笑顔、きらきら、天竜川。 天竜川上流河川事務所
サイトマップ
Google(ロゴ)
災害/防災情報 天竜川を利用する 洪水に備える 土砂災害に備える 天竜川流域を考える 事務所関連情報
トップページ > 事務所関連情報 > 事務所通信 > 天竜川上流ニュースレター 2011年8号(2011/11/21)
天竜川上流ニュースレター 2011年8号(2011/11/21)

中央アルプスの自然環境から学ぶ交流イベント
 〜よたっ子と遊ぼう2011より〜

砂防

【イベント名】 よたっ子と遊ぼう2011 〜与田切川の散策と秋の味覚の楽しみ〜
【日時】    11月3日(木)文化の日 10:00〜14:30
【場所】    与田切川 右岸 砂防林
【主催】    与田切ネットワーク

 与田切川・砂防林管理のボランティアグループとして平成21年に発足した「与田切ネットワーク」。管理をおこなう仲間も年々増え、今回で2回目となる同ネットワーク主催による交流イベントがおこなわれました。約100名が参加した今回のイベントでは、河畔ウォーキングをはじめ、「わくわく体験コーナー」として、3つのテーマ会場で自然・防災に係わる広報活動が行われました。

砂防林をウォーキング
ウォーキング途中の自然観察

 午前中行われた河畔ウォーキングにあわせ、砂防林を管理する各団体による取り組みの紹介が行われました。
 コース沿いに区画区分された砂防林の管理団体の代表者に、団体紹介や管理へのこだわりなどを説明いただきました。
 また、実行委員による、コース沿いでみられる自然解説がおこなわれ、河畔林の成り立ちや食べられる植物の紹介、動物の痕跡(当日はツキノワグマの痕跡がありました)などの説明もしていただきました。

砂防施設の仕組みを知ろう 〜わくわく体験@〜
砂防施設の役割

 「砂防施設のしくみを知ろう」をテーマに当事務所の飯島砂防出張所で担当させていただきました。
 天然河川と床固工群設置後の河川を2種類の縮小河道模型を使って表現し、洪水時を想定した水流によって、砂で成形した河道が削れてゆく様子を再現しました。水の流れで川岸や斜面が崩れ、建物に見たてたミニチュアが流れ出す様子や、水を流した後の河道や流れ出した砂の量を比較することで床固工や護岸によって川底や川岸が削られにくくなっていることを参加者に解説し、大人から子どもまで楽しみながら学習して頂けた様子でした。

高所作業車から与田切ウォッチング 〜わくわく体験A〜
高所作業車から与田切ウォッチング

 (株)ヤマウラ様による「高所作業車から与田切川ウォッチング」のテーマ会場では、めったに乗れない高所作業車に乗ることができました。特設の展望台からは、床固工群といった砂防施設を含む与田切川の迫力のある風景を眺めることができました。

動物のフィールドサインを探そう 〜わくわく体験B〜
林の中にはフィールドサインがたくさん

 (株)環境アセスメントセンター様による「動物のフィールドサインを探そう」のテーマ会場では、センサーカメラ体験のほか、けものみち観察などが行われました。野生の生きものを観ることもでき、動物の生活の場にいることを実感することができました。

 今回のイベントでは、中央アルプス・与田切川の自然環境を再認識いただく一方で、砂防施設の役割についても地域の皆様に理解を深めることができたと感じています。また、各団体との交流も深めることができ、今後の取り組みにおいて発展が楽しみな一日となりました。


中沢小学校で出前授業を行いました 〜三六災害から学ぶ防災〜

砂防

【日時】 11月8日(火)8:50〜10:30
【場所】 中沢小学校(駒ヶ根市)

 駒ヶ根市の中沢小学校3・4年生の児童を対象とした砂防・防災の出前授業をおこないました。講師として、丸福久保田組の久保田社長、三六災害時に中沢上割大洞で被災された双山(ふたつやま)さん、当事務所からは飯島砂防出張所長の大森が参加し、災害の恐ろしさなどを伝承するとともに砂防施設の役割や大切さを学んでいただきました。

三六災害の様子を伝える
三六災害の様子

 はじめに久保田社長が、郷土の中沢に大きな被害をもたらした三六災害の様子について、当時の写真をスライドで説明しました。50年前、中沢でも山津波(土石流)と呼ばれる津波が発生しました。どうして山津波が押し寄せたか?と児童に聞くと、「雨が長く降ったから」と正しく答えてくれました。しかし、2週間も降り続いたと聞いた児童たちは、全員が驚いた様子でした。

被災体験を聴く
被災体験を聴く

 つづいて双山さんの三六災害の被災体験をお聴きしました。「三六災害って聞いたことある?」との問いかけに、ほぼ全員が手を挙げました。当時6才の双山さんは中沢上割大洞で被害に遭いました。父親以外の家族を濁流にのみ込まれた様子や、災害から生き抜くための壮絶な光景が目に浮かぶような口調での語りかけを、児童たちは身動ぎせず静聴していました。
「家で暮らせて食事でき勉強ができることがありがたいことだと感じて欲しい。」
「緑豊かな伊那谷の自然を大切にしてほしい。」
との願いを語られ、その思いは児童の心にもしっかり刻まれた様子でした。

