天竜川上流河川事務所では、6月の「土砂災害防止月間」に事業の周知と防災知識の普及を目的とした「砂防・地すべり現場見学会」を毎年開催しております。今回は大鹿小学校3年生を対象として実施した現場見学会の様子をご紹介します。
最初に、小渋川砂防出張所の砂防ステーションで、伊那谷の地形や災害、および砂防工事について学ぶビデオを見ました。地質の説明は少々難しかったようですが、百閭iギから崩れて落ちてきた「ひゃっけん君」というアニメによって崩れやすい地形・地質がイメージできたようです。
ビデオ視聴の後、小学校から見える大西山が三六災害によって崩壊した時の写真を見たり、平成26年の南木曽町豪雨災害での土石流を説明していると、被害の写真を見て、思わず「わぁ、怖い!」と声が上がっていました。大雨が降った時の逃げ方や、様々な砂防工事についても説明を行い、土砂災害を防ぐための工事がいかに大切であることが伝わったようです。
土砂災害の大きさに思わず声が上がる
室内での学習のあとは滝沢第2砂防堰堤の工事現場を見学しました。巨大なジャングルジムのような柵で大きな石や木を受け止め、小さな土砂と水だけを流す仕組みを説明しました
砂防施設の大きさを体感
その後、滝沢第1砂防堰堤の脇で、実際に「バックホウ」に試乗し工事の体験を行いました。児童たちは「おもしろーい」「自分で土をすくったんだよー」と興奮気味に話していました。
つづいて、光波測量機を使って、二人一組で測量の体験を行いました。あらかじめ設定された目標地点を正確に探し出すために「あと3歩後ろの2歩右に移動して」「右へ10cm後ろに2cm!」など、細かな数字を読み取って地点を探し、その場所を掘って宝物(お菓子)を見つけてもらいました。正確な工事を行うために1mmの精度が求められることを知ることができたようです。
これらの楽しい体験を通じて砂防工事現場の雰囲気を味わってもらえた様です。
バックホウに試乗して工事体験
計測器を使って測量体験
測量の正確さを宝探しで確認
続いて塩川床固工が整備されている「塩の里」という観光施設に移動しました。施設脇に流れる塩川では、川の流れを緩やかにして大雨の後の土砂の流れを弱めていることや、魚も移動できること、観光客も水と親しむことができる工夫が施されているなど、環境にも人にも優しい工事が行われている説明を行いました。
ここでは工事現場で活躍しているドローン操作を見学し、児童たちは自分たちが映っている様子を確認しながら手を振り、歓声を上げていました。
最後に、大切なふるさとの川がいつまでも自然豊かであり続けることを願って渓流魚のアマゴの放流を行いました。
床固工の役割を説明
自然豊かな川を願って渓流魚のアマゴを放流
ドローンによる上空からの記念撮影
天竜川上流河川事務所では、災害から流域の皆さんの生命や財産を守るため砂防事業を進めています。その一環として今回のような流域の小・中学校の防災学習の授業支援にも取り組んでいます。土砂災害防止月間にあわせて実際の砂防施設などを見学することによって、防災への意識がさらに高まるものと考えられます。今回の体験が今後の地域防災に役立つことを願っております。