産学官連携で『表面波探査現地試験』が実施されました

「河川技術研究開発制度」による試験
 国土交通省は平成21年度より「河川技術研究開発制度」を設けています。この制度は、河川行政における技術政策課題を解決するため、産学の持つ先端的な技術を積極的に活用し、産学官連携による技術研究開発を促進することを目的としています。
 平成23年2月8日(火)には、この制度による『表面波探査現地試験』が春日井市勝川町の庄内川右岸で行われました。当事務所と中部大学、名古屋工業大学、名城大学、岐阜大学、応用地質の協同で取り組みました。

これまでの課題を発泡スチロールで解決
 表面波探査法とは、地面を伝わる波(振動)の性質を利用した地盤調査法です。振動は、硬い物質ほど早く伝わり、柔らかい物質では遅く伝わるという性質を利用し、地表に振動を与えることによって簡便に地盤の硬軟を明らかにするものです。しかし、これまで表面波探査法は凹凸のある箇所などでは用いることができないという難点がありました。
 この課題に対して、ESP(発泡スチロールの軽量盛り土材)で堤防と同じ高さのステージを仮設することによって、上下方向はもとより、水平方向にも計測が可能になり、堤体横断面にも適用でき、軟弱箇所や断面構成を把握できるかどうか確認するため、現地試験が行われました。(代表:中部大学 杉井俊夫教授)
河川の安全な管理に、新しい技術を
 測定の準備として、まず堤防の天端と同じ高さになるよう、ESPでステージを組み上げます。そして、天端からESP仮設ステージの端までセンサーを並べ、各センサーからケーブルでパソコンにつなぎます。
 試験では、振動を与えるため、各センサー間を大きな木槌で地面を叩いていきます。叩くたびに地表や地中を伝わっていく波の速度を測定して、パソコンで確認し保存します。保存したデータは、後日解析し、有効な結果が得られたかを検証します。

 
 この試験法は、堤防に穴を開けたりせずに地盤の硬軟や断面構成を把握でき、しかも一日でステージが設置撤去できるという簡便さもあります。これまでにない技術の試験に、テレビや新聞社も取材に訪れ、興味深そうに試験の経過を見守っていました。
 このように当事務所は、大学の先生方などと連携し、安全・安心確保のための研究も行っています。