クマタカ通信vol.212

2019年度の完成工事を、施工者の皆さんの苦労話を交えて紹介していきます。第10回は、村之谷第1砂防堰堤道路工事に従事した西濃建設株式会社より寄稿いただきました。

2019年度完成工事紹介その10-
村之谷第1砂防堰堤道路工事

１．工事の概要

　当工事は、揖斐川の左支川である村之谷に計画されている砂防堰堤を施工するための工事用道路を作る工事となります。主な工種は、道路土工、法面工、擁壁工、排水構造物工、舗装工、縁石工、防護柵工、構造物撤去工です。今年度は県道から谷の上流方向に延長約400mの施工を行いました。

着工前

施工完了

２．現場技術者の声

○現場代理人：棚橋　将紘さん　/　○監理技術者：髙木　克英さん
　この現場で苦労した点は狭い施工ヤードでの作業です。入口付近の搬入路が狭く、4tダンプトラックまでしか走行出来ません。また施工範囲内には工事車両、重機がすれ違うことのできる箇所が限られており、同時に複数箇所を施工することが困難でした。当初の計画では入り口付近の既設コンクリート舗装の撤去を最初に行う予定でしたが、既設舗装下の地山の状況が悪く4tダンプトラックでも走行はむずかしいと考え、コンクリート舗装の撤去を後回しにし現状の道路をそのまま利用して作業をすることにしました。また、施工工程のロスをなくすために協力業者間の連絡を取り合い、作業内容や作業場所の調整を随時行いました。その結果、工程のロスを減らすことができ、なんとか工期に間に合わせることができました。
　安全面では、重機事故の防止として生産台数の少ない希少な回転式のクローラダンプを使用しました。車両上部が旋回することが出来るため、後進する必要がなく狭い作業場でも安全に土砂の運搬が出来ました。また、バックホウにはサイドカメラ、バックカメラを付けて、オペレーターが重機の周囲を確認できるようにしました。その結果、重機との接触事故を防ぐことができました。さらに、第3者への災害を防ぐために仮設防護柵を設置しました。現場の直下にはお墓や民家があり、掘削作業などの施工時に落石被害の可能性がありました。そこで仮設防護柵を設置し落石を防ぎました。重機事故や第3者への災害防止措置を行ったことで、無事故無災害で工事を完了することが出来ました。

回転式クローラダンプの使用

仮設防護柵の設置

根株の撤去状況(赤丸内：仮設防護柵)

■まとめ

　当現場は狭い施工ヤードの中での多工種ある現場でした。重機を使う作業や法面の作業時には、重機との接触、法面からの落石等危険があるため作業箇所が重ならないよう各協力業者の方々と連絡を取り合い、工程を考えながら施工を行いました。急な段取り変更もしましたが、無事故で工事を完了することが出来ました。
　今回の施工現場は民家やお墓、田畑などと隣接しているため、地元の方々には大変ご迷惑をおかけしました。また、計画通りにいかないこと、協力業者間の連携構築などたくさん苦労したことはありましたが、工期内に無事故で工事を完了できたことは大変うれしく思います。地元の方々、工事関係者のご協力のおかげで、無事故無災害で工期内に施工することが出来ました。ありがとうございました。

３．その他一言

　当社では、岐阜県が推し進めている建設人材の育成・確保の取り組みに協力しています。現場見学やインターンシップなど行い、建設業について知ってもらっています。興味のある方は下記URLにホームページを掲載しておりますのでご覧ください。
URL： http://www.seinokensetsu.jp/

４．工事概要

工事名：平成30年度　越美山系村之谷第1砂防堰堤道路工事
施工者：西濃建設株式会社
工事期間：2019.3～2020.3

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