現在、国土交通省中部地方整備局では豊川水系豊川に設楽ダムの建設を予定しています。 この設楽ダム周辺には、種の保存に関する法律(種の保存法)で 国内希少野生動植物種に指定されているクマタカが生息しています。
設楽ダム周辺では3つがいのクマタカが確認されていますが、 平成19年6月に公告縦覧した「豊川水系設楽ダム建設事業環境影響評価書」では、 クマタカ3つがいのうち、1つがいについては、コアエリア内での改変はなく、 事業による影響はないと予測されています。また、その他の2つがいは、 コアエリア内の生息環境の一部が改変されるものの、生息にとって重要な環境は広く残されることから、 長期的にはつがいは生息し、繁殖活動は維持されると予測されています。 しかし、繁殖テリトリー内の一部で工事が実施され、 建設機械の稼働に伴う騒音の発生等による生息地の撹乱によって、 工事期間中には繁殖成功率が低下する可能性があると予測されています。
この予測の結果を受け、設楽ダム工事事務所では、 クマタカを対象として工事期間中に環境保全措置を実施するとともに、 環境への配慮事項としてクマタカの繁殖・生息状況の確認調査等を行っています。
・環境保全措置
設楽ダム周辺に生息するクマタカの環境保全措置等の内容については、 専門家の指導・助言を得ながら、検討しています。
表 工事実施中における環境保全措置等の内容
項目 | 内容 |
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工事実施時期の配慮 | ・繁殖活動に影響を与える時期には、必要に応じて工事を一時中断します。 |
建設機械の稼働に伴う騒音等の抑制 | ・低騒音、低振動の工法を採用します。 ・停車駐車時のアイドリングを停止します。 |
作業員の出入り及び工事用車両の運行に対する配慮 | ・作業員や工事用車両が営巣地付近に不必要に立ち入らないよう制限します。 ・車両、服装の色や素材に配慮します。 |
クマタカの繁殖・生息状況の確認(事後調査) | ・工事中について、クマタカの繁殖状況の確認及び行動圏内部構造の状況の確認を行います。 |
動植物の生息・生育状況の監視(配慮事項) | ・工事の実施前、実施期間中及び供用開始後には、 クマタカを含めた動植物の生息・生育状況の監視を行います。 |