―天竜川水系(天竜川上流河川事務所)  
 
大西山大崩壊地
荒川大崩壊地(荒山岳下)
百間ナギ崩壊地
水系概要
 天竜川は本州中央部を北から南に向かって流れている我が国屈指の急流河川である。流域面積は5,090km2、幹川流路延長213kmで長野・静岡県にまたがっている。その源を諏訪湖に発し伊那谷を南流し、東より中央構造線付近を流れる三峰川、小渋川、遠山川の三大支川を合わせ、西より中央アルプスの山稜より一気に流れ落ちる太田切川、与田切川、中田切川、片桐松川などの各支川を合わせ、天竜峡から県境にかける狭さく部を下り、広大な扇状地を通って遠州灘に注ぐ。
 
直轄砂防区域の状況
 天竜川上流河川事務所の直轄砂防事業は、長野県大鹿村で昭和12年度から行われており、重荒廃面積376.0km2、一般荒廃面積842.5km2に及ぶ。これらは直轄区域面積1,332.0km2の約28.2%、63.3%を占める。当事業地区は大断層である中央構造線を始め地質構造的にも脆弱で、急峻かつ狭隘な環境に囲まれ、冬には多くの積雪に見舞われ工事施工も大変厳しい地区となっている。また、竜西域の下流扇状地には重要な交通網である中央自動車道、国道153号、JR飯田線等があり、土砂災害が発生した場合の地域社会、経済へ与える影響は計り知れない。中でも、天竜川上流部の伊那谷には、南信地域の中心都市である飯田市をはじめ、駒ヶ根市・伊那市等の諸都市を擁し、高速交通網を生かした先端産業の立地が進んでいる。
 
崩壊地の概要
 当事業区域内には比較的大きな崩壊地だけでも十数か所点在している。その中でも代表的なものが、大西山大崩壊地、荒川大崩壊地、百間ナギ大崩壊地の3箇所である。これらは豪雨のたびに徐々に崩壊し、堆積・再移動を繰り返しながら、土石流化して下流へと流下する。そのため、当事務所では、土石流化した土砂が下流へと安全に流下するように、砂防堰堤、床固工群等の対策を講じ、下流域住民の生命・財産を守っている。
     
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