ふじあざみ 第35号(4)

富士山の火山防災のための地元の自治体の取り組み
 平成13年度 山静神合同火山防災訓練

 富士山の噴火に備えた訓練は、昨年6月山梨県が単独で実施されましたが、山梨、静岡、神奈川の三県合同で初めて1月18日に富士吉田市内で行われました。
 三県の防災関係機関や地元住民ら62団体、約8,000人が参加し現地対策本部には、政府派遣団として国土交通省砂防部の杉浦火山・土石流対策官が出席しました。
 18日9時に北東山麓中腹から噴火、火山灰を噴出、溶岩も流下した想定のもと、北富士演習場内では、溝を掘り盛土して溶岩の流れを変えて市街地への流出を防ぐ導流工を設置する訓練を、我国で初めて実施しました。富士砂防は協力機関として、主な現地訓練会場となった下吉田第二小学校に、衛星通信を利用して富士山源頭部のCCTVカメラの画像を送り、また、溶岩流出後、遠隔操作による無人化施工で緊急に導流工を築く山梨県土木部の訓練の支援を行いました。
富士吉田合庁に設置された現地災害対策本部  18日9時に北東山麓中腹から噴火、火山灰を噴出、溶岩も流下した想定のもと、北富士演習場内では、溝を掘り盛土して溶岩の流れを変えて市街地への流出を防ぐ導流工を設置する訓練を、我国で初めて実施しました。富士砂防は協力機関として、主な現地訓練会場となった下吉田第二小学校に、衛星通信を利用して富士山源頭部のCCTVカメラの画像を送り、また、溶岩流出後、遠隔操作による無人化施工で緊急に導流工を築く山梨県土木部の訓練の支援を行いました。
▲富士吉田合庁に設置された現地災害対策本部
衛星通信による映像受信訓練 富士山源頭部の画像伝送訓練イメージ図
▲衛星通信による映像受信訓練
火山防災ハンドブックの市町村による増刷、全戸配布17万5千部  地元では火山災害を危惧する観光客の減少を心配し、富士山を活火山とすることをタブー視してきましたが、火山災害に対する防災担当者及び一般住民に正しい認識を得る必要性を痛感し、平成11年10月に富士宮市で富士山火山防災講習会を実施。この際作成したテキストを元に、一般向けにわかりやすく解説した「富士山火山防災ハンドブック」を平成12年3月に作成しました。これを期に、地元自治体の火山災害に対する関心が高まり、同ハンドブックが高く評価され、静岡県内の富士山麓の各市町村は独自の予算で17万5千部を増刷し、全戸配布しました。
二次災害を防ぐ無人化施工が
雲仙普賢岳、有珠山、三宅島などで
活躍!
▼操作室内の様子
操作室内の様子
 火山噴火による溶岩流や火山泥流が流出した場合、応急対策や災害復旧は緊急性を要します。しかし、火砕流・噴石・火山性有毒ガス・土石流などによる二次的な災害が危惧されるため、現地内及び周辺に立ち入れないことが多々あります。
雲仙普賢岳における遠隔操作による建設機械の稼動
▲雲仙普賢岳における遠隔操作による建設機械の稼動
 これに対し、無人化施工はGPSや現場監視カメラ、操作カメラなどによる遠隔操縦で現場状況や機械の位置などを把握しながら操作するものです。雲仙普賢岳など噴火後の災害復旧では、ブルドーザやバックホウ、ダンプトラックなどを遠隔操縦し、除石工・構造物撤去工・ブロック積などを行い、土砂被害の拡大を防ぐ効果を上げています。

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