三峰川は、その流域の大半を山岳地帯とし、中央構造線沿いにあって激しい土砂崩落があります。加えて年間降水量は1,800ミリから2,200ミリという多雨地帯です。大雨の際には多量の土砂を含む濁流が三峰川から天竜川まで達し、歴史的な水害をもたらしていました。
美和ダムができる以前にも、洪水を防ぐ様々な工夫がされましたが、大雨のたびに洪水が起こり、明治はじめから美和ダムができるまでの90年間には2年に1回ほどの洪水が発生し、大きな被害を受けてきました。
そのような災害を背景に、三峰川では治水と利水を総合的に開発する河川総合開発事業が計画され、昭和34年に美和ダムが完成しました。
美和ダムは「治水」「かんがい」「発電」を目的とする多目的ダムで、天竜川流域の安全及び発展に大きく貢献し、完成から今日まで洪水被害の軽減に寄与しています。
①電力の供給
上伊那地域の約6割(約3.8万世帯)の消費電力に相当する平均年間発生電力量約136,000MWhを発電しています。
型式 |
重力式コンクリートダム |
竣工年月 |
昭和34年11月 |
堤高 |
69.1m |
堤高標高 |
EL817.6m |
集水面積 |
311.1㎢ |
湛水面積 |
1.79㎢ |
総貯水容量 |
29,952,000㎥ |
②農地への水の供給
かんがい用水が確保され、耕地面積は開発前は約1,200haであったが、開発後は約2,500haとなり、多くの田畑が作られました。
③洪水の調節
美和ダムで洪水を調節し、三峰川及び天竜川の洪水時の水位を低下させます。