鈴鹿川はその源を三重県亀山市坂下高畑山(標高773m)に発し、支川加太川、安楽川、内部川を合わせ、鈴鹿川派川を分派し伊勢湾に注ぎます。鈴鹿川の改修工事は、昭和13年8月洪水を契機に、昭和17年に直轄河川改修に着手しましたが、戦争による事業縮小で改修工事が進まず多くの災害を受け、特に昭和34年の伊勢湾台風により多大な被害を受けたことで、河口部において高潮対策事業が実施され、昭和38年に概成しました。昭和42年には一級河川に指定され、昭和43年に「工事実施基本計画」を策定、その後、流域の経済発展等を鑑み昭和46年に工事実施基本計画を改訂しました。また、昭和49年7月洪水では、観測史上最大の流量を記録し、再び多くの災害を受けました。
その後、平成20年に河川整備基本方針、平成28年に河川整備計画を策定し、現在、河川整備計画で定めた河川整備を順次実施しています。
プロフィール | |
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源流 | 三重県亀山市坂下(高畑山標高773m) |
流域面積 | 323k㎡ (山地 185k㎡・平地 126k㎡・河川区域 12k㎡) |
幹川流路延長 | 本川 38km (101位) |
河川延長 | 246.3km (80位) |
流域面積 | 323k㎡ (102位) |
大臣管理区間 | 本川 28.5km・鈴鹿川派川 4km 内部川 6.8km・安楽川 1.9km |
流域内人口 | 約12万人 |
計画高水流量 | 高岡 3,900㎥/s |
( )内の順位は直轄管理河川(109水系)の全国順位
(鈴鹿川0.0km~12.0km、内部川0.0km~4.0km、計画高水2,300㎥/s)
高潮による河口左岸堤防の破堤などにより、死者行方不明者115名となる甚大な被害が発生しました。
(死者・行方不明者115名、全壊1,250戸、床上浸水15,128戸、床下浸水3,119戸)
写真:伊勢湾台風での浸水状況(鈴鹿川平和橋)(S34.9)
写真提供:鈴鹿市
(鈴鹿川0.0km~15.8km、内部川0.0km~4.0km、安楽川0.0km~1.2km、鈴鹿川派川0.0km~4.0km)
(高岡:基本高水2,300㎥/s、計画高水2,300㎥/s)
(床上浸水161戸、床下浸水1,796戸)
(高岡:基本高水3,900㎥/s、計画高水3,900㎥/s)
(床上浸水29戸、床下浸水1,278戸)
(内部川4.0km~6.0km + 60m)
(安楽川1.2kmkm~1.9km)
観測史上最大流量を記録した昭和49年7月洪水では、鈴鹿川の越水及び支川の破堤などにより、広範囲(浸水面積7,551ha)にわたって被害が発生しました。
(死者・行方不明者2名、全壊7戸、床上浸水1,147戸、床下浸水3,737戸)
写真:洪水の浸水状況(鈴鹿市庄野町)(S49.7)
写真提供:鈴鹿市
主な洪水・高潮の被害状況
洪 水 名 | S34.9 伊勢湾台風 | S49.7 集中豪雨 | |
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死者・行方不明者(人) | 115 | 2 | |
家屋流出または全壊(戸) | 1,250 | 7 | |
浸水家屋数(戸) | 床上 | 15,128 | 1,147 |
床下 | 3,119 | 3,737 | |
浸水面積(ha) | 不明 | 7,551 |
鈴鹿川沿川で大規模な洪水や地震などが発生した場合に、総合的な防災態勢を迅速に対応するための施設で、鈴鹿川中上流部はもとより、下流部を含む全域での防災活動のバックアップを可能としています。防災活動に必要な資材、備蓄土砂、活動エリア等の敷地を国土交通省が整備し、活動拠点となる「鈴鹿市河川防災センター」を鈴鹿市が整備しました。敷地内には、ヘリポートや応急対策及び復旧対策を行う作業ヤードなども設置しています。
鈴鹿市河川防災センター
地震の揺れにより堤防クラック等の被害発生
(高岡:基本高水3,900㎥/s、計画高水3,900㎥/s)
鈴鹿市庄野羽山地先(右岸14.0k付近)等での内水による浸水被害等が発生しました。
(床上浸水24戸、床下浸水139戸)
洪水を流れやすくするために、矢矧橋の架替および旧堤防の撤去を実施しました。
(高岡:基本高水3,100㎥/s、計画高水3,100㎥/s)
昭和34年の伊勢湾台風後に整備された高潮堤が築堤から約50年経過し、老朽化が著しく堤防高も不足していたため、高潮堤防の改築を実施しました。また、発生が危惧される大規模地震などに伴う基礎地盤の液状化などにより堤防の沈下、崩壊、ひび割れなどが生じた場合の浸水による二次災害の恐れがある箇所について耐震対策を実施しました。