●農業用水確保のための人工湖
朝霧高原の一角に位置する田貫湖は、もともと断層運動により隆起した古富士泥流のくぼ地に水が貯まった「狸沼」と呼ばれる天然の小さな沼地で、排水路を設けても地下水位が高く田畑にはむかない自然荒廃地でした。芝川沿地域の用水源は、ほとんどが富士山からの湧水が集まる芝川でした。しかし大正12年9月の関東大震災の影響で、芝川の流水量が激減したことにより用水不足が生じました。そこで昭和9年に県営用水幹線改良工事として狸沼を貯水池に作りかえるための調査をおこない、昭和10年から11年にかけて延長20m、高さ3m程の堤防工事を実施し、貯水面積27ヘクタール、貯水量706,000立方メートルの人工湖が完成したのです。
その後も、戦後の食料不足に伴い各所で水田が増え、用水不足が生じたことなどから数回にわたり堤防の嵩上げ工事を実施し、貯水面積32ヘクタール、貯水量1,200,000立方メートルのほぼ現在の姿となりました。
そして、現在田貫湖は農業用水等にくわえて、恵まれた自然環境のなかでのキャンプ、ボート遊び、ハイキング等に最適な行楽地であり、ヘラブナ釣りのメッカとしても全国的にも有名な富士山麓の観光スポットとなっています。(資料提供:富士宮市役所)
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