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天竜川上流ニュースレター 2011年7号(2011/11/09)
渓流魚の産卵を見に行こう 〜天竜川体験講座より〜 地域の皆様に防災への理解を深め、また、天竜川上流域の豊かな自然環境の大切さなどに理解を深めることを目的とした「天竜川体験講座」を10月30日(日)に開催しました。「渓流魚の産卵を見に行こう」と題し、参加申込をいただいた地域の皆様と一緒に計20名で阿智村の渓まで遠征し、自然の源流域でイワナの産卵行動を観察しました。
講師は、天竜川総合学習館(かわらんべ)スタッフ「柳生将之」さん。魚の生態にはとても詳しく常に研究熱心な生物学の専門家です。この日のために見学に適した場所の選定をはじめ、カメラを設置し録画をしていただくなど何度も足を運んでいただきました。
イワナは魚の中でも最上流部に生息し、警戒心の強い魚ですが、産卵の準備行動に入ってから産卵を終えるまでの1週間程度はとても集中するため、そっと近寄れば逃げないとのことです。
2m位までそっと近寄ってみましたが逃げる様子はありません。メスのやや後方で外敵から守るように、そして産卵を促すかのような動きをするオスの動きが水面から伺えます。
今回の講座では、柳生さんによる講座のほか、、
希少植物 ツツザキヤマジノギク
【イベントその1】 天竜川秋の自然観察会 〜河原の草花観察とモニタリング調査体験〜
今回の観察会では、河原の草花についての学習と、それらを保全するための自然再生事業についての紹介にはじまり、春の観察会で講師を務めていただいた信州大学名誉教授・土田勝義先生より、ツツザキヤマジノギクの生態について詳しい説明をしていただきました。
美しく咲いたツツザキヤマジノギクをじっくり観察した後、参加者全員でモニタリング調査体験をおこないました。一定面積の正方形の区画を各人が担当し、花の咲いている株とロゼット状の株の本数を数えました。全員の本数を合計し、昨年度と比較してみたところ、本数に大きな変化はなく、今年もしっかりと生育していることが確認できました。
次に、在来植物の生育に悪影響を及ぼす外来植物の抜き取りをおこないました。希少な在来植物を保全していくためには、人の手で外来植物を抜き取るより他に方法がありません。わずか15分程度の作業でしたが、在来植物の周りから外来植物のオオキンケイギクが目立たなくなりました。抜き取った外来植物の株は両手では抱えきれないほどありました。
午前中の雨のため来場できなかった方々が多くて残念でしたが、今後も地域住民の皆さんによって貴重な在来植物の観察会と、その保全のための外来植物駆除が計画されているようですので、ぜひ河原の在来植物の保全活動にご参加ください。
【イベントその2】 生物観察会9 河原の生物
つづいて、ツツザキヤマジノギクの観察です。場所を少し移すと一面の淡い紫色の花が参加者を迎えてくれました。
生育場所に区画をつくって、全員が1区画ずつ花の株とロゼット株を計数しました。初めは小さなロゼットに気がつかず、数え直すと数が何倍も多くなりましたが、みんな立派な調査員として活躍しました。
区画内の計数が終わると、区画の外に生育するツツザキヤマジノギクをみんなで探し、そこにラベルを付けた杭を打ちました。
観察会の目的の一つとしていたヤマセミを見ることはできませんでしたが、24種類の野鳥をみつけ、また、大事な在来植物の保全活動を体験して、子供たちには満足そうな笑顔がありました。
【イベントその3】 飯伊社会教育委員連絡協議会中北部ブロック研修会
場所を現地に移すと秋晴れのもとツツザキヤマジノギクが美しく咲き誇っています。その可憐な姿に見入りながら、根元の地面で来年の開花を待つロゼットの姿なども観察しました。同時に外来植物の繁茂によって日影になってしまうことが在来植物に大きな影響を与えてしまうことを知っていただきました。
観察を終え、在来植物の保全のための外来植物駆除を全員で体験しました。
汗ばむ陽気でしたが、全員が黙々と手を動かし、ツツザキヤマジノギク生育域の近くからは影響の大きな外来植物の株は見あたらなくなりました。15分間の抜き取りで駆除した外来植物を積み上げると、大きな“山”ができ、大勢の作業の効果が体感できました。
今秋は10月22日、11月3日、今回11月4日とツツザキヤマジノギクの観察会・保全活動が様々な団体・年齢層によって開催されました。
今後の保全活動の輪の広がりが期待される秋の3日間でした。 |
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