~北区・東区の児童と保護者ら150人が矢田川で身近な自然体験~
10月2日(日)、名古屋市北区の矢田川子どもの水辺(北区会場)と東区の矢田川橋緑地(東区会場)の2箇所で、「矢田川あそび2011」が行なわれまし
た。この「矢田川あそび」は、今年で3回目。子どもたちが楽しく川を体験することで、川への理解を深め、川にすむ魚等(水生生物)をとおして河川環境や生
物の多様性を感じ取って頂くことを目的に、沿川学区の区政協力委員長、各種団体等で構成される「矢田川あそび実行委員会2011」主催で、地元住民や行政
の支援を受けて開催されました。
当日の早朝は曇っていた空も開会式時には青
空になり、北区会場と東区会場の8小学校区の児童と保護者ら150人が参加し、タモ網によるガサガサ調査、投
網体験、お魚ウォッチング、水質調査、到達時間クイズなど川体験を楽しみました。
※ |
実行委員会2011:北区(辻学区、城北学区、光城学区、川中学区、味鋺学区、西味鋺学区)、守山区(瀬古学区)、東区(矢田学区、砂田橋学区)、川中水
辺の会、城北水辺の会(庄内用水を環境用水にする会)、名古屋市水辺研究会、矢田・庄内川をきれいにする会、北区・東区役所まちづくり推進室、庄内川河川
事務所、庄内川第二出張所
支援団体:多治見市土岐川観察館、庄内川川ナビ歩こう会 |
北区会場の様子
東区会場の様子
ガサガサ調査では、実際に川の中に入り、タモ網を使って水辺にいる生物を網の中に追い込み、捕まえた魚や虫を水槽やタライなどに入れ、どんな生物がいるの
か観察しました。
タモ網の使い方を教わっています
(北区会場)
浅瀬でガサガサ調査をしています
(東区会場)
事前に教えてもらったとおり、生き物が隠れていそうな草が覆いかぶさった場所を選んで網を入れ、足でその網に魚などを追い込みます。子どもに付き添うよう
に大人もバケツを持ってお手伝い、みんな夢中になって楽しんでいました。
いろんな場所を一生懸命探索しました
(北区会場)
どんな魚が捕れるのかなあ!!
(東区会場)
漁師見習い?のスタッフが投網(とあみ)の実演と説明をした後に、子どもたちも投網に挑戦しました。さわるもやるのも初めて、誰もが一生懸命になって教
わっていました。
投網の持ち方を教わっています
(北区会場)
せーの、やぁ!!
(東区会場)
ガサガサ調査や、投網で捕れた生き物を小型の水槽やタライに入れ、専門家が名前や、特徴等について解説しました。
子どもたちは、見たり、触れたり、においをかいだりとなかなかできない身近な生き物たちとの触れ合いを楽しみました。
恐る恐るでも触ることができました
(北区会場)
魚の生態と外来種の危険性の説明
(東区会場)
河川の水質について知ってもらい、調査を通じて川と親しみながら河川愛護、水質保全等への関心を高めてもらうことを目的として、パックテスト(pH,
COD)と透視度調査を行いました。
水道水と川の水を見比べています
(北区会場)
水の汚れ具合が分かるパックテスト実験中
(東区会場)
両会場が矢田川でつながっていることを意識してもらうことを目的に、上流側(東区会場)から投入物(ボール、ウキ、ペットボトル)を流し、何が一番早く下
流側(北区会場)に到着するか(到達時間)を当てるクイズを行いました。
閉会式直前にペットボトルが一番手で北区会場「ふれあい橋」にようやく到着しました。
レースに参加したペットボトルくん、
ボールちゃん、ウキくん「笑顔」のスタート
3選手がスタートしました。がんばれ!
