蓮ダム建設の背景
【私たちの安全と安心のために】
日本は雨の多い国で、その雨は梅雨期や台風期に集中しています。また、地形的には河川の勾配(こうばい)が急で延長が短いことから、雨水が一気に流れて洪水による被害が発生しやすい国です。ダムはこのような川に人工的に湖をつくって、一時的に水をあずかる役割をするのです。
さらに、日照りが続いて、飲料水や農業用水などが不足し、人々の生活に被害を及ぼしそうな時には、ダムに貯めてある水を放流することによって水不足を防ぎます。いわば「水の銀行」というところでしょうか。
ダムはこの他にも、電気をつくるなど大切な仕事を行っており、私たちの生活には欠かせない存在となっています。
【蓮ダム建設に向けて】
櫛田川の流域は、日本屈指の多雨地帯として知られる大台ヶ原の近傍に位置し、大雨や台風などによって、度々災害に見舞われてきました。昭和34年の伊勢湾台風を始め、昭和57年8月、平成2年9月、平成6年9月と度々大きな出水に見舞われています。特に、伊勢湾台風による被害は甚大で、この災害を契機に櫛田川の治水計画が見直され、蓮ダム建設へと計画が進みました。
また、商工業を中心とした松阪市、一大観光地である伊勢市、鳥羽市、水需要の著しい伸びを示していた志摩地区などの三重県南勢部は、地域開発の進展と生活水準の向上に伴って水需要・電力需要が増大していました。
このため、蓮ダムは治水・利水・発電等の目的を持つ多目的ダムとして建設されることとなりました。