KISSOこぼれネタ VOL.46 金山町特集号 |
中綱御番所の綱株岩(岐阜県指定史跡・金山町指定史跡) |
岐阜県金山町は、飛騨地方と美濃地方を結ぶ交流点です。 面積の約9割は山林で、周囲には標高800メートルの山々が連なっています。 これらの山々を縫うように流れているのが、木曽川の一大支川飛騨川と、その支川馬瀬川。 中部地方の水源地域となっています。 |
中でも飛騨川は飛騨材運搬の水路として近世より利用されてきました。 江戸時代、飛騨の林野はすべて幕府直轄支配でした。 木材需要と幕府財政強化のために、飛騨川流域を中心に森林資源が枯渇するほど伐採が進み、その一方で育成林化が推進されました。飛騨川流域の林業は、幕府という巨大権力によってはじめて具体化し、組織化されていたのです。 飛騨材流送も同様に、伐採・搬出のシステムが確立し、金山町中切村の下原の中綱場や下麻生で網を設け管流しやバラ狩材を集め、筏に編成したあと、3人乗りで太田まで乗り下げ、その後、犬山、円城寺(現、笠松町内)、白鳥貯木場へと運ばれました。 白鳥からは、江戸や大阪へ、知多や遠州掛塚の回船によって海上輸送され、充分な市場性を発揮していました。 |
飛騨・美濃の国境に位置した「中綱場」は、幕府の番所が置かれたところです。 川を隔てた両岸には福来と中切という村がありました。 飛騨山中から伐り出された御用木は、中綱場に綱を張り流木を止めて、一丁一丁木材改めをしました。 この場所は下原八幡神社から約100メートル上流の最も川幅の狭いところです。 中切側の2個の岩と、福来側の2個の岩に掘り込みをつくり、その岩に藤綱を巻き、両方に張って流木を止めました。この2つの綱株岩の刻む込みは深さ10センチ、幅15センチでミノで彫られたものです。 藤綱の長さは170メートル、太さは26センチで、毎年春になると村中で藤を集めて、八幡神社の大杉に固定。注連縄作りと同じように三つ組みにして完成させました。 川東の福来側には冬期に3軒の臨時御番所が設置され、木材改役人や船頭が常駐しました。役人は日雇の繰り出す木材の切り判を一本毎に調べ記帳して数を把握しました。 この中綱場で取扱われた御用材は膨大な数量であり、徳川幕府にとって貴重な山林政策の場でした。 |
■参考文献 木曽三川流域誌 平成4年 建設省(現、国土交通省) 金山町の文化財 平成10年 金山町教育委員会 下原の史跡と伝承の地 平成9年 下原公民館文化部古郷の会 |
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