ふじあざみ 第35号(10)

第6回 「富士山への手紙・絵コンクール」表彰式
受賞者のみなさん  昨年の12月9日、「第6回 富士山への手紙・絵コンクール」の表彰式が富士宮市民文化会館大ホールにて、受賞者を招いて行われました。
 最優秀賞を受賞した8名にインタビューを行ったところ、皆さん、緊張されていた様子で、言葉少なではありましたが、嬉しさいっぱいのインタビューでした。
 表彰式のあと、作家、村松友視さんと、画家、橋本明雄さんにより「絵の立場から見た富士山、文の立場から見た富士山を語る」と題して、作品を審査した感想などを交えながら対談が行われました。
 お二人とも、このコンクールに対する熱い想いと、数多くの作品に対する慈愛の念がひしひしと伝わるものでした。
▲左より、中村徳亜さん、望月真紀子さん、
山中智美さん、廣橋奈央子さん、磯野麻友さん、
大石有紀さん、角田充さん、上野都志江さん。
講評 (村松審査委員長)
 今回で6回目ですが、1つの傾向があるように感じます。最初の頃の幼児・小学校低学年の作品にみられた、大人には考えつかないバランス、色使いなど、衝撃的な作品がここ一・二回減ってきました。逆に、高校生・成人の部の作品は、技術的にうまい上に、そのうまさがいやな感じを与えない、感動につながるような作品が増えてきたと感じます。
 今回も非常にたくさんの応募がありましたが、年々競争も熾烈(しれつ)になって、厳しくなりましたが、富士山のとらえ方のすごさが少し薄まった反面、絵画としての心地よさが加わってきたと感じました。
 文章の部門では、一番陥りやすいのは、富士山の偉大さ、すごさ、大きさに対する賛歌で終わってしまい、あるいはそれに人間の運命などをからめて、美談的な作品になってしまうのです。その点、今回は非常に選び甲斐のあるレベルに達していました。両方に共通して、技術が上手くなると、直接的な感動が遠のき、観念的になってしまう。そこをかいくぐって自分の感性を描いたり、綴ったりするのは大変なことです。
 しかしながら、文章を書くことを仕事としている私でも、非常に感心する部分が、皆さんの作品から発見できます。回を重ねるに従って、技術と信条のバランスも変わっていく気がしますし、選考委員としてその変化を楽しみたいと思えるほど、全体のレベルが上がってきています。
受賞者に賞状を手渡す村松友視審査委員長
▲受賞者に賞状を手渡す村松友視審査委員長
渡辺  紀 富士宮市長
▲渡辺 紀 富士宮市長
受賞者の声
●絵部門最優秀賞
中学生の部/角田 充さん

版画を使ったように見えるのは、どういう発想から生まれたんですか?
角田:日常見ていないような富士山を描いてみました。
毎日見ていても季節によって違うなと実感しますか?
角田:はい。
どの季節が一番好きですか?
角田:夏の雪もなにもなくて、さっぱりした感じがいいです。
●手紙部門最優秀賞
中学生の部/山中智美さん

めがねを通して富士山を見るというのはすごい発想だと思いますが、毎日見ていると、やはり変化がありますか?
山中:冬は白くてとっても美しく、夏は白くはないですが、とても強い感じがします。
●絵部門最優秀賞
高校生・成人の部/上野都志江さん
千葉県在住とのことですが、千葉からは富士山は見えますか?
上野:はい、見えます。けさも見てきました。家からは見えませんが、江戸川を渡る陸橋からは小さいですけどきれいな富士山が見えます。
あの素晴らしい絵は、どこからか写生されたものなんですか?
上野:いえ、富士山の写真集をいっぱい借りてきて、一番きれいなものを選んで、描きました。

展示の経緯
 すべての応募作品を展示
 コンクールでは作品を大切にしようと、第1回からすべての応募作品の展示をしています。今回も3,488点もの絵作品と手紙部門の入賞作品で展示室は埋め尽くされ、「私の作品どこにあるんでしょうか」などの声も聞かれるなど作品を探すのに苦労する一幕もありましたが、12月5日から9日までの展示期間中の入場者数は850人でした。 すべての応募作品を展示 一枚一枚ていねいに作品を見る来訪者
また、展示作業は60人のメンバーがあたり、すべての作品をもれなく張るために配置などを苦労しながらの作業でした。

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