地域の防災力向上に向けて、三六災害50年シンポジウムを開催
 三六災害から50年。この災害を風化させず、教訓として継承し、さらに地域とともに水害・土砂災害に備えた地域づくりを目指すため、 伊那谷各地で座談会などのさまざまな取り組みが行われています。こうしたなか、三六災害50年実行委員会では、6月19日(日)、 飯田文化会館にて「三六災害50年シンポジウム」を開催し、地域防災力の向上のため何が必要とされているのか、 何をしていく必要があるのかを1200名を超える来場者の皆様と一緒に考えました。
 まず午前の部として、「三六災害の様子を紹介したパネル展示」、現在各地域で行われている「地域防災活動紹介パネル展示」、 災害時に役立つ技術や食料品などの紹介として「防災技術展示」、飯田長姫高校生徒の皆様によりデザインされた「三六災害ロゴマーク作品展示」、 及び先の東日本大震災での支援活動に使用された3台の災害対策車両を展示しました。 それぞれの展示に足を止め熱心に見入る皆様の姿に、三六災害、そして地域防災への関心の高さをあらためて感じることができました。  
 
 午後に入ると南信州広域連合の取り組みとしてのサイドイベント:演劇「演劇的記録 三六災害五十年」が大ホールで上演されました。 三六災害のドキュメントを芝居・語り・合唱・映像を複合した舞台演出で、感動的なストーリーでした。 被災地大鹿村をはじめ地域の関係者が大勢出演していたことで舞台のリアル感がよりいっそう高まっていたように感じました。  
 
 14時からのシンポジウムの式典では、実行委員長の北澤秋司先生の挨拶に始まり、来賓の加藤学衆議院議員・阿部守一長野県知事・富田英治国土交通省中部地方整備局長・牧野光朗飯田市長に挨拶をいただきました。
 松島信幸先生の基調講演では「三六災害と伊那谷〜地形・地質と災害の関係から〜」と題して、三六災害における被害について地形・地質の観点から4つにタイプ分けし、それぞれの特徴について災害写真やご自身の惣兵衛堤防での水防活動体験、 さらに被災者のからの聞き取り情報により被害の詳細をご講義いただきました。
 講演のまとめとして、人は自然から生かされていることを念頭に自然から住み方を学ぶ、すなわち「自然感覚を体得しよう」との提言もいただきました。
 
 この日最後のプログラムとなるパネルディスカッションでは、災害体験者、防災ボランティア、企業、自治体(地域)、 防災機関のそれぞれ異なる立場の5名のパネラーによって、三六災害の状況と現在に至るまでの取り組みを紹介し、 「共助力」を高めるための課題や今後の取り組みについて意見交換を行いました。
 三六災害が発生した50年前とは比較にならないほど防災施設、機材、 情報処理能力等が発達している現代社会を背景に失いつつある大切なもの。 自然との向き合い方や自助・共助(人と人とのつながり)の大切さを感じ取っていただけたのではないでしょうか。 お一人お一人が意識を高めていただき、 今後の地域防災力向上のためにお役立ていただくことを願っております。