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矢作ダム自然環境回復調査

 矢作ダムでは平成12年9月の洪水(東海豪雨)により、ダム湖内への大量の土砂・流木の流入・堆積、濁水の流入、流入河川・下流河川での河道浸食等、大規模な環境の変化が生じた。
これにより、ダム完成30年が経過し、安定した平衡状態に達していたダム湖および流入・流出河川の環境がかなり攪乱されたといえる。
この機会に、ダム湖内および流入・流出河川における自然環境の回復過程を継続的に調査し、ダム湖の存在が周辺環境に与える影響を把握することを目的として、平成13年度に自然環境回復調査を実施した。

魚類相回復調査
1. 調査時期
 
平 成 10年    10月 5〜 8日
平 成 13年    9月 26〜28日
2. 調査地点
   調査地点は、4調査地点(湖心、流入点、流入河川、流出河川)において魚類の採捕調査を実施した。なお、調査地点は平成10年度に実施された河川水辺の国勢調査(以下平成10年度調査と略す)の9地点のうちの4地点を選定した。
したがって、調査方法も平成10年度調査に準拠することを原則として配慮したが一部現地の状況に即した調査方法に変更した。
3. 調査方法
   本調査と平成10年度調査の調査方法を以下の表-1に示した。
本調査の調査方法は、原則として平成10年度調査と同様としたが、現地の水深、流速、河床の状況により変更した。

表-1 調査方法の経年比較
No. 調査地点



採取方法 目合
ダム湖内 河川部 調査目標量
St.2
(ダム湖心)
St.6
(河川
流入点)
St.7
(流入河川)
St.9
(流出河川)
H10 H13
H10 H13 H10 H13 H10 H13 H10 H13
1 浮刺網 16mm           20m×2枚 20m×2枚
2 50mm           25m×2枚 25m×2枚
3 底刺網 16mm         20m×2枚 20m×2枚
4 50mm         25m×2枚 25m×2枚
5 投網 12mm   10回 10回
6 18mm   10回 10回
7 タモ網 30分 30分
8 地曳網             - 約20m
9 魚カゴ 湖心は10個、その他は5個を夕方〜翌朝設置 10個を夕方〜翌朝設置
10 延縄 針30本を夕方〜翌朝設置 針30本を夕方〜翌朝設置
11 カニカゴ         5個を夕方〜翌朝設置 -
採取方法種数 8 9 8 6 6 5 6 10 - -
 注)平成13年度の調査方法は、原則として平成10年度と同様としたが、現地の水深、流速、河床の状況により変更した。

4. 調査地点状況
  平成10年度調査との調査地点の状況の変化について以下に整理した。

湖心 特に変化ないと思われた。
流入点 砂の堆積が著しく、河床が平坦化し、貯砂ダムは埋没していた。
流入河川 砂の堆積が著しく、河床が平坦化した。
流出河川 蛇行部の淵が大型化し、水深も約1.5mから約4mと深くなった。
砂の堆積は見られなかった。
5. 調査結果
   調査努力量を統一して2回の調査を比較したのが次の表-2である。平成10年度では19種、739個体、平成13年度では21種628個体が捕獲され、両年を通じて24種が確認されている。平成13年度に新たに確認されたのはデメモロコ、ギギ、ナマズ、アカザ、アユの5種で、一方確認されなかったのはシマドジョウ、ブルーギル、ブラックバスの3種であった。また採集誤差の大きいと考えられるタモ網を除いた結果は表-3に示すとおりであり、同様に種組成に大きな変化が認められなかった。
前述のとおり河川環境は河床が平坦化し砂が堆積した箇所や、淵が深堀れした箇所が確認されているが、ダム湖内および河川内とも種数や種組成には大きな変化がみられなかった。
また、中部地方ダム等フォローアップ委員会において「生息環境の変化を把握する注目種候補」に選定された5種と、採集個体数の減少が目立った3種の合計8種について、採集個体の体長区分別の個体数(本調査における全採個体数)を表-4に整理し、各種の再生産状況を表-5に示した。
6. まとめ
   平成10年度調査と平成13年度調査を比較して、河川環境は河床が平坦化し砂の堆積が著しい箇所や淵が深掘れしている箇所など、平成12年9月の洪水(東海豪雨)によると考えられる変化がみられたが、魚類相は両年で種数や種組成に大きな変化がなかった。

表-2 採集個体数の経年比較
表-3 採集個体数の経年比較(タモ網を除く)
表-4 注目種候補等の体長区分別個体数
表-5 体長組成からみた再生産状況
     調査地点位置図

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