
中川村公民館では「三六災害から50年・被災地の今」と題し、村内で大きな被害を受けた3地域の今を訪ねる公民館講座が開催されました。
これまで、5月22日に滝沢集落、6月26日に桑原地区が開催され、今回9月11日は、三六災害によって壊滅的な被害を受け、
全84戸が集団移住となった四徳地区を探訪しました。残暑の厳しい晴天の朝、中川村文化センターには23名の参加者が集合しました。
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中川村文化センターで開講
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バスに乗り込み、旧四徳村に入り最初に訪れたのは三六災害で流失した福泉寺跡です。
講師の伊藤 修 先生(中川村歴史民俗資料館)から福泉寺の痕跡を知る石碑の紹介がありました。
福泉寺はやや高台に建てられていたようですが、災害時はこの高さまで濁流が押し寄せたことに驚きました。
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福泉寺跡で石碑等の見学
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続いて四徳分校跡では、移住前に大張地区に住んでおられた小松公人さん(駒ヶ根市)に当時の様子について解説いただきました。
小松さんご自身が撮影された戦前の分校や災害前の村の様子が写った貴重な写真と語りで、当時の村の暮らしを知ることができました。
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小松公人さんとご自身が撮影された貴重な写真 (四徳分校跡にて)
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次に訪れた四徳神社には災害移住記念碑が昭和38年に建立され、当時移住した全戸の名前が刻まれています。その中に家族や旧知の名前を見つけ懐かしむ姿がみられました。
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四徳神社と災害移住記念碑
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四徳鉱泉の源泉を見学した後、谷筋を良く見通せる四徳森林体験館では、旧農協中村支所や診療所などの建物のあった位置を、当時を知る皆で確認しました。
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谷筋から当時の建物の位置を確認
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一行を乗せたバスは折草峠まで上り詰め、旧平鈴集落・高尾山分霊院を見学し、折り返し谷を下って小河内洞の集落跡に向かいました。
ここでは参加者の幼少時の集落の思い出や、災害時の記憶に耳を傾けました。
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当時の小河内洞集落の思い出を語る参加者
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今回の講座では、旧四徳村の姿を参加者全員で認識あるいは再確認できました。また、講師の伊藤さん・解説の小松さんの他に、
当時役場で災害救援を担当した方や旧四徳村出身の方など、当時を知る多くの方から村の様子や三六災害について生の声が聞けたことも貴重な体験でした。
最後に、講師の伊藤さんからは、歳月の経過とともに旧四徳村の存在や災害体験の記憶が薄れてしまわないよう、
今回のような体験講座を通じて次世代に引き継いでいきたいとの決意が述べられました。
なお、11月12日(土)には、中川村教育委員会・中川歴史民俗資料館の主催講座として「中川村の三六災害」が開催され、
午後のプログラムでは被災地巡りも計画されているようです。
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