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天竜川上流ニュースレター 89号(2020/12/15)

天竜川シンポジウム 〜頻発する河川災害 流域防災を考える〜

【会 場】駒ケ根市市民交流センター アルパ3F
【日 時】令和2年11月28日(土) 13:00〜16:30
【主 催】特定非営利活動法人天竜川ゆめ会議
【共 催】駒ケ根市、駒ケ根市教育委員会、
長野県治水砂防協会、(一社)長野県建設業協会、
(一社)長野県測量設計業協会、
(一社)建設コンサルタンツ協会関東支部長野県地域委員会、
長野県河川協会
【後 援】国土交通省中部地方整備局、
長野県、
(一社)長野県南部防災対策協議会、
(一社)南信防災情報協議会
【出席者】50名


天竜川の川づくりに、市民団体として長年携わっている「天竜川ゆめ会議」が「流域防災を考える」と題し天竜川シンポジウムを開催しました。 世界規模の地球温暖化に伴う気候変動により、台風などの災害も甚大なものになってきています。水災害のリスクの増大に備えるためには、流域に関わるすべての関係者(国・県・市町村・企業・住民等)により流域全体で行う「流域治水」が必要です。こうしたテーマで開催されたシンポジウムの概要をご紹介します。 。

シンポジウム開催状況
シンポジウム開催状況


 【講座1】中部地方整備局の流域治水の考え方について
■中部地方整備局 河川部 河川調査官:川瀬宏文さん

川瀬さんの講演の様子
川瀬さんの講演の様子


中部地方における @水害、土砂災害の状況、A気候変動の影響、B流域治水 について、近年、全国各地で毎年のように甚大な被害をもたらす自然災害が発生しており、令和元年の東日本台風での千曲川の決壊や、令和2年7月豪雨での熊本県人吉市の災害状況など、全国各地の災害発生状況の事例をあげて説明がありました。 このうち、今年の7月豪雨では三峰川の堤防が一部欠損する被害が発生しましたが、素早い対応により被災前と同等の堤防盛土を整備し、二週間後には緊急復旧工事が完了しました。このことは、災害復旧に対応できる重機について地域に十分な台数が保有されていることを示しており、地域との連携により流域防災が達成されている一例として紹介されました 令和元年の水害では被害額が統計開始以来最大になるなど、被災による経済損失も大きくなっています。対策として災害に対する事前防災の強化が必要であり、それにより @被害を大きく軽減でき、特に人命を守ることにつながる、A災害後の復旧や被災者の生活再建等に係る負担、社会経済活動への影響などを軽減できる、などの効果が期待されます。 治水事業としては、近年の気候変動による水害の激甚化・頻発化に備えるため、あらゆる関係者が協働して流域全体で水害を軽減させる「流域治水」を進めており、以下のような対策をハード・ソフト一体で行うことを検討しております。
対策1:氾濫をできるだけ防ぐための対策として、事前放流等の実施や、流域の貯留施設等の整備などを行っていく。
対策2:被害対象を減少させるための対策として、災害ハザードエリアにおける土地利用規制や、誘導、移転促進など、安全なまちづくりのための総合的な対策を講じていく。
対策3:被害の軽減、早期復旧・復興のための対策として、住民が地域の水災害リスクなど様々なリスクを把握、理解できるような情報提供を進めていく。



「流域治水」の説明資料
「流域治水」の説明資料


最後に、あらゆる関係者と協働して治水対策に取り組んでいくための「流域治水」を、住民の皆様に理解いただくことも必要となり、そのためには、わかりやすい情報提供の推進を行う旨の説明がありました。

【講座2】長野県企業局のダム管理について
■長野県企業局 南信発電管理事務所 高遠ダム管理所 所長:藤本晃人さん
藤本さんの講演の様子
藤本さんの講演の様子


長野県企業局ではダム管理を通じて電気事業と水道事業に取り組み、県内の豊かな水を活用して、クリーンな電気、及び安全・安心の水道水を安定的に供給することで、県民の暮らしを支えています。 電気事業としては、県内17か所の発電所で発電事業を行っており、その出力合計は10万1197キロワットに達しているそうです。発電した電力は中部電力(株)・丸紅新電力(株)・みんな電力(株)の3社を通じて、事業者の再生可能エネルギー率の向上や、信州産電力の価値向上を目指す「信州Greenでんき」プロジェクトとして、企業や一般家庭、大都市の保育園等に供給されるようです。 新規発電所開発や大規模改修への取組み状況や、利水ダムの管理について、そして事前放流や高遠ダムの運用状況についての説明がありました。

【講座3】直轄管理のダム操作
■国土交通省 天竜川ダム統合管理事務所 管理課長:岡本明さん

岡本さんの講演の様子
岡本さんの講演の様子



美和ダムでは、再開発事業により洪水調節容量が増強され、洪水時の最大放流量を大幅に低減できるようになりました。令和元年の台風19号や今年の7月豪雨の際には、美和ダムや小渋ダムで行われた防災操作によって、下流部では水位を低下させる効果が得られました。さらには、土砂バイパストンネルの運用により、ダム貯水池に貯まる土砂量を抑制することができ、小渋ダムの場合、その抑制量は約210万立米(ダンプトラック約42万台分で100億円相当に換算)と推定されます。  治水機能を持つ美和ダムなどは、大雨などの洪水時に下流の被害を軽減するために、ダムに流れ込む水を貯留し、調節した量の水を流すという役割があり、洪水前、洪水中、洪水後のそれぞれにどのような割合で水を流すかという説明がありました。しかし計画規模を超えるような異常洪水が想定される場合には、ダムに貯めることができる水の量にも限界があるため、下流に流す水を徐々に増加させ、最終的には貯水池に入ってくる量と同程度の量を下流に流します(自然河川と同じ状態)。これを異常洪水時防災操作と言い、ダムに流れ込む量よりも多くの水は決して放流しません。  また、上記の洪水時の操作に加えて、今年度から新たに運用が開始された予備放流と事前放流についての紹介がありました。これは、洪水が予測されるような場合においては雨が降る前にダムの水を放流して貯水位を低下させ、洪水に備えます。これらを状況に応じて効果的に運用し流域の防災に貢献しています。

ダムの防災操作についての資料
ダムの防災操作についての資料


【写真コンテストの受賞者発表】 シンポジウムに合わせ「私の大好きな水辺の風景」の写真が募集され、受賞された作品の紹介がありました。今回はコロナ禍のため受賞写真の展示及び表彰式は行われず、スクリーン上での発表となりました。
<グランプリ受賞作品>
<グランプリ受賞作品>



シンポジウムの最後に、NPO法人天竜川ゆめ会議の福澤浩代表理事より閉会の挨拶があり、気候変動による水災害のリスク増大に備えるため、これからは流域全体で行う「流域治水」の考え方が重要であり、それを進めるためにも、今回の内容は、一般の方にも聴講いただきたい講演であったと所感が述べられ閉会しました。
※なお、今回のシンポジウムは天竜川ゆめ会議の会員限定で開催され、参加者全員の検温と座席間隔の確保、定期的な換気等の十分な感染予防対策が行われた上で開催されました。




国土交通省 中部地方整備局
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