クマタカ通信vol.204

2019年度の完成工事を、施工者の皆さんの苦労話を交えて紹介していきます。第4回は、坂内白谷第1砂防堰堤工事に従事した西建産業株式会社より寄稿いただきました。

2019年度の完成工事紹介その4-
坂内白谷第1砂防堰堤工事

１．工事の概要

当工事現場は、揖斐川町坂内坂本の坂内川右支川白川の支渓です。今年度が4期目の工事で、本堰堤の1部、左岸側副堰堤、垂直壁、側壁の施工でした。今回は、水替えに掛樋を使用、また、施工管理ではICTを取り入れ3次元管理、情報化施工へのチャレンジなど、多くの工夫をしながらの工事となりました。

２．現場技術者の声

〇現場代理人：大郷　和幸さん／〇管理技術者：堀部　真矢さん

■水替工
　この現場で苦労した点で第1に思い浮かぶのは水替方法ですが、いかに安全でスムーズに工事を終わらせるかと考えた時に、どちらかというと主構造物の施工より仮設計画に重点を置く必要があると思います。私には経験が少なく、社内及び施工業者に色々な方法を聞き、検討しながら最善の工法を導きだしました。それが掛樋による水替です。本副間の掛樋の流水勾配は0.1%しかなく不安な部分もありましたが、鉄板水路であるため、粗度係数も小さく、思ったよりも多くの水量が流れました。掛樋施工の際には、H形鋼を使用した受台を現地加工で作成し、強固なものを造ることで増水の時にも倒壊しなかったので良かったです。
　掛樋により水替は順調でしたが、8月15日夜間からの台風10号の影響により、左右岸から流れ込んだ雨水により、垂直壁等施工途中でしたが浸水する被害もありました。お盆休み中に施工業者の協力を得て早期の復旧を行い、休み明け工程に遅れもなく工事が再開できました。協力していただいた方々には大変感謝申し上げます。

■ICT
　現在、ICT(情報通信技術)を活用し、省力化に向けた取り組みが非常に活発になってきています。当現場でも、積極的に取り入れました。地上型レーザースキャナーを使用した3次元測量の実施により測量手元の削減及び危険箇所へ行くことの根絶、座標の机上測定による図面作成、出来形管理図作成の自動化について実施しました。今回の対象範囲が小規模であったため、大きな効果は得られませんでしたが、今後生産性、安全性の向上が大きく期待できるものだと思います。活用機会見つけ、これからもチャレンジしていきたいと思います。

■まとめ
　当現場は急峻な渓谷内での作業です。今年度は右岸側に構造物が出来ている中、左岸の半川施工で大変狭い中での施工となりました。当初計画時は下流より上流に向かい順次施工していく方法を検討しましたが、工期内完成が難しい工程となったため再度施工方法を見直すこととしました。仮水路(掛樋)完了後に副堰堤～垂直壁間の同時掘削、上下作業にならないよう側壁掘削と法面工の並行作業、上下流2箇所のクレーンヤードを設置し日当たり打設量見直しの工程を考え実践しました。結果としては、安全施設等に多少手間はかかりましたが、無事故で完了することが出来ました。
　完了して思うことは、ICTの活用により現地測量にかかる時間、日数が大幅に短縮され、精度も良く、私たち現場管理者としては時間に余裕が出来た分、安全管理等に割くことが出来ました。今後技術革新が進むことを大いに期待します。また、今回の施工期間中、思うようにいかないこと、計画に悩むこと、施工業者の連携等苦労したことは多くありますが、地域とコミュニケーションをとりながら、苦情もなく無事故で工事を完了できたことは大変うれしく思います。
　工事関係者、また、地元住民の方々のご協力のおかげです。大変感謝申し上げます。これからも地域の安全を守るためこの業界に誇りを持って物造りに励みたいと思います。

３．その他一言

最後に、わが社は地域社会のため、故郷の豊かな自然環境を守るため、「豊かに自然をオリジナル」をスローガンのもと、専心努力を重ねています。若くやる気のある人材を広く募集しています。興味のある方は下記URLにホームページを掲載しておりますのでご覧ください。
(http://seiken-style.com/)

４．工事概要

工事名：平成30年度　越美山系坂内白谷第1砂防堰堤工事
施工者：西建産業株式会社
工事期間：2019年3月～2020年2月

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