2.6.1 経緯、目的、諸元 |
[経緯]昭和53年4月:実施計画調査着手、平成4年10月:現地立ち入り調査協定締結、平成8年7月:1億トンダム計画(ダム規模変更)提示により調査中断、平成9年10月:現地調査一部再開、平成10年10月:設楽町1億トンダム計画での現地調査受入れ(表−2.6.1)
[目的]洪水調節+流水の正常な機能の維持(環境保全流量確保+既得用水の利水安全度向上)+新規水資源開発
[諸元]ダム型式:重力式、堤高:129m;集水面積:62.2 km2、総貯水容量:1億トン(図−2.6.1) |
表-2.6.1 設楽ダム事業の経緯
年月 |
概要 |
昭和37年 |
電源開発株式会社、発電ダムとして予備調査開始 |
昭和37年 |
「設楽ダム建設反対連絡協議会」発足 |
昭和46年3月 |
河川審議会開催 (河川法16条4) |
昭和46年3月 |
豊川水系工事実施基本計画(河川法16条1)改訂 |
昭和46年4月 |
設楽ダム予備調査着手 |
昭和48年11月 |
愛知県が町に対し設楽ダムの調査を申し入れ |
昭和49年9月 |
設楽町議会が絶対反対を決議 |
昭和53年4月 |
設楽ダム実施計画調査着手 |
昭和54年4月 |
設楽ダム調査事務所発足 |
昭和54年12月 |
設楽町議会が「設楽ダム関する調査事務所設置絶対反対」の抗議書を決議 |
昭和62年2月 |
「設楽ダム空中写真測量に関する協定書」締結 |
平成2年2月 |
豊川水系が水資源開発水系に指定(水資源開発促進法第3条) |
平成2年5月 |
「豊川水系における水資源開発基本計画」について水資源開発審議会で了解する旨答申(水資源開発促進法第6条) |
平成2年5月 |
「豊川水系における水資源開発基本計画」閣議決定(水資源開発促進法第4条) |
平成4年10月 |
「設楽ダム実施計画調査に係る現地立入り調査に関する協定書」締結 |
平成5年2月 |
現地調査着手 |
平成8年7月 |
実施計画調査の中間報告(1億トン)を設楽町に報告 |
平成8年9月 |
「新構想による巨大ダム(1億トン)計画の拒否と現計画(8千万トン)の早期解決を望む」請願書を町議会が採択、立入り調査拒否 |
平成9年4月 |
国・県・町「1億トンダム計画一時棚上げ」による調査再開合意 |
平成9年10月 |
「1億トンダム計画一時棚上げ」で現地立入り調査再開 |
平成10年8月 |
設楽町に対し、設楽ダム1億トンダム計画での現地調査の実施について文書要請 |
平成10年9月 |
設楽町議会が水没4地区(八橋、川向、大名倉、小松)からの「規模にかかわらず早期解決」について請願を採択 |
平成10年10月 |
設楽町が1億トンダム計画での現地調査受け入れ文書回答 |
平成10年10月 |
事業評価監視委員会にて設楽ダムの事業の継続確認 |
平成10年12月 |
「豊川の明日を考える流域委員会」設置 |
平成11年5月 |
設楽ダム調査事務所は生活再建相談所開設 |
平成11年6月 |
設楽町において設楽ダム関連地域振興計画(仮称)審議会を設置 |
平成11年12月 |
豊川水系河川整備基本方針の決定 |
平成12年2月 |
設楽ダム関連地域振興計画審議会が設楽町に同計画を答申 |
平成12年10月 |
東三河4市7町助役連絡会議において豊川水系河川整備計画の年内方向付けを要望 |
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図-2.6.1 設楽ダムの計画(案)諸元図 |
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2.6.2 洪水調節 |
ダム地点で最大1,250m3/s(石田地点では約1,000m3/s)。
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2.6.3 流水の正常な機能の維持 |
1)河川環境保全のための流量確保
宇連ダム直下では、現況0から0.3m3/s、大野頭首工直下では、現況0から1.3m3/s、牟呂松原頭首工直下では、現況2.0から5.0m3/sへ、それぞれ制限流量を強化して、河川流量を確保。
2)既得用水の取水の安定化
これまでの実績利水安全度1/4から、大島ダム等既設の利水施設と連携して計画利水安全度1/10へ向上。
2.6.4 新規水資源開発
農業用水0.3+水道用水0.8=1.1m3/sの新規開発水量を確保
2.6.5 新・旧計画の相違
表−2.6.2のように要約できる。 |
表-2.6.2 設楽ダムにおける実施計画調査採択時と現在の計画相違点
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旧8千万トンのダム計画 |
現在のダム計画 |
治水計画 |
安全度 |
1/150 |
同左 |
容量 |
18,000千m3 |
19,000千m3
(洪水吐構造の再検討) |
利水計画 |
基準年 |
昭和32年 (3/20) |
昭和43年 (4/40) |
計算期間 |
昭和21〜昭和41 |
昭和21〜昭和61 |
利水制限
新設定 |
牟呂松原頭首工
(直下流)地点 |
5.0m3/s |
設楽ダム |
1.5m3/s |
宇連ダム |
なし |
大島ダム |
なし |
大野頭首工
(豊水時のみ豊川より1.2m3/s) |
寒挟川頭首工 |
3.06m3/s |
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牟呂松原頭首工
(直下流)地点 |
5.0m3/s |
設楽ダム |
0.9m3/s |
宇連ダム |
0.3m3/s |
大島ダム |
0.2m3/s |
大野頭首工
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1.3m3/s |
寒挟川頭首工
(横川発電取水後) |
3.3m3/s |
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新たな導水 |
新豊根導水 |
なし |
容量 |
59,000千m3 |
77,000千m3 |
堆砂計画 |
容量 |
3,000千m3 |
4,000千m3
(実績資料を追加して再検討) |
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合計 |
総貯水容量 |
80,000千m3 |
100,000千m3 |
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【変更理由】
・治水計画(洪水調節計画)
昭和62年度に実施した航空写真測量から新たに地形図を作成し、自然調節方式(放流ゲートを有しない)による洪水調節計画及び洪水吐の構造等について検討した結果増量となった。
・利水計画(水需給計画)
(1)計算期間を延伸し、10年に1度程度の渇水(利水安全度1/10に相当)に対応できるよう、基準年を昭和43年に変更した。
(2)河川環境改善のために、主要な取水地点における利水上の制限流量を強化した。
(3)天竜川からの新たな導水を見込まないものとした。
・堆砂計画
隣接する矢作ダムの実績データを追加検討した結果増量となった。 |