ふじあざみ 第52号(1)
ふじあざみ52号

土石流発生前の大沢崩れ 土石流発生後の大沢崩れ
▲土石流発生前(10月15日撮影) ▲土石流発生後(12月7日撮影)
大沢崩れから土石流が発生
 平成16年12月4日夕刻から降り続いた雨により、翌日の午前3時から5時にかけて富士山の大沢崩れから連続的に土石流が発生し、富士砂防事務所が管轄する大沢川下流の砂防施設「大沢扇状地」に約11万m3の土砂が堆積しました。これは、平成12年11月21日午前3時頃に発生した約28万m3の土砂を大沢扇状地に堆積させた前回の土石流から4年ぶりとなります。
■大沢崩れにおける土石流発生前と発生後の比較
 この土石流によって流出した土砂は、主に富士山西斜面に位置する大沢崩れの谷底に堆積していたものです。上の2つの写真はほぼ同じ地点から撮影した土石流発生前と土石流発生後の大沢崩れの写真です。2つのY字形に見える部分を比較すると、谷底付近の地形が侵食により大きく変化しており、貯まっていた土砂が流出してなくなっている様子がわかります。
■気象状況
 12月4日午前9時頃に沖縄近海の東シナ海で発生した低気圧は、5日にかけて発達しながら太平洋沿岸を東進しました。この影響で大沢川流域では気温がマイナスからプラスに大きく上昇するとともに、土石流発生時、大滝観測所(標高1,700m)と御中道観測所(標高2,350m)で1時間に約20~30mmの降雨を記録しました。同観測所の5日7時までの総雨量は、大滝観測所で162mm、御中道観測所で126mmでした。
気象衛星図(12月5日午前3時)(財)日本気象協会提供 ●H12.11.21と今回の総雨量の比較
  H12.11.21 今回
大滝観測所 194mm 260mm
御中道観測所 162mm 126mm
土砂が堆積した7号上流床固工
▲土砂が堆積した7号上流床固工
(H16.12.5撮影)
■災害は発生せず
 今回の約11万m3におよぶ堆積土砂は、主に大沢扇状地内の完成間近の7号上流床固工に堆積したことにより、この土石流による被害はありませんでした。今後、速やかに今回堆積した土砂の除去を行い、今後の土石流に備えます。


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