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クマタカ通信

vol.215 2019年度完成工事紹介その13-下谷第2砂防堰堤本体工事

2020年06月02日

クマタカ通信vol.215


2019年度の完成工事を、施工者の皆さんの苦労話を交えて紹介していきます。第13回は、下谷第2砂防堰堤本体工事に従事した株式会社ヤマモトより寄稿いただきました。


2019年度完成工事紹介その13-

下谷第2砂防堰堤本体工事


1.工事の概要

 当工事現場である揖斐川町久瀬東津汲にある下谷は、平成20年9月2日~9月3日にかけての記録的な豪雨(西濃豪雨)により土石流が発生した場所です。すでに第1砂防堰堤が建設されています。
 当工事は、その直上流に2基目となる砂防堰堤を建設する工事で、工事用道路となる下谷林道を拡幅・付替する工事を含め第7期目になります。
 今回の工事では、堰堤の中央部と左岸側のコンクリート工及び中央部の鋼管スリット工、右岸側の取付護岸工及び橋台工を施工しました。



今回工事の着工前


今回工事の完成


2.現場技術者の声

〇現場代理人:小寺 正洋さん / 〇監理技術者:中島 時義さん

■災害復旧
 8月15日から16日にかけての台風10号の影響により、現場が被災しました。現場事務所に設置した雨量計での2日間降雨量は300㎜近くとなり、また、最大の時間降雨量は67㎜にもなりました。そのため、谷水が増水し谷の土砂を削り取ることとなって、仮締切の崩壊や仮水路の破損とともに現場内への土砂流入災害となりました。
 被災直後に現地にて、協力会社の担当者と復旧に向けての打合せを行い、お盆休み明けすぐに作業に取り掛かる段取り調整をおこないました。その結果、手間の掛かる作業ばかりでしたが、無事復旧することができ、短期間で本工事を再開をすることができました。


現場内への土砂流入の状況


仮締切の破損状況


仮水路の破損状況


■作業ヤードと工事用道路
 当工事現場では、25tラフテレーンクレーンは必須となります。また、現場は狭隘で、一度に多くの建設機械や大型車両を配置することができません。なので、各構造物の施工において、クレーンやポンプ車の能力に適した配置や大型車両の運行や転回を考慮した作業ヤードを設ける必要がありました。
 協力会社との事前の打合せや日々の段取り調整により、各作業に適したヤードを設けることができ、施工を進めることができました。
 また、工事用道路となる下谷林道の一部において、急勾配で急カーブの箇所があり、大型トレーラーでの鋼管スリット材料搬入ができないことがわかりました。
 協力会社と検討した結果、当工事現場から程遠くない場所に当社の敷地があることから、一度その場所に鋼管スリット材料を搬入し、そこから当現場へ小運搬をする計画を立てました。実際に行ってみると分かっていたとはいえ、予想以上に手間の増える作業となりましたが、無事に鋼管スリットの据え付けを完了することができました。


左岸袖軸のコンクリート打設時のヤード


右岸橋台施工時のヤード


鋼管スリット据え付け時のヤード


■仮設取水施設
 下谷は東津汲地区の簡易水道の水源地となっています。既設の取水施設は本堰堤の施工に伴い取壊しが行われたため、代替の取水施設を設置しています。
 代替の取水施設は、増水時の土砂の流入や秋の落葉等で取水口が閉塞され、谷水の供給が不安定になることから、一週間から10日に一度の頻度で取水口の清掃を行う必要がありました。特に冬場は、外気温も低く冷たい水の中に手を入れての作業となり、心が折れそうになることもありましたが、工事を任された者として責任を持って取り組みました。その結果、工事期間中は取水を止めることなく上水の供給を行うことができました。また、水道管理者や地元からの苦情もなく上水の供給ができたことは良かったと思います。


取水口の清掃状況


■まとめ
 当工事は、狭隘な場所での作業となりました。建設機械や大型車両の配置や運行と掘削の影響を考慮すると、各構造物の並行施工ができないことから、順次施工するしかありません。工期にも余裕がないことから、作業調整には苦心しました。協力会社との連絡を密に行い作業間に空きがないよう工程の調整をして、無事に工事を完了することができました。また、掘削に伴い発生した多くの土砂は流用土として埋戻し等に使用することになっていましたが、現場には土砂を置く場所もなく懸念材料でした。幸いにも現場近くある協力会社のご好意でその会社の敷地に仮置きすることができ、作業を進めることができました。
 工事期間中にいろいろと問題が発生するなかで、工事関係者の方々には相談に乗っていただき大変感謝いたしております。また、苦情もなく無事故で工事を完了できたことは大変良かったと思います。
 あらためて、本工事を無事に完了できましたことは、発注機関及び工事関係者や地元住民の方々のご協力があってのことと深く感謝申し上げます。


3.その他一言

「自然と共に、地域と共に、皆様と共に」をキャッチフレーズで多くの方々に支えられ今年で創業100年を迎える事が出来、深く感謝申し上げます。さらなる100年をめざし、粉骨砕身の心を忘れず頑張りますので今後共よろしくお願い申し上げます。              
URL: http://www.kk-yamamoto.co.jp/


4.工事概要

工事名:平成30年度 越美山系下谷第2砂防堰堤本体工事
施工業者:株式会社ヤマモト
工事期間:2019.3~2020.3



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