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天竜川上流ニュースレター 90号(2021/7/16)

三六災害慰霊献花式

【場 所】大鹿村大河原地先 慰霊碑前
【日 時】令和3年6月28日(月) 10:00〜10:50
【出席者】約25名


■三六災害 大西山の崩壊について

 昭和36年6月29日9時10分ころ、大鹿村の大西山が大規模崩壊し、死者行方不明者42名のほか、多くの家屋破壊など大きな被害が発生しました。当時、当事務所小渋川砂防出張所に勤務していた職員も6名が犠牲となり、また5名が負傷しました。
 当時、大鹿村を含む伊那谷では梅雨前線の活発化により、飯田観測所で6月23日から7月1日までの総降水量が579mmに達しました。特に6月27日には日降水量325mmを観測し、その後も断続的に降雨が続きました。そして、雨の上がった翌日6月29日朝9時過ぎに、大西山の山腹が高さ約450m、幅約500mにわたり崩壊し、約320万m3の土砂が山津波となって小渋川を越えて山麓の下市場などの集落に押し寄せ、甚大な被害をもたらしました。

当時の大西山の崩壊状況
当時の大西山の崩壊状況
倉田重光撮影(語りつぐ濁流の子アーカイブスより)


 伊那谷を含む天竜川上流域は、中央構造線など複数の構造線の存在によりぜい弱な地質構造となっています。また、こうしたぜい弱な地質に加え、急峻な山地が多いといった地形特性が、土砂災害が発生しやすい要因となっています。
 大西山の崩壊は、このような地形地質と梅雨末期に降り続いた降雨により、大きな惨事として発生しました。

■三六災害慰霊献花式

 献花式は、大西山崩壊に伴い殉職した職員と、この災害で犠牲となられた住民の方々のご冥福を祈るため例年6月に行っており、今回は三六災害から60年の節目の献花式となりました。
 献花式は、まず当時の小渋川砂防出張所跡に建立された慰霊碑、次いで大西公園内の大鹿村慰霊碑において行われました。
 小渋川砂防出張所跡での献花式の開会にあたっては、小渋川砂防出張所長から大西山崩壊に至る経過や被害の状況等の説明につづき、犠牲となった職員の慰霊のため昭和42年に慰霊碑が建立されたことなどを紹介しました。そして、当事務所長から三六災害から60年という節目にあたって当時被害にあわれた方々への哀悼の辞と共に、これまで地域と共に治水や砂防等の事業に取り組んできたこと、そして近年の豪雨多発など災害危険性の高まりのなかで、今後も防災の取り組みを進めていくことを誓いました。
 また、大鹿村の熊谷村長からは、当時犠牲となった方々への哀悼の辞と、これまでの砂防事業など防災への感謝や安全・安心に向け一層防災意識を高めていきたいとのお言葉をいただきました。

大鹿村のあいさつ(大鹿村 熊谷村長)
大鹿村のあいさつ(大鹿村 熊谷村長)


 開会のあいさつに引き続き、参加者による献花及び焼香を行い、当時、犠牲となった方々の冥福を祈りました。

出張所跡慰霊碑における献花・焼香
出張所跡慰霊碑における献花・焼香


 出張所跡慰霊碑での献花等の終了後、大西公園内の大鹿村慰霊碑に移動しました。
 犠牲者の供養と村の再建を願い、崩落した大西山の約5万uの崩落土に整備された大西公園は、遠来の客でにぎわうサクラの名所になっています。大鹿村慰霊碑は、平成3年に三六災害30周年を記念して建立された大西観世音菩薩のひざもとにあります。
 大鹿村慰霊碑でも献花・焼香が行われ、職員一同、防災・減災への強い気持ちをあらためて誓い、献花式を終えました。

大鹿村慰霊碑における献花・焼香
大鹿村慰霊碑における献花・焼香


 今年の献花式にはNHKをはじめ複数の報道機関が取材に訪れており、近年の防災への関心の高さが伺えました。
 当事務所長はこれらの取材にあたり、災害を繰り返さないための取り組みとして、砂防事業等のハード面の取り組みともに、三六災害の被害の大きさを後世に伝えるなど災害の教訓を今後の防災対策に生かしていくことや、地域連携などソフト面の取り組みを示しました。

献花式後、取材に対応する事務所長
献花式後、取材に対応する事務所長


■おわりに

 大西山の崩壊は、三六災害のなかでも特筆される土砂災害であり、多くの犠牲者が発生し、災害対応中の出張所職員も犠牲となる大きな惨事でした。しかし、近年にも繰り返し発生している災害を考えると、このような過去の災害から学び、その教訓を後世に伝えていくことは、防災意識の向上につながる大切な取り組みとなります。
 天竜川上流河川事務所では、地域と連携した防災面の取り組みを強化しつつ、今後も各自治体や関係機関と連携しながら、災害から流域を守るため、引き続きハード面・ソフト面の取り組みを進めてまいります。



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