浮沈する分画フェンスで矢作ダムから放流される濁水の軽減を図ります
ダム下流の自然環境に悪い影響を与えているとの声があり、早期の対策が必要とされていた放流水の『濁水・冷水』問題。
『矢作ダム貯水池総合管理計画検討委員会』で実態の分析や解明を行うなか、平成16年8月に濁水・冷水※対策として、ダム湖に『濁水対策フェンス』を設置しました。
このフェンスは、中央に『浮沈部』が設けられ、選択取水設備※と併せて運用することで、効果的にきれいな水をフェンスからダム堤体間に貯えることのできるというもの。日本初となる試みにその効果が期待されています。

フェンスを境に、濁水と清水が区別されている状態が水の色の違いではっきりとわかります。


流入水温と放流水温の比較

画像をクリックすると、拡大図がご覧になれます。
- ※冷水(冷水放流)
- 放流水温が流入水温を下回る現象。2月から7月に発生している。
発生時期やその程度は気象及び貯水池の運用と関係していると考えられる。 - ※選択取水設備
- 水位に合せて、また、汚れの軽い水の層を選んで発電放流ができる設備。
分画フェンスは選択取水設備と併せて以下のように運用します
- 少ない出水であれば、濁水をダム湖上流に溜め込み、上段の取水口を使って清水層から濁りのない温かい水を放流します。
- 大きな出水の場合、下段から早期に濁水を放流し清水層の確保を図ります。
- 出水後は、下流の影響を考えて上層の清水を取水するために、下段取水から上段取水に切り替えます。
- 流入水が清水化した時点でフェンスを沈め、フェンス内の上層に清水を補給します。
フェンスを沈降させないと
- フェンスからダム堤体間の清水層が減少するとともに、下の濁水も上昇し、最終的には上段から取水していても、濁水を取水することになってしまいます。