ふじあざみ65号(1)
ふじあざみ タイトル
朝霧高原写真(写真提供:鈴木治男 氏 )
(写真提供:鈴木治男 氏)
県下一の酪農地帯朝霧高原
 富士山西麓の海抜600m~900mの高原地帯は、朝に霧が多く発生することから朝霧高原と呼ばれ、県下一の酪農地帯として良く知られています。

(朝霧高原の気候)

 南西から流れ込む湿度の高い気流により年平均3000mmの降雨量があります。又梅雨の頃から初冬まで湿度90%以上の湿った空気におおわれています。気温は市街地より平均4度位低く、特に7月~8月は5度~6度も低くとても涼しい地帯です。

(朝霧高原の地質)

 地質は古富士泥流を基盤とし、その上を新富士火山の溶岩におおわれた全く水に恵まれない地域です。
 西富士一帯の土地表面は、黒ボクと呼ばれる“黒色火山灰土”が広がっています。黒ボクの下はマサ土と呼ばれる“褐色火山灰土”が層をなし、その下は火山砂礫の入り混じったスコリアの層、そして火山礫・溶岩となっています。

n西富士地域の地質図

(県下一の酪農地帯へ)

 ここはかつて源頼朝が“富士の巻狩り”(1193年)をしたことで有名なところです。
 昭和12年から終戦までは、旧陸軍少年戦車兵学校の演習地として使われていました。戦後昭和21年緊急開拓事業が始まり、この地が国営開拓地になり、地元農家・長野県下伊那郡から、満州からの引揚者など計360戸の入植がありました。
 昭和21年~24年は入植のための開拓期、昭和25年は米・麦・野菜等農業を畜産に転換することに努め、昭和29年、「集約酪農指定地域」に指定され、一気に西富士酪農の基盤が確立されました。当初135戸あった酪農家は、現在は55戸に減少していますが、1000ヘクタールの草地に、成牛4,500頭、年間32,000トンもの牛乳を生産し、県下一の酪農地帯を作っています。
 朝霧高原の涼しい気候は、牧草の生育と、体温の高い牛(38~40℃)の体に適しております。さらに多く降る雨は牧草の生育を促します。又朝霧高原の地形は標高600m~900mへと徐々に高くなっており、南向きで日当りがよく、牧草地の水はけも良いという、酪農に適したものとなっています。家畜から排出される糞尿は草地に完全に還元する「土→草→牛」の」循環型の草地酪農として経営されています。

参考資料「西富士開拓と酪農のうつりかわり」
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