ふじあざみ 第30号(6)

タイトル 富士山への思い VTRメッセージ
県知事 石川 嘉延氏の顔写真
県知事
石川 嘉延
シンポジウムにおけるVTRメッセージ
 静岡県では富士山を後世にいい環境のもとに残していくため、体系的な取り組みが必要だと、平成8年に「富士山総合環境保全指針」を定めて、環境対策を総合的に展開しています。
 その柱の1つ「富士山100年プロジェクト3776構想」は、特に戦後人工林に切り替えられた富士山麓の森林が、今日いろいろな問題が起こっており、この人工林を以前あったような自然木に植え替えようというものです。
 高さを象徴して3776haと言っているんですが、年々ボランティアをはじめ日本中の方々の協力の輪が広がりつつあります。取り組んでいただく一人一人の活動量 は小さくても、みなさんが輪になりますと、ものすごい力になります。是非多くの方に参加をお願いしたいと思います。
河口湖町長 小佐野 常夫氏の顔写真
河口湖町長
小佐野 常夫
山梨からのメッセージ
 観光で訪れた方が、富士山の全容が見えたときには合掌する光景をよく見かけます。日本人の心から離れられない存在であると思います。
 富士山憲章は、静岡・山梨の両県で、平成10年11月に制定され、住民へのPRに努めていますが、今後も日本国民に大きく訴えられるものが必要と思います。かけがえのない富士山を大事に後世につないでいくため、河口湖町では、乱立している看板等の統合整理、グリーンミュージーアム展開、月見草などによる緑化、蛍の再生などを進めているところです。自然環境あるいは景観の保全に鋭意取り組み、最終的には世界遺産への登録を目指し、住民も立ち上がる時期にあると考えます。

タイトル どうする大沢崩れ
東京都立大学 町田 洋氏名誉教授の顔写真
東京都立大学名誉教授
町田 洋
 美しい富士山がどういう過程で形成されたかを、私は地形と地質から調べてきました。富士山は成長と破壊を繰り返して今日に至りました。大沢崩れは新しくできた崩壊の激しい谷ですが、これとは別 に、山頂部がなくなるような大崩壊が起こり、その噴出物で埋められました。
 人間はいつまでも今のままの富士山であって欲しいと願うのですが、変わっていくのは自然の摂理というものです。砂防工事で安全なようにみえ人の利用する地域が拡大すると、むしろ災害を受けやすくなります。
山岳写真家 白籏 史朗氏の顔写真
山岳写真家
白籏 史朗
 私は富士山の麓で生まれ、撮影の仕事上、もう何十年も通 っているわけです。大沢崩れに土煙が上がっているのもよく見ますが、それだけにその拡大が気になります。ヘリで間近で克明に見ますと、今まで自分が考えていた以上に、自然の脅威というより、崩壊の凄まじさ、進行の速さに驚きました。  富士山は非常に大切なものだと認識しており、大沢崩れはどうしたらくい止められるか、真剣に対していかなくてはならないと思います。国や県と力を合わせて、日本人として、世界に誇る日本の富士を守って行きたいと思います。

タイトル シンポジウムのまとめ コーディネーター吉村秀實氏 富士山100年プロジェクト3776構想の本
 本日は、多彩な6名のパネラーから、まず「私たちにとって富士山はどういう存在か?」、富士山の自然への負荷の現状と保全のあり方」についてお話をうかがい、大沢崩れ対策などの防災対策のあり方や、トイレから地球環境に至る富士山への負荷と問題点、富士山にふさわしい森づくり、まちづくり等に対して活発な議論があり、最後に「新世紀に向けての課題と提言」をいただきました。
 富士山の自然を保全するためには、私たちは一人ひとりが富士山をもっとよく知ることがまず必要ではないかと感じます。富士山に関するさまざまな情報を広く発信して、みんながその情報を共有することになりますと、富士山に対してより親しみがわき、富士山の恵みに感謝する気持ちもより深まるのではないでしょうか。
 私たちが、それぞれの立場で今できることを直ちに行動することを提案し、本日のシンポジウムのまとめといたします。
タイトル シンポジウム参加者の声
(紙面の都合上、要旨のみとさせていただきました。)
 富士山を保全することは、地域住民をはじめ多くの人々と一体になって進めるべきだと思います。事業に参加して、自分達の暮らしを守り、自然を大切にする心を育てるならば世代を問わず人間形成に役立つものと信じます。
渡辺政夫 富士市五十雀山歩会
 植林・フジアザミによる砂防・森づくりの必要性、屎尿・ゴミ処理対策、災害・砂防の歴史、世界で使える砂防新技術開発、有限の地下水問題等、21世紀に私たち一人ひとりが積極的に関わっていかなければならない環境保全問題を確認しました。
中田保男 富士宮西高等学校教諭
 今回のシンポに参加して多くの富士山に関する情報が得られ有意義であった。最も共感を受けたことは、今井通 子氏より富士山の植生は外国の山と共通していること、富士山を後世に永遠に美しく残すには、常日頃富士山に関する自然、文化を学ぶことの大切さ等であった。
富士山ナショナル・トラスト 柏木伸夫氏
 日本における富士山の持つ精神的、文化的な面 に加え、環境面の現状とその対応状況について専門家による解説とVTR等により出席者に富士山を理解させる役割は大きかったと思われる。
 多くの人がもっと富士山を理解し、富士山の自然環境を守っていくためにはこのようなシンポジウムの果 たす役割は大きい。是非もっと多くの地域で、かつ、数多く開催してほしい。

酒井直彦 富士常葉大学教授
 一人ひとりの力は微力であるが、自分達でできる小さなことから実行し、大勢の力を結集して富士山の保全のために積極的に参加協力していきたいとの意を強くしました。
高橋芳久 富士市駅南コミュニティ推進会長
 基調講演、富士山教室、パネルディスカッションは、富士山の誕生から歴史、自然、砂防対策の全容を映し出し問いかけられているように思われ、より一層富士山の自然の神秘や貴重な財産であることを再認識し、興味と関わりを持って行きたい思い一念を投じております。
堀内剛気 山梨県河口湖町建設課長



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