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天竜川上流ニュースレター 91号(2021/7/19)

川路フォーラム 伝えよう水難の里の歴史を 
〜36災から60年〜

【会 場】川路小学校体育館(飯田市川路)
【日 時】令和3年6月27日(日) 13:00〜16:10
【出席者】約170名


 60年前の昭和36年(1961年)6月に伊那谷を襲った未曽有の災害「三六災害」。天竜川のはん濫によって大きな被害を受けた飯田市川路地区では60年の節目の年を迎え、改めてこの水害を見つめ直してこの経験を次世代に伝えていく川路フォーラムが開催されました。

会場の川路小学校体育館はほぼ満席
会場の川路小学校体育館はほぼ満席 
60年前の災害体験者から小学生まで様々な世代が来場


■構成吟「水難の里に生きて」
 フォーラムは、地域のみなさんの出演による「構成吟」で幕を開けました。吟詠・朗読・書・校歌・スライドを組み合わせた構成吟は、叙事詩のように天竜川、大桑園、災禍の川路の歴史と人々の姿を詠いあげました。
 川路小学校児童も校歌斉唱で参加し、会場全体が歌詞を口ずさみ、しばし一体感に包まれました。

構成吟は、原作・監修・構成・スライド・ナレーション・出演の全てが地域のみなさんによるもの
構成吟は、原作・監修・構成・スライド・ナレーション・
出演の全てが地域のみなさんによるもの


路小学校の児童による校歌斉唱
川路小学校の児童による校歌斉唱
来場した地域のみなさんも一緒に歌詞を口ずさむ


■式典
 主催者代表の今村正大さん(川路まちづくり委員会会長)は、薄れてきた災害を記憶に留め、たとえ今後災害があったとしても一人の犠牲者も出さない決意を述べました。
 登壇した10名の来賓を代表して、天竜川上流河川事務所から「治水対策を優先事業として平成14年に終え治水機能は向上したことをお伝えしつつも、地球規模の温暖化で前例のないような降雨が増加しており、あらためて過去の災害を見つめ直すことに意義がある」とお伝えしました。
 続いて、佐藤健市長(飯田市)は「地元のみなさんが企画立案し主催した地域の歴史を伝えるフォーラムに感銘を受け、こうした取り組みによって、60年前にこの地域が受けた災害を身近なものとして伝え、来場した子どもたちもそのことを知るきっかけになる意義深いものである」と語られました。

路小学校の児童による校歌斉唱
主催者代表の今村正大さん(川路まちづくり委員会会長)のあいさつ


■基調講演「長沼は継承されながら、のみ込まれた〜「まさか」に対する日頃の備え〜」
 一昨年の台風19号災害によって千曲川がはん濫し大きな被害を受けた長野市長沼地区で復興対策企画委員長を務める柳見澤宏さんによる基調講演がありました。
 千曲川では、昭和58年に飯山地方で堤防が決壊した水害の経験から、毎年6月29日を防災訓練の日として設定し、これを継承してきました。また、過去の災害の教訓から「長沼地区避難ルールブック」を作成し継承してきたことが“1013”の住民避難でも活かされたそうです(演者が用いた1013とは台風19号災害発災の10月13日を示す)。対策本部はすべて訓練どおりに対応し、判断が早かったのもこのルールブックがあってこそと、災害教訓の継承の大切さを強調されました。
 しかし、今回の災害に直面して二つの課題も見つかったようです。一度は避難した住民が堤防まで水を見に来ていた事例をあげ、情報の共有化とコミュニティタイムラインをどう作るか。そしてもう一点は、住民の安否確認先を自宅の固定電話に設定していたため、安否確認に8日間を要したことを改善すべきこととして紹介されました。
 “これまでのコミュニティをどうやって取り戻すか”が復興対策の重要な理念として活動を続けてきた中、「第1回住民集会」では想定を上回る400名の住民の参加があり「長沼地区が一つになろうとしている」と感じて胸が熱くなったそうです。豊野に計画されている公営住宅には地域分断も懸念されますが、はん濫の原因となった堤防の改修には、全国で2例目となる新技術が導入され、「立ヶ花ダム」と呼ばれている狭さく部の改良や、流域治水の考えに基づく広域対策も始まり、復興は進んでいるようです。
 講演の最後には「今までにない状況が起こる 目の前の現実をどう受け止めるか、これが災害時に大事なこと」そして「先人がやってきたことを粘り強く継承することが大事」と締めくくりの言葉がありました。
 講演の合間には「かわらんべで三六災害のことを聞いて、この土地の60年の積み上げを感じた」「堤防高までの全面盛土のすごさに感動した」と、大災害を経験しての実感がにじみ出る感想もありました。

演者の柳見澤宏さん
演者の柳見澤宏さん(長野市長沼地区復興対策企画委員長)


■パネルディスカッション
 三六災害を体験された清水卓さん(川路在住)は、災害当日に各地で交通が止められ川路に戻ることができず夜までかかってやっとたどり着いた経験を紹介されました。中島美和子さん(飯田市赤十字奉仕団川路分団長)は、川路では人的被害がなかったことから軽く見られがちだが「必死で逃げて間一髪だった」と体験を語られました。
 また、三六災害の時には「結」という助け合いの仕組みによって地域で支え合い、一旦避難してもすぐに川路に戻ったとの声が会場からもありました。
 災害時の避難について、後藤武志さん(飯田市危機管理室次長)は、やみくもに逃げるのではなく、どんな行動が自分に合っているか、自分にあった避難を知ることの重要性について言及しました。

■大会宣言「川路水害予防の日」制定
 フォーラムの最後に川路水害予防組合長より、天竜川の水位を見守り、流れ来る土砂の適量化に努め、避難時の隣近所で助け合いの決意が示され、6月27日を「川路水害予防の日」として長く記憶に留め水難の里の歴史を語り繋ぐ大会宣言が高らかに発せられました。

大会宣言を発する牧内幸雄さん
大会宣言を発する牧内幸雄さん(川路水害予防組合長)
後方はパネラーのみなさん


■天竜川との闘いの跡を見る:ウォーキング
 フォーラムに先立ち、前日6月26日に開催されたウォーキング形式のツアーには75名が参加して、天竜川沿川の水害痕跡や川との関わりを学びました。

出発点の天竜川総合学習館かわらんべの屋上で治水対策事業、死人岩、オットセ岩などが紹介された
出発点の天竜川総合学習館かわらんべの屋上で
治水対策事業、死人岩、オットセ岩などが紹介された


天竜川総合学習館かわらんべで開催中の特別展示「三六災害から60年」を観覧中の参加者
天竜川総合学習館かわらんべで開催中の特別展示
「三六災害から60年」を観覧中の参加者




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