クマタカ(Spizaetus nipalensis)は、山地の森林に生息している大型の猛禽類です。
環境省のレッドリストでは絶滅危惧IB類(EN)に指定され、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)で 国内希少野生動植物種として、保護の対象になっています。平成16年の環境省の発表によると、国内の最少個体数は1,800個体(900つがい)と 推定されています。
クマタカは、スリランカ、インド南部、ネパールから中国南部、台湾、 日本にかけて(アジア南部から東部)分布します。 |
営巣地近くの木にとまる幼鳥 |
低山帯や亜高山帯の針葉樹林、広葉樹林に生息し、とくに高木の多い原生林を好みます。急峻な山腹のある深い渓谷で見られ、森林内の急斜面にある大きな樹木に営巣します。
クマタカの行動面積は4~25km²と幅があります。この行動面積の中に、コアエリア(クマタカが一年を通じてよく利用し、生活の基盤となる範囲)や、繁殖テリトリー(つがいの形成や、産卵及び雛を育てるために排他的になる範囲)、幼鳥の行動範囲(巣立ち後の幼鳥が独立できるまでの生活場所)といった行動圏の内部構造を持っています。コアエリアの大きさは、巣の周囲の概ね7~8km²とされていますが、もう少し幅があるとも言われています。
繁殖期は11月頃から始まり、7月下旬~8月上旬頃、雛が巣立ちます。地域により1~2ヶ月程度の差があり、西方の暖かい地域ほど産卵時期が早い傾向がありますが、個体差があります。これらの生活史には積雪量も影響しています。
クマタカの繁殖サイクル 注意)「猛禽類保護の進め方(特にイヌワシ、クマタカ、オオタカについて), 1996, (編)環境庁」をもとに作成。
待ち伏せ型の狩りをし、中・小型の哺乳類、中・大型の鳥類、ヘビ類など多様な動物を捕食します。 |
飛翔する雄成鳥 |