災害を防ぐために
災害を防ぐため

 つづいて中沢地区の三六災害と天竜川の特徴について飯島砂防出張所長の大森が説明しました。双山さんが被害に遭われた場所では、現在、唐山沢砂防林床固工事により床固工群と呼ばれる砂防施設を整備し、土石流の災害を防ぐ対策をおこなっていることと、災害から身を守るための方法について紹介しました。

模型を使い砂防施設の効果を学ぶ
 最後に校庭に場所を移し、今年度完成予定の唐山沢砂防林の床固工群の機能と効果について学んでもらうため、ハンズオンの模型を使って説明をおこないました。
川にみたてた模型に砂を敷き詰めて準備

まず、天然河川と床固工群の水路模型にみんなで砂を敷き詰め、天然河川側の斜面や川岸に、建物に見たてたミニチュアを置きました。

通水:どんな変化が起こるか・・期待の児童ら

通水をします。どんな変化が起こるか・・・
児童らに期待の表情が伺えます。

床固工群の効果の解説

 通水後、天然河川側(写真左)では、河床や河岸の砂が削られ、やがて建物のミニチュアが流されると児童からは一斉に「あー」と声があがりました。
 一方、床固工群側(写真右)は、河床や河岸が削られることなく、流れ出た砂も少ないことから、床固工群の効果が一目瞭然でした。


世界でも希少な場所
駒ヶ根高原フィールドミュージアムのガイドツアーに参加

紅葉の太田切

【イベント名】 駒ヶ根高原砂防フィールドミュージアムのガイドツアー
【日時】    11月6日(日)13:00〜16:30
【場所】    与田切川 右岸 砂防林
【主催】    駒ヶ根高原砂防フィールドミュージアム活用促進協議会

 中央アルプスの豊かな自然に育まれた駒ヶ根高原一帯の自然、人々が築きあげた文化や郷土を守る砂防施設によって進んだ土地利用、景観のビューポイントなどの地域資源全体を野外展示物と見立てた青空博物館をツアーする「駒ヶ根高原砂防フィールドミュージアムのガイドツアー」が開催されました。当日はあいにくの雨でしたが、駒ヶ根ファームスには参加者35名が集合し、A・Bの2コースにわかれて秋の駒ヶ根高原の散策を楽しみました。本レポートでは、ガイドの赤羽さんと北澤先生によってご案内いただいたBコースについて紹介します。

渓畔で駒ヶ根高原の成因を聴く
渓畔で駒ヶ根高原の成因を聞く

 主に「こもれ陽コース」と「七名石コース」を徒歩とバスで巡る3時間ほどの行程は、太田切川を渡る「こまくさ橋」からスタートしました。紅葉が盛りの太田切川沿いから中央アルプス千畳敷方面を眺望しながら、駒ヶ根高原の成り立ちや周辺の地質について学ぶことができました。

2万年前の土石流の痕跡
七名石

 砂防情報センター(アルプス体験館)の「あめ太郎」(降雨体験車)の前で、50年前の三六災害で駒ヶ根を襲った豪雨の話を聴いた後、かつての土石流が運んだ巨石群「七名石」を訪れました。名石の代表である切石は、千畳敷カールから流れ出て、2万年前の土石流でここまで運ばれてきたとの説明に、ツアー参加者は一様に驚いた様子でした。直線の延長上に点在している巨石に、今も土石流の痕跡を見ることができます。
 また、国の重要文化財にも指定され、長野県下屈指の大寺「光前寺」は早太郎伝説が有名ですが、その立地にも土石流が関係していることを学びました。光前寺の付近では14万年前以降は土石流が発生していないことから、先人は安全なこの場所に建立したのだそうです。

貴重な建物に当時の文化を学ぶ
江戸時代の民家:旧竹村家の見学

 江戸時代中頃に建立されたといわれる「旧竹村家住宅」では、当時名主だけに許された独特な造りから当時の郷土での暮らしの一面を知ることができました。

かつては地すべりによってできた湿地だった
大沼湖に映った山腹の紅葉

 旧竹村家のすぐ近くには大沼湖があります。かつての大沼湖は地すべりによってできた湿地で「大沼」と呼ばれていたそうです。静かにたたずむ湖水と中腹の紅葉は最高の被写体で、多くの参加者がカメラに納めていました。

地球の足跡を目のあたりにできる世界でも希少な場所
土石流の小山 紅葉の太田切川を歩き、床固工群を見る

 さいごに昔の土石流でできた小山と、土砂災害を防ぐための太田切川床固工群を見学してツアーを終了しました。
 この土石流でできた小山をはじめ、今回ツアーに参加し数々の説明をいただいたことで、この地の成り立ち、大きく言えば地球活動の足跡を知ることができました。これらが土石流などの痕跡であることは自分で見るだけでは気づかない人がほとんどでしょう。
 駒ヶ根高原は、少し歩くだけで様々な自然・文化・歴史・暮らしに出会える、まさに「青空博物館」。地球の足跡を目のあたりにできる世界でも希少な場所です。ぜひたくさんの皆様に参加していただきたいガイドツアーだと感じました。

 なお、今回のツアーで立ち寄ったポイントを紹介したガイドブックなどを入手したい方は、駒ヶ根観光協会へお問い合わせください。

国土交通省 中部地方整備局
天竜川上流河川事務所

〒399-4114
長野県駒ヶ根市上穂南7番10号

TEL
FAX
0265-81-6411
0265-81-6421
Copyright(C) 2006 天竜川上流河川事務所