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天竜川上流ニュースレター 79号(2018/10/19)

天竜川シンポジウム  住民の川離れを解消し、“川に行くきっかけづくり”の創出 〜川の楽しみ再発見〜

【会 場】駒ヶ根市駅前ビル 市民交流活性化センター多目的ホール他
【日 時】平成30年10月14日(日) 10:30〜17:00
【主 催】特定非営利活動法人天竜川ゆめ会議
【共 催】駒ヶ根市、駒ヶ根市教育委員会、長野県、長野県治水砂防協会、(一社)長野県建設業協会、(一社)長野県測量設計業協会、(一社)長野県南部防災対策協議会、(一社)南信防災情報協議会
【参加者】約80名

 天竜川では、市民団体として天竜川の川づくりに長年携わっている「天竜川ゆめ会議」が、現在の天竜川の現状や課題について理解を深めるための活動を行っており、その一環としてシンポジウムが開催されました。河川では、平成9年の河川法改正以来、「河川環境のあり方」や「住民参加」等に注目が集まるようになってきましたが、その一方で「地域住民の川離れ」が進み、昨年度開催された天竜川シンポジウムでも、「川に行くきっかけづくり」が必要であると結論されました。
 今回の天竜川シンポジウムは、「川に行くきっかけづくり」を考え天竜川への関心を高めることなどをめざして開催され、情報提供や基調講演のほか、参加者がワークショップ形式で「治水」、「利用、「環境」といった分野について議論しました。

【情報提供】
 主催者あいさつ等に引き続き、「ミズベリングの推進」について浜松河川課国道事務所の田中所長から、情報提供がありました。
 まず、かつて川を中心とした水辺は、人と自然の共生の場や生活の場ともなっていたものの、戦後の高度成長期には川の水質も悪化し人々の生活から川が離れてしまったことや、河川行政でも治水がまず重視されてきたこと、そして、そのような中で平成9年の河川法改正では環境が河川管理の目的として組み込まれ、また「親水空間の整備」も行われてきたことが紹介されました。
 しかし、実態として河川利用者の増加にはなかなかつながらない状況の中から、「ミズベリング」が、河川の利用を「他人事ではなく、自分の事として河川を使うこと」に注目した事業として推進されてきたとの説明がありました。

ミズベリングの情報提供(田中所長)
ミズベリングの情報提供(田中所長)

 ミズベリング(MIZBERING)は、「水辺+RING(輪)」、「水辺+ING(進行形)」、「水辺+R(リノベーション)などの意味を持つ造語で、水辺に関心を持つ市民や企業等が自ら河川を利用する活動を意味しており、現在全国で60か所程度のミズベリング会議があるとのことでした。事例として、大阪市の土佐堀川、山口県長門市の音信川、愛知県岡崎市の乙川などの事例が紹介されました。

【基調講演】
 基調講演は、天竜川鵞流峡プロジェクト代表の曽根原さんから、「天竜川を楽しむ!!」というタイトルで、鵞流峡における環境整備についての報告でした。曽根原さんは、天竜舟下りの船頭さんで、鵞流峡付近のごみの不法投棄がひどいことに心を痛め、何とかしたいとの思いが活動の原点であったとのお話しでした。また、鵞流峡には昭和36年頃まで瀬の湯という温泉があり、これが廃業して以来、竹やぶ化しゴミの不法投棄が始まったことなどが紹介されました。この竹やぶの手入れをボランティアで行いつつ、この伐採した竹を活用してイカダをつくり川下りしたこと、またこのイカダに使用した竹の活用で、竹ボイラーによる足湯の整備や炭作りなども始めたことが紹介されました。

基調講演の様子(曽根原さん)
基調講演の様子(曽根原さん)

 このような中で、地元とのつながりをつくろうと竜丘地区自治会、地元企業、そして自治振興センター等と協力してプロジェクトを立ち上げたとのことで、このなかで地元の小学生が参加しての竹林整備などの連携や地域交流が進んだとのことでした。また、最近は、イカダを活用した環境教育等も実施し、竹やぶの竹を利用したメンマづくりなどもはじめるなど、継続的に竹林整備ができるように工夫しているようでした。

