ふじあざみ55号(3)
富士山に暮らす 富士山周辺を通る東海自然歩道は、富士山を眺望することのできる人気のコースです。

■東海自然歩道とは

 東海自然歩道は、歩くことにより、各地の豊かな自然や文化にふれることを第一のねらいとし、第二に多くの人に歩くことの素晴らしさを知ってもらい、自然保護の思想を培うことを目的として、昭和44年に厚生省(現在の厚生労働省)が提唱して策定され、同49年に環境庁(現在の環境省)の主導で整備が完了した長距離自然歩道の第1号です。

 東京の「明治の森高尾国定公園」から、大阪府「明治の森箕面国定公園」までを結ぶ、全長約1,343kmのコースで、中でも富士山麓をめぐるコースは富士山の麗姿と富士五湖を堪能できる人気のコースとなっています。

コース略図

①大平山コース(山中湖村平野→忍野村)
山中湖を眺望できる人気ハイキングコースです。
歩行時間約4時間

②忍野村コース(忍野村→富士吉田市)
晩秋から早春にかけて、朝日に染まる紅富士を眺望できるコースです。
歩行時間約2時間

③剣丸尾コース(富士吉田市→鳴沢村大和田)
富士山と足和田山の眺めが魅力的な溶岩台地を横切るコースです。
歩行時間約2時間

④紅葉台コース(鳴沢村大和田→鳴沢氷穴)
紅葉台からの素晴らしい眺めを見ることができるコースです。
歩行時間約3時間

⑤青木ヶ原コース(鳴沢氷穴→本栖湖)
青木ヶ原樹海の深い森林の中を歩くコースです。
歩行時間約3時間


⑥本栖湖コース(本栖湖→県境→富士宮市根原)
県境を跨ぎ、富士山西麓の広々とした高原が眺められるコースです。
歩行時間約4時間

⑦朝霧高原コース(富士宮市根原→猪之頭)
朝霧高原を歩きながら、天子ヶ岳、富士山、高原の牛などの素晴しい景色を楽しめるコースです。
歩行時間約4時間

⑧田貫湖コース(猪之頭→田貫湖)
陣馬の滝、小田貫湿原、田貫湖など見どころの多い充実したコースです。
歩行時間約3時間

写真 足和田山から見た河口湖と御坂山塊 写真 紅葉台から見た富士山
足和田山から見た河口湖と御坂山塊 紅葉台から見た富士山

参考資料:「東海自然歩道」武村岳男著 山と渓谷社刊




富士山に寄せる想い 日本一高いところにある郵便局

 日本一の高所にある郵便局をご紹介します。それは、特に7月・8月に登山客でにぎわう富士山頂に開設される「富士山頂郵便局」です。富士山頂郵便局は、毎年、7月10日から8月20日の間(営業時間:午前6時~午後2時 42日間無休)だけ開設している季節開設局です。42日間で1万人以上の登山者が利用する非常に人気のある郵便局です。
 富士山頂郵便局のオリジナル商品として、富士山麓で間伐された富士ひのきに焼き印を押した『ひのきメール』や『登山証明書』『登頂証』があります。
 現在使用している風景入通信日付印は、長年愛されてきた気象レーダードームが撤去されたことにより、平成14年7月から雲の上にそびえる富士山と山頂郵便局をデザイン化した風景印に変わっています。

風景印

以前までの風景印 

以前までの風景印と新しい風景印
 新しい風景印

 期間中、富士宮郵便局から職員1人とゆうメイト(非常勤職員)1人の2人1組が一週間交替で富士山頂郵便局に常駐します。寝泊まりは事務室の奥、2畳程の部屋で2段ベットを利用し、食料品は持参したおにぎり、カップラーメンが主食で、風呂はありません。
 1週間で交替しますが、天候によっては交替できず、そのままさらに3~4日間閉じ込められ、トイレに行くにも難儀をすることがあります。その間は、じっと嵐が通り過ぎるのを待つのみですが、嵐の後の見事な快晴が楽しみです。
 富士山頂郵便局は、登山者の方の郵便物受取りや郵便商品の販売、風景入通信日付印の押印など日本一高いところからの郵便発送の業務を行っています。日本全国はもとより海外からも多くの登山者が訪れる富士山とともに愛され親しまれる郵便局として今後も在り続けたいと思います。【富士宮郵便局員一同談】


写真 富士山頂郵便局
富士山頂郵便局

●富士山頂郵便局開設の歴史

・明治39年7月30日に富士山郵便局として富士山麓吉田口及び須走口寄り八合目に開設
・明治40年7月16日に富士山北郵便局へ改称
・明治42年7月20日に富士山郵便局へ改称し、富士山頂に開設
・昭和18年から昭和22年までは太平洋戦争の影響で一時閉鎖
・昭和24年7月10日に富士山頂郵便局へ改称、再開し現在に至る

※明治42年~昭和17年は大宮郵便局(現在の富士宮郵便局)が受け持ち局、昭和24年~昭和27年は御殿場郵便局が受け持ち局、昭和28年~ 現在は富士宮郵便局が受け持ち局となっています。

写真 富士山頂局で業務にあたる職員
富士山頂局で業務にあたる職員
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