逆さまに泳ぎます。一方のコミズムシは、背中を上にして、普通の向きで泳いでいます。またマツモムシは肉食性で、水面に落ちた昆虫の体液を吸っていますが、コミズムシは植食性で、植物の汁を吸って生活しています。なお、全ての水生カメムシ類の口は物を噛むことができず、セミと同じで「吸う」ことに適応した形になっています。
書籍
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