ふじあざみ 第52号(2)

平成16年12月5日土石流状況
大沢崩れは、富士山頂付近から西斜面に位置する延長約2.1km、最大幅約500m、最大深さ約150mの巨大な崩壊地です。大沢崩れでは、これまでにたびたび土石流が発生しており、中でも昭和47年や54年などは家屋や耕地等に被害を出しています。(今回の土石流による被害はありませんでした。)
富士山大沢崩れの航空写真(大滝監視カメラの位置) 流下する土石流【大滝監視カメラ画像(標高1,500m)】12-05-04 03:19:07
▲大滝監視カメラが、通常水が流れていないこの地点において、3時18分頃、水量が急増し流下する土石流をとらえました。
当該エリアの簡易地図 大沢崩れ付近の気温と降水量
12月4日夕刻から雨が降り続き山頂では雪が解けるほど気温が上昇しました。
今回の土石流で大沢扇状地には約11万m3の土砂が堆積
土石流発生前 H16.10.15撮影 土石流発生後 H16.12.7撮影 計算による堆積、侵食図
土石流は主に完成間近の7号上流床固工周辺に堆積しました。(床固工:土砂を堆積させたり、河床の侵食を防止するための施設)
今回の土石流発生後と昨年1月で地面の高さを比較した結果、大沢扇状地には約11万m3の土砂が堆積したことがわかりました。これは富士宮市役所庁舎約2杯分に相当し、これをすべて運び出すには、延べ22,000台のダンプトラック(10t)が必要です。

レーザ測量
今回の土砂量の計測には、レーザ測量という手法を使用しました。レーザ測量とは、飛行機から発射されたレーザ光線が地表面に反射されて戻ってくる時間を計測して地面の高さを測定するものです。レーザ測量は短時間で広い面積を計測できるという利点があるため、富士砂防事務所ではレーザ測量により毎年大沢扇状地を計測し、土砂量を把握しています。
上井出保育園 塩沢治子園長先生  昨今の社会情勢をみても危機管理への対応が重要視されているようですね。特に潤井川は昔からたびたび氾濫し、富士宮市は幾度と無く災害に悩まされてきました。最近では砂防施設のおかげで災害が発生していないようですが、12月5日の土石流の映像を見せていただいて驚いたのと同時に、砂防施設の重要さを強く感じました。
 富士砂防事務所の皆さんとは、「フーちゃん公園の花植え」などでお付き合いがあり、地域とのコミュニケーションが取れていて、「この人たちに任せておけば大丈夫!」と感じています。また、園でお預かりしている0から5歳まで83名の園児の保護者からも「安心して暮らせます。」という意見をたくさん頂いています。
上井出保育園
塩沢治子園長先生の話
 
 山頂にかかる雲の様子を見ながら洗濯したりして、生活の中でごく自然に存在する富士山。その美しい富士山の自然と災害から地域を守っていただくことを、これからもよろしくお願いします。

※H16.12.5発生の土石流については、富士砂防事務所HPでも紹介しています。 
https://www.cbr.mlit.go.jp/fujisabo/