●砂防施設の効果
遊砂地及び沈砂地で約28万立方メートルの土砂を堆積させ、ピーク流量を1/7に低減させた効果はきわめて大きかった。さらに砂防施設が無い場合の効果をシミュレーションで検討しました。土石流の氾濫計算式において、条件をH12年11月及びH9年6月の土石流の詳細な実測データで、最も適合するモデルを構築し、施設が建設される以前の地形データを用いて被害状況を推定しました。
その結果、大沢川扇状地で氾濫し直接土石流が集落を襲った場合、約157haの区域で約3.6億円の被害額が生じたと推定されます。また、扇状地で局所先掘により生じた自然河道に一部の土砂が潤井川に流れ込んだ場合、潤井川本川の河床をあげ、洪水被害が約43haで約84.2億円にのぼると算出されます。
大沢川の砂防計画は、100年に1度の大出水時に、流出する土砂量は150万立方メートルとされ、今回流入した土石流の1/7にあたりますが、非常に大きな効果があったと考えられます。

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図-2 大沢川遊砂地における
土石流の堆積状況平面図 |