ふじあざみ64号(3)
富士山に暮らす 富士山西麓における酒造り 富士山湧水のもたらす恵み
 お酒の美味しさは、1.水が良い、2.米が良い、3.技がある、の3つの条件がマッチしたときと言われています。富士西麓には酒造りをする蔵元があり、酒造りへの情熱、探究心、こだわりを持ち合わせた所ばかりです。

富士西麓は富士山からの湧水群に恵まれ、おいしいお酒の条件である良質の水が大量に湧き出しています。


・硬水と軟水

水の成分として、カルシウムやマグネシウムの多い硬水と少ない軟水とがあり、富士山の湧水は後者の軟水です。硬水の代表として、有名な灘や伏見のお酒があります。昔は軟水に合う酵母がなくて、独自の酒造りが出来ませんでしたが、最近、軟水にあった“静岡酵母”の登場と管理技術の向上により、水の特質を活かした酒造りが出来るようになりました。
 軟水で作られたお酒は、発酵が穏やかであり、大変味わいやすいものです。各蔵元はともに独自の酒造りを始めて全国に発信しています。またこの湧水は年間の水温や成分が一定しているので、富士西麓は、酒造りの環境としてもとても恵まれている所です。
 富士山の湧水は、水産業(マス類の養殖)、製紙業の発展に大きく寄与していますが、同様に地元の酒造りにも大きく寄与しており、富士山西麓、南西麓の人々の生活に大いなる恵みを与えつづけています。

放冷作業写真 本仕込写真
放冷作業(蒸米を一気に冷ます作業)
本仕込(醪の攪拌作業)


富士山に寄せる想い  今年で第3回を迎える「富士山百景写真コンテストについて」富士市商業労政課 松村さんにお話をききました。
 「富士山百景写真コンテスト」は、富士市商業労政課が観光交流まちづくり計画の一環として立ち上げたプロジェクトで、全国から応募のある注目企画です。
 第1回の応募総数は1434点、第2回は1600点と、関心が高まり、今年は2千点を越える応募が期待されています。
 コンテストは大きく二つの部門に分かれており、富士市内96エリア及びその周辺で撮影した富士山と、その前景となる風景を中心とした写真による「富士山の風景」部門は、(社)日本写真家協会副会長の竹内敏信氏が審査にあたります。四季折々、雄大な富士の見せる様々な表情がみごとに映しだされた作品が多く、昨年(第2回)のグランプリは、和田鉄男さんの「山里の朝」でした。
 また、百景エリアおよびその周辺で撮影した生活・産業・祭り・レクリエーションなど、そこで暮らし、活躍する人々を中心とした写真による「人々と富士山」部門は、外山ひとみ氏が選考委員を務めます。人々の悲喜こもごもの生活を、富士がじっと見守っているような、心なごむ作品が数多く寄せられているようです。昨年(第2回)は鈴木 勝さんの「希望の朝」が、グランプリを受賞しています。
 二部門のコンテストとは別に、エキシビジョンとして「富士山を題材とする創作作品」も同時募集しており、様々な表現による多彩な作品が集まってきます。

昨年(第2回)の「富士山の風景」部門グランプリ作品 昨年(第2回)「人々と富士山」部門グランプリ作品
山里の朝
希望の朝

 第3回の募集期間は平成19年12月3日(月)~平成20年1月31日(木)です。詳しくは、来年度のガイドブック、またはHPをご覧下さい。

HP
http://www.e-phi.info/fuji100
富士市商業労政課
〒417-8601
静岡県富士市永田町1-100
TEL(0545)55-2777
    (写真提供は富士市商業労政課)

災害体験談  今回第64号よりシリーズとして、昭和47、54年の土石流流災害の体験談話を掲載してゆきます。
 昭和47年7月12日、大沢崩れに端を発する土石流が発生し、富士宮市の潤井川が増水し下流域に大被害を与えました。その時直接の被害を受けた、上井出地区にある老人ホーム白糸寮の当時の寮長稲垣義雄さんに体験談を語ってもらいました。
 「昭和47年7月12日の夜中、ガラガラというかガーンというか表現できない大きな音がしました。河底橋の岸がくずれて、一挙に水がホームの裏側から押し寄せて、白糸寮が水をもろにかぶりました。ホームのうらの階段を水が一枚板となって上から下へとドーという勢いで流れていました。うねりを立てて水が流れて中庭で渦を巻いており、立木も流れてきました。水は窓の線まで来ていました。もう助からないという気になりました。本当に恥ずかしい話ですが、茫然とし、なす術を知らない状態になりました。」

―富士砂防事務所編「災害体験談話集」より抜粋―
当時の白糸寮周辺図

平成6年当時の稲垣さん
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