ふじあざみ 第33号(4)

第2回 富士山緑のゼミナール実施
自然植生と森の機能、住民参加による植生復元を学ぶ
 6月14・15日の2日間にわたり、富士砂防工事主催、静岡森林管理署、静岡県、富士宮市、富士市、富士宮自然の森づくりの共催で「富士山緑のゼミナール」が国・静岡県・市町担当職員とともに地元中学生や一般市民が参加し開催され、あわせてリサイクルポットの作成や潤井川流路工への植栽が行われました。 初日の会場は富士宮市民文化会館で、東三郎北海道大学名誉教授と国立科学博物館植物第一研究室の近田文弘室長をお招きし、富士宮四中、北山中の生徒など約650名が参加して開催されました。
 二日目は初めて富士市で開催され、富士市消防防災庁舎大会議室において東名誉教授、そして藤原一繪横浜国立大学教授をお招きし、吉原二中の生徒約450名の参加のもと開催されました。
 ゼミナールをとおして、富士砂防が積極的に取り組んでいる市民参加の砂防樹林帯づくりの基礎となる富士山の自然特性とその機能と森づくりの方法を理解し、「富士山100年プロジェクト3776構想」を的確に推進するとともに、子供たちの自然に対する心と視点を育むものです。
吉原二中の集合写真
▲想い出に残る有意義なゼミナールとなりました。
東三郎先生 「森の働きと市民参加の森づくり」
「人間が森から木材や山菜、動物を獲りつづけ、恵みを受けるだけだったが、これからは森にお返しをする時代。人間は自然があってこそ生きられるのだ、森がなくなると人間はもちろん、同じ生き物である動物たちも消えてしまうこと。環境を守る方法は無限。」と語り、自らが支援するリサイクルポットによる市民による多様な植生復元の実践活動を紹介しました。
北海道大学名誉教授
東三郎先生
近田文弘先生 「富士山の自然と人」
富士山の自然と人の関わりを世界各国のスライドを使い、富士山の自然の大切さや恵みを紹介されました。そして、自然に感動することの大切さ、自然を「理科の目」で見ること、富士山を身近に感じることのできる幸せを軸に、感動する心と科学的な視点による観察の重要性を強調し、会場の中学生ら、若い世代が若い感性をもって自然への感受性を深めることへ大きな期待を熱く語りました。
国立科学博物館植物第一研究室
室長
 近田文弘先生
藤原一繪先生 「富士山の自然植生と森づくり」
まず、富士山の標高につれ植物が変化していく垂直分布による植生の構造を紹介されました。そして、富士山スバルラインの開通当初(昭和39年)からの植生の衰退と再生を、植生環境調査に基づき解説し、森内への日光や風の変化の植生への影響と、生態系など自然界のバランスを紹介されました。植物や自然が人間にとっていかに大切か、そして日本のシンボル富士山を21世紀に引き継ぐ重要性も強く訴えられました。
横浜国立大学教授
藤原一繪先生

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