天竜川の三峰川合流点付近において、河川の一部を堰き止め、魚や水生昆虫を採る体験(かいぼり)、及び河川敷でのごみ拾いのイベントが実施されました。
これは日本財団「海と日本プロジェクト」が取り組んでいる学習イベントで、国民一人一人が海洋ごみの問題を自分ごと化し、“これ以上、海にゴミを出さない”という社会全体の意識を向上させていくことを目標に実施されています。
かいぼり体験に参加する子どもたちは、安全対策のため、ライフジャケットと、胴長を着用して体験に挑みました。
安全装備を着用する子ども達
開会式では、伊那市長も激励に訪れ、「地域の川を大切にして、海や地域の環境について考える一日にしましょう」と挨拶されました。
開会式(市長のお話)
開会式の後は、漁協の方により投網のデモンストレーションが行われました。みんなの前では捕れませんでしたが、かいぼり体験中に行った投網で捕れたウグイや外来魚のコクチバスを、現地に用意した簡易水槽に入れ、休憩中の子ども達に、泳ぐ魚を紹介してくれました。特定外来生物のコクチバスは生きたままの移動が禁止されているので、その場で処分されるとの説明がありました。
投網のデモンストレーション
体験後に外来生物の説明を聞く子ども達
かいぼり体験(一部)では、久保田先生の魚の捕り方と注意点などの説明を聞いた後、子どもたちが一斉に川に入りました。開始1分で魚を捕まえた女の子は、興奮気味に「捕まえた〜」と報告していました。綺麗な水にしか棲めないナベブタムシ、タイコウチ、オコイムシなども見つかり、先生も「こんな虫がたくさんいるなんて、本当に綺麗な川なんですね。」と感心されていました。
参加した6年の児童はタイコウチを捕まえたとのことで、「虫取りが好きで網は使い慣れているけど、川の中での採集は初めて。先生にもいろいろ教えてもらえて楽しかった。」と話していました。
かいぼり体験場所での説明
開始1分で魚をGET!
先生からの説明を熱心に聞く児童
水量の多い天竜川と、堰き止められた体験場所
生き物採取の後は、川岸の草むらの中でごみ拾いを行いました。小口先生からは、「どんなごみがあるのか関心をもって拾ってください。小さいごみは影響ないかなと思う事もあるけれど、意外と怖いのです。」という説明がありました。
ペットボトルや、コンビニのごみ、苗ポットなど農業用のビニールごみも多くみられ、15分という短時間で軽トラック一杯分のごみが集まりました。
ペットボトルのごみが多い
15分で集まった軽トラいっぱいのごみ
かいぼり体験後に全員集合写真
かいぼり体験の後は、伊那市役所に移動して勉強会(二部)を行いました。
[ごみ] 小口先生から、川ごみ・海ごみの影響についての説明がありました。
無人島であるミッドウェー島(アホウドリの楽園として有名)で、海に流れ着いたプラスチックを餌と間違えて雛に与え、死んでしまった幼鳥が多くいる、というショッキングな話題から始まり、海に流れ着くごみの多くが川から流れ込んでおり、海のない長野県でも他人ごとではないと話されました。たくさん捨てられているプラスチックごみは小さく分解されてマイクロプラスチックとなり、多くの生きものの体内に取り込まれているという話もあり、最後のスライドでは、以下のメッセージがありました。
- 汚すのは簡単です。でも、汚したものをきれいにするのは、とても大変です。
- 諏訪湖が今の状態まで回復するのに、何10年という時間と、たくさんの人の努力が必要でした。
- かるい気持ちで捨てたゴミも、生き物の命を奪っているかもしれません。私たちの生活はいろいろなところにつながっています。
- これからの地球を守っていくのは皆さんです。自然と仲よく、そして自然を大切にしてください。
市役所での勉強会(ごみ)
海に流れ着くごみのお話
マイクロプラスチックの説明を聞く子ども達
[生き物] 久保田先生から、かいぼりで見つかった魚や水生昆虫についての説明がありました。「水質階級の指標生物(国土交通省作成)」資料を見ながら、見つかった水生昆虫から、棲んでいる水環境の綺麗さが判断できるという説明を受けました。
見つけられた生きものは水槽に入れて展示されており、子どもたちは興味深く先生の説明に聞き入っていました。
市役所での勉強会(生き物)
生き物の説明を聞く子ども達
学習会の最後には学習ノートに感想を書き込んで提出しましたが、資料を見ながら見つけた昆虫の絵を描いている子どももいました。
天竜川にもたくさんの生き物がいること、そしてごみもたくさん捨てられていること、両面からの学習を通じて、環境を考えるよい一日となりました。
水質判定の指標を見ながら学習ノートに書いたイラスト