KISSOこぼれネタ VOL.34 岐阜県八幡町特集号
美しい清流を守り伝えるために、地道な活動を続けるさつきの会

さつきの会会長 武田善吉さん

周囲を山に囲まれた八幡町は奥美濃の小京都。町なかのいたるところに水路が走り、長良川、吉田川、小駄良川の清流が美しい水面をみせています。
この街のスローガンは「水と踊りと心のふるさと」。豊かな水の恵みを守るために、行政も民間もさまざまな活動を展開しています。1975年に発足した「さつきの会」は、会員120名を擁する水環境保全を推進する民間団体です。その会長である武田善吉さんにお話をうかがいました。

「私どもでは、特別に水質検査をするとか、あるいは汚染原因の解析など、科学的な調査はほとんどやっていません。街に住んでいて、昔に比べてだんだん河川が汚染されている状況を、魚から学んでいます。発足当時、今から25年前は、まだまだ良かったんですが、この5〜6年で川の形態がずいぶん変わってきました。種類が少なくなってきましたね。川底に住む「カブ」「アカザ」「クロイカ」「チチコ」など、小さい魚がずいぶん少なくなりました。河川の汚染が原因だと思います。
長良川も吉田川も、清流でAランクの水だといわれていますが、昔から比べると汚れています。上流部の開発の影響や公共下水道の不整備が汚染の原因ですね。ゴルフ場やスキー場からの農薬や家庭の雑排水などが流れ込んでくる。
そんな汚染を解消し水質保全するために、一つひとつ話し合いながら実施しているような状態です。会費1か月千円で年間1万二千円。会員は120人くらいの組織で限られた予算ですから、大きな問題は行政にお願いして問題解決してもらい、私たちは私たちができる範囲内で街づくりのお手伝いをしています。
街の島谷用水に『やかな水小道』がありますが、この上流部にコイを放流しています。一方で観光客に、また一方で子供たちに水に関心をもってもらおうと、毎年、4月から5月にかけて、年間150〜60匹のコイを放流しています。
水の浄化については、大学の先生に参加してもらって、ずいぶん、話し合ってきました。そういう中で水問題をとらえてきた。『台所の雑排水を流さないようにしましょう』など、一時はステッカ−を張りキャンペーンをしましたが、今ではやってません。効果が目に見えて現れてきたためです。

八幡町にはずいぶんいろんな観光客がいらっしゃいますが、タバコをポイ捨てする人は少なくなりました。ごみも自発的に持ち帰られているようです。街を絶えずきれいにしておけば、観光客も『捨てたら悪いな』と思われるんでしょう。水路の清掃も年に1〜2回の割合で実施していますし、シルバーバンクの人たちも毎日、清掃してくれています。
各家庭の意識も最近高まりつつあるようです。家庭内にろ過システムをもっている家庭も増えてきましたし、八幡町では沈殿槽を設置された家庭には補助金を出しています。
上流で川を汚してしまったら、下流はもっと大変なことになりますからね。
近年の子どもたちはあんまり水とは遊ばなくなったましたが、それでも夏の暑い日には、水の好きな子たちが吉田川で遊んでいます。お母さんは小さな子どもに川で水泳を教えています。こんな素晴らしい川を守り後世に伝えていくために、これからも地道な活動を続けていこうと思っています」

やなか水小道
 
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