(東区会場)
「矢田川あそび2011」からの報告
ガサガサ調査で採取された生物種は、両会場合わせて、魚類
14種、両生類3種、ヒル類1種、甲殻類5種、昆虫類5種、爬虫類3種の計31種でした。採取された生物に関しては、
河川の中・下流部で一般的にみられる種類の生物が採取されており、コイ科稚魚やオイカワ、
メダカ、カダヤシ、スジエビ、ヌマエビ類の個体数が多い結果となりました。
これらの生物
は遊泳力が比較的弱く水際部で多くみられるため、タモ網で採取しやすかったものと考えら
れます。採取された種のうち、重要な種としてメダカ、特定外来生物としてカダヤシ、ブル
ーギル、オタマジャクシ(ウシガエル)、要注意外来生物として、ミシシッピアカミミガメ
が該当します。
項目 ・ 会場
名 |
北区会場 |
東区会場 |
参加者数(子ども) |
49人 |
34人 |
魚類の種類数・個体数 |
13種類
・ 634個体 |
12種類
・ 270個体 |
魚類以外の種類数・個体数 |
15種類
・ 333個体 |
13種類
・ 199個体 |
全生物の種類数・個体数 |
28種類
・ 967個体 |
25種類
・ 469個体 |
今回、参加した子どもの人数は北区会場の方が多く、生物の
種類数・個体数の違いは、各会場のガサガサによる生物採取のしやすさも影響しているものと考えられます。北区会場はワンドとなっており、流速が緩やかであ
るため生物採取しやすい状況でした。
【採取された生物一覧】
類 名 |
科 名 |
種 名 |
採取個体数 |
北区会場 |
東区会場 |
魚
類 |
コイ科 |
1 オイカワ |
322 |
44 |
2 モツゴ |
24 |
15 |
3 コイ |
2 |
2 |
4 フナ |
24 |
5 |
5 カワムツ |
2 |
- |
6 カマツカ |
6 |
5 |
ドジョウ科 |
7 ドジョウ |
5 |
24 |
8 シマドジョウ |
2 |
8 |
メダカ科 |
9 メダカ |
86 |
90 |
カダヤシ科 |
10カダヤシ |
121 |
21 |
サンフィッシュ科 |
11ブルーギル |
21 |
1 |
ナマズ科 |
12ナマズ |
- |
1 |
ハゼ科 |
3スミウキゴリ |
1 |
- |
14ヨシノボリ属の一種 |
18 |
54 |
計 |
634 |
270 |
両生類 |
アカガエル科 |
15ヌマガエル |
1 |
- |
16ウシガエル |
- |
2 |
17オタマジャクシ(ウシガエル) |
23 |
5 |
計 |
24 |
7 |
ヒル類 |
イシビル科 |
18イシビル科の一種 |
- |
2 |
甲殻類 |
テナガエビ科 |
19テナガエビ |
11 |
15 |
20スジエビ |
73 |
103 |
ヌマエビ科 |
21ヌマエビ類 |
170 |
44 |
ザリガニ科 |
22アメリカザリガニ |
2 |
7 |
イワガニ科 |
23モクズガニ |
1 |
1 |
計 |
257 |
170 |
昆虫類 |
アメンボ科 |
24アメンボ |
2 |
15 |
コオイムシ科 |
25コオイムシ |
2 |
- |
カワトンボ科 |
26ヤゴ(ハグロトンボ) |
2 |
- |
ヤンマ科 |
27ヤゴ(ギンヤンマ) |
12 |
- |
トンボ科 |
28ヤゴ(シオカラトンボ) |
29 |
3 |
計 |
47 |
18 |
爬虫類 |
イシガメ科 |
29ミシシッピアカミミガメ |
3 |
1 |
30イシガメ |
1 |
- |
スッポン科 |
31スッポン |
1 |
1 |
計 |
5 |
2 |
合
計 |
967 |
469 |
参加した子どもの人数は34人で全体の41%でし
た。(北区会場:27%、
東区会場:62%)
【pH(水素イオン濃度)】
両会場とも参加者の6割以上が7.5(ほぼ中性)という結果でした。
【COD(化学的酸素要求量)】
北区会場では13、15、20(mg/L)の順に多く、東区会場では13以外に10、20(mg/L)の判
定も少数ありました。全体でも16~19の間での判読が1人しかいなかったことから多少高めの
判定になっていると思われます。
項目 ・ 会場
名 |
北区会場 |
東区会場 |
参加者数(子ども) |
13人 |
21人 |
pH(水素イオン濃度) |
7.0~8.0
(最多 7.5 62%) |
6.5~7.5
(最多 7.5 81%) |
COD(化学的酸素要求量) |
12~20(最
多 13 38%) |
10~20(最
多 13 81%) |
透視度
|
およそ80㎝ |
100㎝以上 |
今回、3種類の個体を流しましたがイベント時間内にゴールできた個体はあり
ませんでした。
順番は1位:ペットボトル、2位:ウキ、3位:ボールという結果となりました。条件の差異は
いろいろ考えられますが、水面上に出ている表面積が多かったボールが他よりだいぶ遅れていた
ことから風の力が川の流れ(流速)の抵抗になっていたと思われます。
【到
達時間の計算および正解者】
スタート地点から最終到達地点となったふれあい橋までの距離と所要時間を基に計算した結果「2時間2分」となりました。
115分/3.2㎞×3.4㎞≒122分 = 2時間2分
北区会場では「2時間」、東区会場では「1時間55分」と書いた小学生が最
も正解に近い回答者となりました。
項目 ・ 会場名 |
北区会場 |
東区会場 |
参加者数(子ど
も) |
46人 |
23人 |
トッ
プ予想 |
ペットボトル |
11人
(24%) |
3人
(13%) |
ボール |
20人
(43%) |
7人
(30%) |
ウキ |
15人
(33%) |
13人
(57%) |
今回の「矢田川あそび2011」開催に向け、参加者募集から会場準備(草刈・清掃作業)、さらに当日のイベント運営に至るまでご協力頂きました関係団
体・地元関係者のみなさまありがとうございました。
最後に、これをきっかけに子どもたちが楽し
く川を経験することで、川への理解を深め、川にすむ魚をとおして河川環境や生物の多様性を感じ取ることができ
れば幸いです。
※ このイベントは、(財)河川環境管理財団の河川整備基金の助成を受けて実施しました。