ICTレポート
東海環状自動車道での情報化施工実施工事を見学しました |
平成26年2月25日(火)。現在一部整備中の「東海環状自動車道」のうち岐阜県岐阜市の最北端と山県市との市境において鋭意施工中である現場に今回はお邪魔しました。近隣の工区でそれぞれ、【3Dマシンガイダンスバックホウ】【2Dマシンガイダンスバックホウ】を活用しているとのことで、双方のお話を伺いました。
■3Dマシンガイダンスバックホウ
1つ目の現場は、RTK-GNSS方式で3DMGバックホウを活用している、「平成25年度 東海環状東深瀬道路建設工事」。施工者は、(株)加藤組さんです。こちらの工事は、トンネル坑口部の土工工事。掘削工・法面整形工・盛土工を行っています。
右図がこちらの現場の概要図です。法面を見ていただくとわかるように、法面方向が大きく変化しています。さらに勾配も徐々に変化していくという複雑な形状です。
従来作業では曲面の法面整形作業に細かい丁張りが必要になる中、ここの土質は「軟岩1」と丁張りをするにも苦労する状況。そこで、丁張りが不要となる3DMGバックホウを採用したそうです。
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データ作成には苦労されたとのことですが、その分、現場は効率化されたとのこと。となりの写真のとおり狙いどおりの丁張りレスで、バックホウの丁張り作業待ちもなく、スピーディーな施工となったそうです。また、危険な小段での作業がなくなったり、機械周辺に作業者が立ち入らなくなったりするなど、安全性も向上したそうです。
左下写真は、同工事で施工した工事用道路。こちらも丁張りを設置せずマシンガイダンスで掘削作業を行っています。丁張りレスでこの出来上がりにうっとり。 |
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現場でのトラブルとしては、降雪時にGNSSの受信が出来なくなったこと。積もったら取り除く必要あり。
あとは、現場直上を通っている送電線。これが通信障害への影響が多少あったとのことです。(ガイダンスは出来るが低精度の表示がでるもの。) |
■2Dマシンガイダンスバックホウ
2つ目の現場は、2DMGバックホウを活用している、「平成24年度 東海環状北野北道路建設工事」。施工者は、青協建設(株)さんです。こちらの工事は、掘削工・法面整形工を行っています。
今回、道路線形がほぼ直線であること、また、法面が一定勾配であることから2DMGバックホウを採用したとのこと。土質は1つ目の工事同様「軟岩1」ではありますが、何とか丁張りも設置できたそうです。
作業は、確認作業による機械への乗り降りが少なくなり効率化が図られたとのことでした。
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こちらの現場での特筆すべき点は、施工着手前に、出来形管理用3次元データを作成し、それを施工前・施工中に活用していること。データを用いることにより、丁張り設置も簡単になり、施工中の確認作業もスムーズ。このような一定勾配の場所であれば「TS出来形管理+2DMGバックホウ」で、十分な効果が得られる、というのが現場のご意見でした。
一方で、TSを用いて簡単に丁張り位置が分かるため、普通の測量では丁張りができない若手が出てきてしまっているとのこと。このように便利になっていく状況が、技術力の低下を招くのでは…と危惧されていました。
どちらの現場も、それぞれ現場に適合する「3DMG」「2DMG」を活用している現場でした。今後、当研究会の技術普及チームでは「3D」「2D」のすみ分けについて議論していく予定である中、その参考となるお話を聞くことができました。
取材協力:(株)加藤組、(株)亀太、日立建機日本(株)、青協建設(株)、ライカジオシステムズ(株)
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