交通事故発生状況と事故ゼロプランの取り組み

1.交通事故発生状況

愛知県死亡事故の発生状況

愛知県の交通事故死者数は平成27年以降減少傾向にあり、令和元年に16年連続ワースト1位を脱却しました。しかし、令和3年を除き全国ワースト2位と依然高い順位が続いており、早急な対応が求められています。

交通事故死者数が多い都道府県の経年変化
交通事故死者数が多い都道府県の経年変化 PNG(64KB)
全国交通事故死亡者数ワーストランキング
全国交通事故死亡者数ワーストランキング PNG(64KB)

管内の死亡事故発生状況

名古屋国道事務所が管理する直轄国道の死亡事故の特徴として、当事者別では二輪車の死亡事故の削減率が小さい状況となっています。
また、事故類型別では、いずれの事故類型も減少傾向であるものの、歩行者・自転車・右折時・車両単独事故は依然として多発しており、年齢別では65歳以上の事故の削減率が小さい状況となっています。

死亡事故件数の割合の変化
死亡事故件数の割合の変化 PNG(100KB)

2.事故ゼロプランの取り組み

事故ゼロプランの概要

『事故ゼロプラン』は、交通安全計画に基づく取り組みであり、事故データや地方公共団体・地域住民からの指摘等に基づき交通事故の危険性が高い区間(事故危険区間)を選定し、地域住民への注意喚起や事故要因に即した対策を重点的・集中的に講じることにより効率的・効果的な交通事故対策を推進するものです。また完了後はその効果を計測・評価しマネジメントサイクルにより逐次改善を図っております。

事後セロプランの位置づけ

事故ゼロプランの取り組み

愛知県道路交通環境安全推進連絡会議

事故対策検討の流れ

事故発生状況の分析結果と地元の声を基に抽出した“改善すべき道路構造”に対し、重点対策メニューを検討します。対策実施箇所に対して、事前・事後調査に基づく評価を行い、重点対策メニューの見直しを行う等、継続的に改善を行います。

対策の進め方
右折レーン対策のPDCA具体イメージ

対策の進捗状況

これまでの事故ゼロプランでは、「追突への注意喚起」「停止線明確化」「右折待ち位置の明確化」「中分の視認性改良」などの対策工種を主に実施してきました。

事故危険区間対策実施状況(予定含む)
道路状況 対策工種 代表事例
路線名 箇所名
交差点 (1)右折レーンのない交差点 ①右折レーンの設置 1号 豊川市長沢町(音羽蒲郡インター)
②区画線処理で右折レーン確保 1号 弥富市三百島(三百島)
③看板設置「右折車注意」 19号 名古屋市熱田区五本松町(西高蔵)
(2)高架下交差点 ①反対車線へのシフト 41号 小牧市下小針中島(下小針中島2丁目)
②1車線分シフト 19号 春日井市坂下町(坂下町六)
③セパレート化(ゼブラ) 22号 清須市西枇杷島町古城(古城)
④右折レーンカラー化 155号 豊田市駒場町(駒場町向金)
⑤直進・左折車線カラー化 19号 春日井市勝川町3丁目(勝川町3丁目)
(3)右折待ち位置の明確化 ①停止線設置 302号 名古屋市西区貴生町(貴生町)
②カラー化 41号 小牧市大字村中(小牧インター交差点)
(4)中分の視認性改良 ①Gp等への変更 22号 名古屋市西区則武新町(菊ノ尾)
②強化 19号 春日井市十三塚町(春日井インター西)
(5)右折ショートカット防止 19号 名古屋市東区代官町(平田町)
(6)自専道端部 ①自専道端部 302号 名古屋市中川区江松西町(かの里東)
②IC出口部 22号 清須市阿原~朝日
(7)追突への注意喚起 ①追突注意文字設置 19号 名古屋市守山区幸心2丁目(瀬古交差点)
②速度注意文字設置 1号 豊橋市東細谷町
③注意喚起看板 153号 愛知県豊田市元城町(市役所前)
④減速ドットライン 302号 名古屋市緑区鳥澄1丁目102番地(滝ノ水橋東)
(8)交差点コンパクト化 22号 名古屋市西区新道(浅間町)
(9)停止線明確化 ①停止線の太線化 1号 豊橋市八町通(西八町)
②ドットライン設置 155号 豊田市駒場町(駒場町向金)
(10)歩車境界の視認性改良 1号 岡崎市宇頭町(宇頭町)
(11)巻込部の視認性改良 23号 豊橋市神野新田町(豊川橋南)
単路 (A)中分開口部の閉鎖 1号 岡崎市矢作町~安城市尾崎町
(B)センターポール〔延長〕 155号 豊田市堤町~田中町四丁目
(C)カーブ対策 ①ランブルストリップス等 155号 豊田市保見町中三戸口~保見町横山
②高視認性区画線等 19号 春日井市上野町~坂下町六丁目
(D)中分の強化〔延長〕 23号 西尾市江原町(小島インタ-)
(E)分岐端緩和策 ①クッションドラム設置 19号 春日井市大泉寺町(春日井インター東)
②ガードレール設置 41号 小牧市元町二丁目
③ポール設置 1号 知立市山町
(F)門型標識の改善 1号 豊橋市下地町(瀬上)
(G)路面標示と案内標識の改善 22号 名古屋市西区上堀越町(堀越)
(H)歩道整備 ①継続整備箇所・新設〔延長〕 153号 豊田市力石町~中金町
②自治体要望箇所・新設〔延長〕 153号 豊田市勘八町
③歩道有効幅員の拡幅〔延長〕 1号 豊橋市三弥町(三弥町)
(I)乱横断防止〔延長〕 1号 豊橋市大岩町(梅田橋西)
(J)自専道ランプ違法駐車対策 19号 名古屋市中区錦二丁目(伏見袋町)
(K)自専道オンランプ自転車誤進入防止 23号 知立市西中町(西中インタ-)

近年の取組

平成22年度選定の事故ゼロプランは、取組開始から10年が経過し、その間事故が減少するなどの一定の成果が得られています。その一方で事故ゼロプラン箇所以外の箇所の事故が増加したため令和2年度に対象箇所の見直しを実施しました。
令和3年度以降の事故ゼロプランでは、マネジメント方針および対策箇所の見直しを行い、より効果的・効率的なマネジメントに取り組んでいます。

代表的な対策事例メニュー

名古屋国道事務所で進めている交通安全対策事業の中で、これまで事故ゼロプランとして重点的に取り組んできた対策メニューとして、重点対策工種があります。重点対策工種は愛知県の交通事故状況と道路の特性を踏まえて整理されたもので、他県では実施されていない対策メニューもあります。

対策の整備効果

名古屋国道事務所が管理する直轄国道の事故件数について、平成17年~20年(平成22年度事故ゼロプラン選定時)と平成30年~令和3年(近年の傾向)を比較すると減少傾向となっています。
特に平成22年度に選定された事故ゼロプラン箇所の事故削減率は約52%であり、管内全体と比較して約10%高く、事故対策は一定の効果を上げています。

名古屋国道事務所管内および事故ゼロプラン箇所における死傷事故件数の推移
名古屋国道事務所管内および事故ゼロプラン箇所における死傷事故件数の推移 JPG(102KB)

整備効果事例

事故対策を実施した交差点における整備効果を紹介します。