木曽三川治水偉人伝
大榑川洗堰
治水史上最大の難事業といわれた大榑川の洗堰(薩摩堰)
 大榑川洗堰は、長良川の支流大榑川の入口に築造された堤防です。宝暦治水(宝暦3〜5・1753〜1755)の一環として工事は行われました。
 この洗堰計画の基本を立案したのが「木曽三川偉人伝」でご紹介した井沢弥惣兵衛です。
 大榑川の洗堰は、長良川と大榑川の合流点付近に設けられた堤防。そもそも、大榑川の河床が長良川よりも低かったため、大雨が降れば長良川の水が大榑川に流れ込み、沿岸の堤防を破壊して多大な被害を与えていました。これを解決するために計画されたのが洗堰です。
 洗堰とは河を横断する石に覆われた堤防のこと。河を大規模な堤防により完全に遮断することなく、川の水位が一定以上を越えた場合、越えた水だけを大榑川に流し込み、かつ、水の勢いを減少させる目的でした。
 この洗堰が完成したのは、宝暦5年3月28日。現在の岐阜県輪之内町大薮付近と岐阜県平田町勝賀付近を結ぶ大榑川入口に築造されました。

 これにより、平常は大榑川へは水は流れないものの、一定以上の水位を超えた場合は長良川の水が大榑川へ流入するという、当初の目的を実現しています。
 現在は、この付近の大榑川は廃川となり、洗堰は地下に埋没しその面影を見ることはできません。しかし、この事業への感謝と賞賛の声は今もやむことがなく、「薩摩堰遺跡碑」「大榑川洗堰碑」としてその偉業を語り継いでいます。

大榑川洗堰絵図
長谷川千代子氏蔵

■参考文献
「木曽三川の治水歴史を訪ねて」建設省木曽川下流工事事務所
 
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