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■ イベント名  信州大学連続防災講演会 〜地域と共に考える防災〜
■ 場   所  伊那市役所本庁舎1階多目的ホール
■ 日   時  2011年10月1日(土)14:00〜17:00
■ 主   催  信州大学山岳科学総合研究所・伊那市




会場となった伊那市役所多目的ホール 講演者の平松晋也教授(信州大学農学部) 信州大学連続防災講演会は6月から県内3箇所で開催され、今回4回目は伊那市との共催により10月1日に伊那市役所で開催されました。

今回は災害・防災に関する3題の講演がありましたが、土砂災害についてご講演された平松晋也教授(信州大学農学部・砂防学)の「地震や降雨による土砂災害からの回避策」についてレポートします。

講演は、
@最近の長野県での土砂災害の動向。
A発生のメカニズム。
B災害に巻き込まれることなく賢く生き残るための方策。
の3点について、写真・ビデオ・調査データなどで解りやすく説明がありました。

まず最初は、今年9月の台風12号により深刻な土砂災害が発生した紀伊半島の災害の特徴について紹介がありました。

ここでは大規模崩壊によるせき止め湖が今も大きな問題となっていますが、大規模崩壊が発生しやすい地域としては、紀伊半島のほかに長野県があげられるようです。その理由は、大規模崩壊は大断層周辺に発生しやすく、その発生要因となる大きな構造線が長野県内には2つあるためです(糸魚川静岡構造線・中央構造線)。

映像による土砂移動現象の説明 続いて、土砂移動現象:マスムーブメント(崩壊・土石流・地すべり)について、ビデオを交えて発生要因や被害の状況について説明がありました。

崩壊の発生を誘引するのは、雨が第一要因で、浸透した地下水によって、
@浮力が働く。
A水を含んで重くなる。
B土の強度が低下する。
ことにより崩壊が発生するようです。

映像による土砂移動現象の説明

三六災害の小渋川流域での崩壊の説明 崩壊の事例として三六災害の際の小渋川流域が紹介されました。また、土石流の事例では平成18年7月豪雨の小田井沢(岡谷)が紹介されました。

岡谷の例では、土砂災害への警戒が甘かったと地元住民が語っていたそうです。災害教訓として、土砂災害は100年程度のスパンで発生するので警戒を怠らないことです。実際、小田井沢では110年前の古文書に災害の記録があったそうです。

三六災害の小渋川流域での崩壊の説明

講演の締めくくり:賢く生き残るためには 最後に、災害から賢く生き残るためにはどうすれば良いか提言がありました。

土砂災害に遭わないためは、異常をすばやく感じ取り、早めに避難することが肝要です。

異常をすばやく感じとるには、平常時の自然を知ることが大事で、普段から周囲の自然の様子をよく観察しておくことが重要とのことでした。

講演の締めくくり:賢く生き残るためには