KISSOこぼれネタ VOL.62 上松町特集号
小谷狩の留堰跡

赤沢自然休養林に向かう途中の小川に、木曽式伐木運材法の遺構「小谷狩の留堰跡」があります。

〔流路を巧みに利用した木曽式伐木運材法〕
木曽式伐木運材法とは、深い山に囲まれた木曽谷から木材を効率よく運び出すために考案された伐採と運搬の方法です。
木曽川支流や本流を利用して尾張国の白鳥湊まで、木材を流送させていました。

主なプロセスは、「伐倒」→「山落とし」→「小谷狩」→「大川狩」→「筏流し」という5段階です。
「伐倒」で樹木を根本から切り倒した後、「山落とし」で、小谷まで木材を下ろし、「小谷狩」という工程で本流まで木材を運び、「大谷狩」では丸太の状態で木曽川本流を運送。その後丸太を筏に組んだ「筏流し」で最終地点の白鳥湊まで運送しました。

〔川の中に堰を築き、木材を流下させた小谷狩〕
上松町の遺構「小谷狩の留堰跡」は、当時の運材方法を偲ばせるもの。明治37年(1904)、当時の御料局によって築造されました。

この小谷狩は、山落としによって小谷沿いの積木場に搬出した木材を、谷川の水流と装置を用いて木曽川本流まで運び出す方法です。
水路となる谷川の川幅、水量、水深、勾配、あるいは屈曲などに応じて、自然の川に人工的な作業を加え、川道を整備したり、特殊な装置を築いたりしりして、木材を流す環境を整えていました。
中でも上流部の小谷狩では水量がそれほど多くないので、堰出しのような方法がとられていました。堰出しとは、流送する木材を用いて川の中に堰を築いて水面を上昇させた後、堰を壊して水を一気に流し、木材を流下させる方法です。

上松町の「留堰跡」は、両岸の岩を掘り割って大がかりな堰を造った場所で、このような遺構が残っているところは、木曽でもほかにはありません。


留堰跡

■参考文献
川に生きる〜水運と漁労〜 平成6年 岐阜県博物館
 
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