ふじあざみ67号(3)
富士山がくれた溶岩洞穴「風穴・氷穴」
 富士山麓には、「風穴・氷穴」と呼ばれる溶岩風穴が多数見られます。その数は80数洞が確認され、長さ10mほどの小さなものも含めると、ゆうに100を超えるといわれています。
 さて、これらの溶岩洞穴はどのようにしてつくられたのでしょう。
 富士山頂の噴火口や側火山から噴出した溶岩は、裾野に向かって流下し、長い帯状になります。この時、地表に触れた下部や空気に触れた上部は少しずつ冷えて固まっていきます。しかし、内部は高温で液状、つまりシュークリームのような構造になっています。そして、さらに流下していこうとする先端部や側部では殻を破って中身が流れ出し、そのあとに空洞が残されるのです。
 このようにして作られた溶岩洞穴の分布は、静岡県側、山梨県側にそれぞれ約半数ずつと均衡がとれているのも不思議です。


富岳風穴 鳴沢氷穴

  富岳風穴(山梨県富士河口湖町) 
富岳風穴(山梨県富士河口湖町)写真
 鳴沢氷穴(山梨県鳴沢村)
鳴沢氷穴(山梨県鳴沢村) 写真


 溶岩洞穴の代表的なものが、山梨県青木ヶ原にあります。富岳風穴と鳴沢氷穴で、真夏でも氷が見られることから、観光地としても有名で、訪れる人が絶えません。
 富岳風穴と鳴沢氷穴は今からおよそ1143年前の貞観6年(864)の大噴火による青木ヶ原溶岩流により造られた洞穴です。昭和4年に文部省の天然記念物の指定をうけてから世界的に紹介され、地質学上貴重な存在となっています。

 溶岩洞穴の中で、一年中結氷しているのが氷穴で、静岡県側は十里木氷穴ただひとつで、残りは山梨県側青木ヶ原溶岩流の中にあります。


富士山に寄せる想い

第10回富士山学習発表会 写真
 第10回富士山学習発表会が、富士宮市教育委員会・富士山学習研究委員会主催により、富士宮市民文化会館において開催されました。
 富士山学習は、「富士山のことをもっと知りたい」という子どもたちの願いから出発しました。平成9年度からは、「知りたい・学びたい・共に生きたい」をテーマに富士宮市内の全小中学校で取り組み、着実に成果を上げています。
 この間、「総合的な学習の時間」の先行的な取り組みとして、全国から注目されてきました。
 平成10年度より「富士山学習発表会」を開催し、広く、市民・保護者にその成果を伝え、広めています。
 今回は、記念すべき10回目を迎え、
 ・10周年記念フォーラム(2月2日)
 ・ステージ発表(2月2日)
 ・展示発表(2月2日~2月4日)
の形式で行われました。

 10周年記念フォーラムでは、「これからの富士山学習の在り方を考える」をテーマに、基調講演・パネルディスカッションが行われました。
 ステージ発表は、井之頭小学校・大富士中学校・富士根北小学校粟倉分校・富士宮第三中学校が行いました。各校とも、テーマについて、精一杯の工夫をして、身振り手振りなど全身で表現しよう、伝えようとする姿に会場の人々は感動していました。
 展示会場では、市内29校が、富士山を素材に、独自の視点から学習してきたことを展示発表しました。
 さらに、10周年を記念した「10年を振り返る特別展示コーナー」が設けられ、写真やDVDの映像などに足を止め、見入る姿があり、感心の高さを感じました。

10周年記念フォーラム 写真

富士山学習発表会のお問い合せ先
富士宮市教育委員会学校教育課
〒418-8601
富士宮市弓沢町150番地
TEL(0544)22-1185



災害体験談

 昭和54年10月、台風20号の集中豪雨により、富士山南西麓の野渓から、土砂が流出し、富士宮市の弓沢川が増水し、下流域に大きな被害を与えました。その時弓沢川支流、久遠寺川の氾らんで被災した富士宮市小泉の野村様に体験談を語ってもらいました。
 「当日は大雨により、久遠寺川が氾らん。さらに、家の裏の荻間澤川も氾らんし、当り一面水没状態になりました。私の家内が職場からかけつけたとき、家の周囲はすでに70~80cmの水かさとなり、家内は「水流のすごさに家が流されるのではないかと大変な恐さを感じました。又家に近づこうとしても足が取られ、流されそうになりオタオタしていました。もしかして流され死んでいたかもしれない」と言っていました。水は土砂、材木、生木など様々なものを巻き込みながら流れてきており、水が引いたあとの家の中、周囲は本当にひどい状態でした。トラック13台分の土砂等が出、正常に住める様になる迄丸1ヶ月もかかり、その間周囲の人々に大変助けられました。本当に感謝しております。2度と体験したくない恐い思い出です。」

野村章雄 氏
野村章雄 氏
弓沢川支流、久遠寺川の氾らん 図


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