ふじあざみ66号(3)
環富士山火山防災シンポジウム開催報告 宝永噴火から300年 どう備える、富士山噴火
 宝永噴火(1707年)から300年を迎えた今、噴火前に常日頃から行っておくべき対策、噴火の兆候が認められた時の住民の心構えや行政に求められている対応などについて討論し、住民と行政が一体となって富士山火山防災の取り組みをさらに強く進めてゆくことを目的に平成19年11月25日(日)、富士宮市民文化会館において環富士山火山防災シンポジウムを開催しました。シンポジウムには富士山周辺の県・市町村の防災担当者、自主防災組織、学校関係者、地域住民など700名を超える方々が参加されました。また、翌26日(月)には、『富士山の“いま”を知る、見学会』が約50名の参加により開催しました。
300年前に噴火した宝永火口
宝永火口写真

 第5回火山都市国際会議島原大会(平成19年11月19日(月)~23日(金))に参加したアメリカ、中国、インドネシアなど海外の8ヵ国から19名の火山研究者・火山防災担当者が参加し、各国での火山災害の危険を住民に連絡する態勢や、火山活動のモニタリングのシステムなどが報告されました。
海外での取り組み 報告風景
海外での取り組みを報告

伊藤和明 氏
基調講演:伊藤和明 氏

 元NHK解説委員伊藤和明さんによる基調講演では、「1707年富士山宝永噴火について」と題し、宝永噴火を歴史時代から振り返り、「火山活動において300年という歳月は、一瞬の眠りに過ぎない」「ひとたび噴火すれば、現代の高度文明化社会にもたらす複合災害になる」などを強調した説明がなされ、将来必ず起こるであろう富士山噴火に備える必要性を訴えられました。

本門寺重須孝行太鼓保存会の皆さんによる太鼓披露
太鼓披露写真
 NHK解説委員の山崎登さんをコーディネーターに、日頃から富士山と関わりの深い各分野の専門家4名(静岡県富士宮市 小室直義市長、富士宮市自然環境保全審議会 難波清芽委員、山梨県環境科学研究所 池谷浩客員研究員、静岡大学 小山真人教授)をパネリストにお迎えし、また、コメンテーターとして亀江砂防部長に参加していただき意見が交わされました。


 第1部では、「私たちの富士山と火山噴火」をテーマに、「火山とその恵み」、「地震と火山がつくった富士宮周辺の地形」、「火山噴火と災害、火山の性質について」と題し地元の富士宮第三中学校2年生、御殿場南高校2年生による富士山と防災にまつわる研究発表を中心に意見が交わされ、富士山が地元にいかに親しまれているか、そして噴火の多様性や歴史、富士山の火山としての特徴や現状を確認しました。

 第2部では、「火山防災~行政そして住民に求められるもの」をテーマに、富士山という火山に対し行政としてどう対策を取っていくかべきかを、内閣府、国土交通省での取り組みを紹介しながら富士山における火山災害を軽減する対策について意見が交わされました。

パネルディスカッション風景
パネルディスカッション
御殿場南高校研究発表風景
研究発表:御殿場南高校
 最後に山崎さんより、「火山と防災対策については“火山を知ること”、“自然を理解しようとすること”が大切なことであり、ハザードマップを見ることからぜひ始めていただきたい。」と、結んでいただきました。

 26日に行われた見学会は、好天に恵まれ終始美しい富士山を望むことができました。大沢扇状地では、砂防施設を視察し、大沢崩れや火山砂防事業について理解を深めていただきました。水ヶ塚公園では宝永火口を望みながら、静岡大学小山教授より、宝永火口と宝永噴火、富士山南東麓の側火山群についての解説を頂きました。


見学会風景 水ヶ塚公園
水ヶ塚公園にて




見学会風景 大沢扇状地
大沢扇状地にて
 宝永噴火から300年を迎えた今、住民と行政が一体となり火山災害に備えることが重要であると、シンポジウムをとおして皆さんに改めて認識していただくことができました。シンポジウムでの意見を踏まえ、今後さらに周辺市町村との連携し、富士山における火山災害を軽減する取り組みを進めていきます。





 シンポジウムでは、右のようなクイズも出題され、会場も一体となって火山防災について考えるシンポジウムとなりました。皆様も一度考えてみてください
クイズ写真
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