【分科会】
 午後からは、参加者が3つの小グループ(治水、環境、利用)に分かれての分科会及び、参加者全員による全体会議を行い、天竜川の現状や問題点、目標とする姿などについて活発に意見交換しました。各グループでは、コーディネーターを中心に、それぞれのテーマについて、まず自由意見を出しつつ、それを分類しながら意見集約する形で議論が行われました。

分科会(治水)の様子
分科会(治水)の様子

分科会(利用)の様子
分科会(利用)の様子

分科会(環境)の様子
分科会(環境)の様子

 分科会の議論のあと、分科会のコーディネーターから議論の概要が報告され、その後「天竜川の恵みと楽しみ方」をテーマとして全体討論が行われました。
 分科会からの報告では、治水の分科会からは、なかなか治水や防災に関する情報についてリアリティがなく他人ごとになりがちになるのではといった問題提起があり、情報伝達の工夫や過去の災害を学ぶ必要性、学校教育の中での防災教育、国や県などの行政間の情報共有・発信方法の工夫の必要性などについて意見が示されました。また、環境の分科会からは、取り組みの中で、特に教育と交流が大切であるとの意見があり、川に行くきっかけづくりや川に近づくための施設整備の必要性、諏訪、上伊那、下伊那そして静岡県側も含めた天竜川流域全体での交流の必要性について意見が示されました。そして、利用の分科会からは、川に行くきっかけづくりのほか、川は危ないと意識の改善、そして川の魅力発信等の意見があり、川は危険という一般的な意識の中で、きちんと何が危険かを認識したうえで、どのように利用できるのかを情報発信したり、川での体験の場を増やすことにより、地道に河川に来てもらえるように工夫する必要性などが示されました。

分科会討議内容の発表状況
分科会討議内容の発表状況

 以上のコーディネーターの報告を受けて、全体討論では、川に行く理由やきっかけや留意事項として、やはり川での活動が楽しいことやその裏付けとしての安全性の確保の大切さ、川に行ってもらうための工夫(たとえば「川の駅」のような施設の整備)、学校との連携等の意見がありました。また、地域によっては小学校等が体験の場としての河川を利用したり、天上が主催する水生生物観察会も近年600名程度の参加があるなど徐々に河川での活動がみられることも報告されました。今後もミズベリングに代表されるような河川での活動の重要性を再認識しました。

全体討論の状況
全体討論の状況

【写真コンテストの写真展示・表彰式】
 ■私の大好きな水辺の風景写真コンテスト
 シンポジウムに合わせて天竜川流域の水辺の風景写真を募集した写真コンテストが行われ、応募写真の展示やコンテスト受賞者への表彰式が行われました。写真コンテストは、流域住民の方々から応募いただき展示、表彰するもので、今年は約100点の応募がありました。
 また、これらの写真を事務局にて審査し、グランプリその他の各賞受賞者を選定し、シンポジウムにて表彰が行われました。

写真コンテスト応募作品の展示
写真コンテスト応募作品の展示

 今回のシンポジウムは、「住民の川離れを解消し、“川に行くきっかけづくり”の創出〜川の楽しみ再発見」をテーマに開催されました。
 その中で、ミズベリングといった新しい河川とのかかわり方についての情報提供や、天竜川で継続的に活動を続けられてきた方々のお話や分科会の議論をとおして、現状の課題点について整理ができたと思われます。

天竜川ゆめ会議代表理事からのあいさつ
天竜川ゆめ会議代表理事からのあいさつ

 天竜川ゆめ会議にて掲げている「天竜川のみらい方針」の4つの柱(流域住民の意識、環境、利用、治水)にあるように、流域住民の川への意識を高めつつ、天竜川における川と人とのつながりを考え行動し、また節目ごとに振り返ることが大切であると再認識する機会となりました。

国土交通省 中部地方整備局
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